司祭たちが手に手をとって、締めてはゆるめて、鬼を追いつめていく。

死角があるなら、そこに違いをつくろう。言葉は、そんな風にもふる舞える。紅潮した陰茎や陰唇に、視線を伏せながらも関心を隠せないよう ....

眠れない夜
眠りの水面で
寝返りを繰り返す
眠りを手で掬ってみるのだが
すぐに指の隙間から零れ落ちる
意を決してうつぶせになり
眠りの水面に顔を浸けてみるが
すぐにくるりと仰向けに ....
 氷河の夜に
 人、鳴動
 かつて吼えたのは犬であった

 白雲に閉ざされた暗色の宙を透けていく声は長い頭ゆえに耳の有無を己が羽で確かめることができない自称フクロウの考究に一抹の進歩をも ....
梅干めく祖母のたなそこに御影犬が四千歳
私は自分の頭を内側から食い破りつつある
きゃつ
きゃつ
噛み音に苛まれるのは忍ぶとしても
犬が耳から侵入しては心配
と祖母の詰めてくれた梅の汁が染み ....
夏風邪をひいた駅員が
プールの縁に立って
はしごを眺めている

咳きこむと
口の中で
戸籍は勝手に
書き直されてしまう

向こう側とあちら側が
波のように打ち寄せる
こち ....
雨の終わりの無数のうちの
ひとつは残り 無数は去る
雨の終わりはつづいてゆく


午後が午後へ差し出す傷
土にこぼれ
土は黙る


封じ忘れた光から
誰も通らぬ道がの ....


緩やかに回転するふるさとに登ると、木々のさえずりの重さを髪が貫く回数に敏感になる。僕はふるさとの証拠だ。ふるさとは論理的に父と母を演繹する。ふるさとの境界面には無数の弾痕があり、ふるさとを動 ....
気づいたときには、わたしが
わたしという輪郭に 縫いしろを足して
日常から切りとられていた
景色はいつも、ひどく透明なので
ふりかえっても もう
戻るべき箇所を、確かめることができない ....
わたしのバッグは黒色で
いつもぷくっと膨らんで
それで非常に重たいです
いつも利き手で持つ為か
右腕だけがだらりと伸びて
地面に付くほどになりました

バッグを持っていないと均衡が取 ....
 身を落とし損ねた夜、水鳥の羽音が耳の奥から離れず
 底見えぬセーヌ川のほとり
 水草を揺らさないように息を止めていた
 また、赤子が腹を蹴った

 季節外れなベンチに一つ影落とし、風の遠鳴 ....
排他的な女の子は空を所持している。
その底のほうには、白くてきれいな宇宙船や、手垢できたない算数の教科書、軍隊の格好をしたキューピー人形や、プラスチックのマニキュアの瓶が、ざくざくとはめ ....
羊とシーソー遊びをすると
いつも重い方が沈みました
両方が沈まないでいるのは
とても難しいことでした
わたしはまだ
言葉をよく知らなかったのです
 
 
+
 
 
眠れないとき ....
湿気た
非常に湿気た
暗い
地下室の夜に
海底の死体の
くぐもった声が聞こえる
最後に沈んだ船の
偽のいかりに阻まれて
どれだけ腐っても
膨れても
浮上出来ず
深海魚の好 ....
星をちりばめた蛇の肌
太く巡り
雑に巡り
生まれに生まれを撒いてゆく




道を吐き 道を吐き
肌は蒼に 空を空を
けして光のせいにすることなく
逆円錐に持ち上げる
 ....
向こう岸のビルの群れ
肉色の雲の腹がひろがり
黒い飴色をした東京湾が凪ぎながらゆれて
高速道路が時間のように巡っている
血だらけな手も足もたくさんあるのよ
あたしたちみんな輪郭を共 ....
おなじすなをさわっている
別の数を言うから
涙がでるだけ
目を見て。 それか
目を閉じて。
見渡す限りの砂場で
雨が降って
いたとしても
同じところにいる、
それだけで
掘ったり  ....
「口さけ女」

{引用=
耳元まで、口が裂けて広がっている女性噂妖怪。
幅の広いマスクで口を隠しており、道行く男性に、「私、綺麗?」 と尋ねる。
答えた男性には、マスクをはずし、口を見せ付け ....
摂氏36.5℃で凍てつく切なさは、雪降る夜の電熱灯の明かりに似ている
欲した物は手にした瞬間色褪せていって、わたしをその都度落胆させた
言葉でさえくちびるを離れたときからこの肉体を棺桶にして死んで ....
きみと
きみときみを囲む白い壁と
きみの大層な毛皮がよく見える
首が痛くなるまで星を観測し
今はまだ冬至、これからこうなって
ああなって
こういう風に動いたらあたたかくなるのさ ....
青のジャージ、歯の抜けたおっさんが、にへにへ洗濯機回り、ゴミ置き場周辺を回っている。


アパート備え付けのランドリーな所で変質者はいつでも登場し、不動産屋が不正な自転車が置かれてないかと見廻り ....
きりつめてしまえば
ボウルにいっぱいなのだった
歩んできた家路は
ずっといっぽんみちだったのに
思い出す道草の
切れ端で指を傷める

なんども振り返っては
細々と撒いてきたパン屑を確か ....
火と火の違いもわからぬうちに
わたしたち とは語らぬように
言葉への畏れを絶やさぬように


入口にある目は
実の奥にある目
森をひとつ逆さまに呑む


水を見たら ....
つ、たん、とわずかなタップダンス、軒先を転がるようなリズムがして

時のながれをひとあしおいこして行く


あのひとは、いまごろ猫だろう、思いのほか自由な四肢で世界を掻い ....
 
 
台所で人形を洗っていると
まだ生きた人しか洗ったことがないのに
自分の死体を洗っている気がして
かわいそうな感じがしました
列車が到着したので
あまり混んではいなかったけれど
 ....
「せっこう」
あのしろいせっぺんを
たとえばたわむれにくちにふくんで
したをはわす
さくらんぼのくきがむすべないしたは
おずおずとたしかめて
ぎょうぎのわるいおとなんかたてるんだ


 ....


川の表面に見えない川が重なっているので、刻み採る、反転したウグイスを読むための辞書を踏みながら。いくつかの水分子に哀しみを含ませて川をさかのぼらせる。川を構成する無数の小さな川のそれぞれにふ ....
とびちるこぼれるあふれる
亀裂は断続する黒点
から
ただれて
淡々と
丸いメロディ
一、二、四
円周率の汀に咲けなかった蘭の
つぼみ
ひらくたおやかな
ゆびへ
黄色い
なみだぼ ....
 
遺影のある家に行くと
線香の良い匂いがして
羊羹を一口食べた
奥さんがずっと昔からのように
右手で左手を触っている
側では子どもたちがわたしの名前を知っているので
窓から外を見ると
 ....
 ネアンデルタール人はホモサピエンスにブチ殺された。原因がなんだったかは知らないが、曰くネアンデルタール人は発声に不自由があったらしい。仲間同士の意思疎通に関して、ホモサピエンスの方が一歩秀でていた。 .... みえないふねが
でるころに
おまえはひとりでうまれたの

かあさんがそういいました

つじのむこうのとおりから
にもつをもって
あるいてきたと

にもつのほかには
なにもみにつけ ....
ピクルスさんのおすすめリスト(1095)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
無題- クマクマ自由詩208-8-31
駆け込まれる- 葉leaf自由詩7*08-8-28
_やさしい- 鈴木自由詩108-8-12
_ライクライクラヴェルサンバwith犬- 鈴木自由詩308-8-12
ビヨンド- たもつ自由詩5*08-8-1
光溝- 木立 悟自由詩208-7-30
探索- 葉leaf自由詩808-7-29
運針の、記憶- 望月 ゆ ...自由詩42*08-7-28
バッグの意味- 吉田ぐん ...自由詩1308-7-25
機械仕掛けのジェリーガール- こんぺき ...自由詩4*08-7-25
そしてシグナルタワー、女子- しもつき ...自由詩5508-7-22
- たもつ自由詩3208-7-22
地下室の水死体- ホロウ・ ...自由詩2*08-7-22
降り来る言葉_XXXVII- 木立 悟自由詩408-7-21
ミーミ- モリマサ ...自由詩12+08-7-18
すな- かとり自由詩16*08-7-16
都市伝説- 吉田ぐん ...自由詩2408-7-7
夜を呼吸する- こんぺき ...自由詩6*08-6-30
夜夜中- 嘉村奈緒自由詩908-6-27
1階のコインランドリー- 山内緋呂 ...自由詩2408-6-20
せん- れつら自由詩4*08-6-9
ノート(入口)- 木立 悟自由詩708-6-7
猫の記憶- ホロウ・ ...自由詩4*08-6-4
笹舟- たもつ自由詩16*08-6-2
白についてのいくつかのこと- ミゼット自由詩4*08-5-31
探索- 葉leaf自由詩5*08-5-25
_ささら- 鈴木自由詩308-5-24
遺影のある家- たもつ自由詩1908-5-23
かつていちどは人間だったもの- 影山影司散文(批評 ...308-5-19
つきこよる- ミゼット自由詩3*08-5-18

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