空を揺らす鳴き声で
集まる黒い影に曲がる
夜は満開の花ばかりになる枝の拒絶も
なかったことにしてください
ささやかな群れでも 追われていく高さ
根こそぎの木の道連れた土が
染みこもうとする ....
ささくれをさーってやって雲よりもほんわりしてるつもりでいるの
さいはてに天使の声であいさつを崩れはじめはこころのおんど
スペースはちゃんと白ではありません もっとひろがれレモンのか ....
ふいにまた一羽の鳥が飛び立ちて
束の間の夢心をよぎる
街角でつがいの鳥の歌を聞く
アナタナシデハ/アナタナシデモ
啼くな鳥涙ながすなうつむくな
唇かん ....
{引用=
一、レプリカの四月
たとえばそれは食卓のさかな
二度と泳がない姿はあわれです
しかし言葉はあぶくですから
気付かれずに消える、その
あぶくこそが ....
たまねぎを刻むと涙が出る
それにかこつけて
少し本気で泣いてみる
そうして
矢張りわたしは
要らない子かも知れないと思う
だけど午前の台所は
悲劇ごっこをするには明るすぎるし
誰かを想 ....
「海をください」
衝動を燃やす手立てを海に聞く 冬の最中に血潮は熱く
「スピリタス」
屠殺の日 金が欲しいと振り下ろす きっと今日、今、君に会いたい
「光来る朝」
そのゆびが ....
東に その 稲は 埋もれている
私の 髪を 切れ
一束を 稲に 添えろ
やがて 月夜になり
方角は 星どもが 決める事
やけに 質素な 稲が 敬語を 使う
光が 東に 走る
巨大な 水平 ....
弟がつり革になって
ぶらさがってる
白い輪っかのところなどは
良いつくりだった
揺れるたびに僕はぎゅっと握り
引っ張られた弟は
それでも痛いとは言わなかった
昔からそういう子だっ ....
女子校育ちは気がつよくて
と、眉を顰(ひそめ)る父の
たしなめる手にエスコートされ
日曜はショッピングに行く
青白いガラス窓の
温室に咲く花でさえ
その身を愛らしく
あざとく子種を残 ....
☆
そろそろ着陸する
と云うので
五人の宇宙飛行士たちは
めいめい
色鉛筆や携帯電話や文庫本やマニキュアなどをしまい
いやいやながらも手をつないで
着陸に備えた
しかしそれ ....
オルゴール火口そばに音ごと流れんとす
ねむりに沢 よこたえて仮に香る肉体
石室の闇に消えゆく滑降痕
月に目を奪われ充血している月
飛ぶなどしてつまさきをこころにのせる
凧 ....
轍に映る
音の魚
午後へ午後へ流れつき
雨のように息をめぐる
偽の季節の声があり
激しく隙間多く震え
水と風の
通り道は濃く
頬をすぎる波
くちびるの波
....
柔らかく 昏い光が
ひっそりと漏れだしたように
わずかに傾斜した平坦な地の
襞に、影
鉦がきこえて
列がゆく野は
さびしい海にむかって開けていった
或るひとつの手の
美しい ....
どうやら焦燥感
と云う一種の熱病にかかってしまったらしい
くるったように息を切らしながら
朝から晩まで自転車で
ぐるぐると円を描きつづけている
進むのは
まっすぐでなければ
どこにも行き ....
青々微のアラン・ギット青年は、側女のヘンリエッタ・イワノア嬢に昨晩、手の甲を噛まれ負傷しました。
おかげで彼の深い灰色の目は、いつもにも増して憂いが見えるようです。
カフス釦やら珍しい魚 ....
貝の髪を洗う
肌は、染め抜いた青、水底の。
腰まで伸びた貝の髪を洗う
細く深緑色の長い髪は強い潮のにおい
油の膜が
綺麗に見えて
暗い底からは綺麗に見えて
....
アルドレイドは星を見る
オルドランを探して、もう幾日たった
南のほうから音がして
彼女には
それが予兆だと分かる
オルドランは橋を架けて
ひとり、地平を目指す
ただの涙に急き立て ....
夜がほの蒼いのは
雪が舞っているから
すこし窓を開けて
吐息が白く夜気に放たれ
雪と交わるのをながめる
手を延ばせば舞いおりて
けれどその冷たさは
触れるまもなく掌に溶け ....
聖者オナンが大地に射精をしたとき
二千年先未来までの全人類が救われた
僕らは闇夜のヘビィ・ロックを揺らすことなく
眠りに付くことが出来たわけだ
聖者オナンが大地に射精をしたと ....
1
夥しいひかりを散りばめた空が、
みずみずしく、墜落する光景をなぞりながら、
わたしは、雛鳥のような足裏に刻まれた、
震える心臓の記憶を、柩のなかから眺めている。
(越 ....
冬の寒気が細く伸びて
岬の先のほうへ
鋭く尖っていった
遠くで生まれた赤土の丘が
最後に海へこぼれ落ちていく場所で
わたしの そしてあのひとの
フレアスカートのはためく裾から
なめらかに ....
恋い憂い
慣れた瞼に引く線を
やらかくなったと
母が微笑む
小春日の
朝その記憶胸に秘め
ともに嫁いだ三面鏡と
恋い憂い
朱をさす頬に
触れてみる
秘事は睫毛の
....
きみ
目次
はんたいがわから
しんだふり
これっ ....
よくにたるめら
たぶん むかし
いっついの けものだった
ほら おぼえている
とぐちのうえの どうのそれ
あるひ てのなか
ぽきりとおれた
ふれてみたかった ....
・
ずいぶん昔
わたしたちは恋人同士だった
あんなにも完璧に
理想的な形で
つながっていたのに
満月の夜だっただろうか
わたしが
あの柔らかな部屋から
いとも容易く
追放されてしま ....
はるをいたみながら
ひとつ、指を折り
なつのまよいに
迷えないまま
指折りは、
ふたつ
みっつ、を数える指には
こころならずも
あきがなついて
ちからずく、のよう ....
就職支援センター
と云うところに
毎月行っている
無職だからである
就職支援センターは
仕事を紹介してくれる訳ではない
担当の人と
色々お話をして
最後ににこにこと
頑張ってくだ ....
息止めてトランペットを組み立てる
菜を並べるまっすぐ雨になるように
遠くのビルを飛び降りる無数のドミノ
日没に窓砕かれ見え出す透明街
誰彼の名前叫んでねじまく熱
鮮やかに ....
緑が風に揺れないでいる辺りを狙っても、届かないと思う石の重さが道の端からはずれ、影にしかならないコンクリートのはりつく斜面まで垂れ下がる枝の乾きかたを確かめながら削れた指先をしゃぶっては、ひそひそと ....
おねがいゆっくりしゃべってはやくちのなかにきえてゆくいしにまきついたあなたのほそながいくびおねがいわからないようにいいかえてしりたくないあなたのしずかすぎるといきおねがいがなりたててちからとねつからに ....
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