眼鏡の水滴外して見るぼやけて星空

雨に青い花畑は誰かの記憶

まろき我が妻は蛙の父の目だ

遅れて来る 古くさびれた息 谷溶け

鍵穴に最後の留守を告げてゆく

フラスコから身を ....
哀しみをうたにしたいのだけど、
感情は言葉になる前に溶解して、
つるりと喉の奥へ消えていったよ

哀しみはどうにか優しくなろうとしていたのか
最後にスープのような、甘い味がした


誰 ....
犬が休んでる
まるで僕のように

背筋が足りない
何かを継ぎたして
少しずつ毎日の
起立がある

どうしてだろう
お父さんになってしまうのは
瞬間は確かにあるのに
どんなに積み上 ....
俺はコックピットを携帯していた
その中に座るリカちゃんが足を組んで
仕事に疲れた男達の死んだ目を
刺激的に舐めた
人を殺したいと考えていると
人相もそういう顔付きになって
疲れた男達の汗臭 ....
指をひらくと
きのうの夢がこぼれ落ちた
わたしたちは
月の公転ぐらいのスピードで
どんどん忘れていくのだから
泣かなくてもいいのに
と言いたいが
きのうときょうの
ことばを全部書き残し ....
落葉がそぞろに風にふかれ
雲は青く高い空をゆく

うらの{ルビ小径=こみち}の縁石に腰をかけて
杉といっしょにゆれている

夏の{ルビ遺言=いごん}は朽ちることなく
静かに実 ....
{ルビ蟷螂=かまきり}の貼りつく道の女かな 二十歳の黒髪のような、
ブルックリン橋から、曙橋を繋ぐ空が、
未踏の朝焼けを浴びてから、
青く剥落して、雨は降ることを拒絶した。
とりどりの青さを、さらに青く波打って、
空は、傘を持たずに、 ....
昔はよく強風でガタガタ音を立てていた窓
今はすっかり静かに落ち着いてしまった窓
家の所々の窓は割れているものもある
新しいものと取り替える必要はない
割れた場所から外の空気が入ってくる
それ ....
 
 
寝台車の匂いが
掌にする
腕はまだ
距離を測っている
残されたものを集めると
骨の近く
きしきしして
初めて靴を買ってもらったときの
恥ずかしい喜びしか、もう
いらない
 ....
テキストサイトの盛衰について
ぼくたちは耳目を持たなかった

チューリヒやマンチェスターの
現代美術に眼をうばわれながら
シンプルなHTMLでえがかれた
スタイルシートもなく
SWFファ ....
炎昼を赤子の声で鳴く蝉や

誘蛾灯十枚の爪かかりけり

泳ぎきし手足を埋めて砂の城

真夜中の汗つま先へ到達す

扇風機ふいに大きく頷けり

蟹踏みし踵より蟹生まれ{ルビ出=い}づ ....
河童溶けて鉄骨手を振るのみ園内

立体の森に潰されに川下り

滑車冷凍され動かずそこへ山が近付く

二本の陸橋翼に見立てるだけ入水

女神像内部は魂吹きすさぶ都市

床が這って外に ....
格式のある店内
マナーは重視されている
テーブルクロスの裾からのぞく恋人の赤いパンプスが
僕の心臓を掴んでいる
身の豊かなスズキのムニエルが運ばれ
彼女は優雅な手つきでそれを口へと運ぶ
思 ....
保険に入ったのですね。では、行き止まりは危うくないとでも云うのですか。

あなたは、諸島の話を聞きたがる。前ばかり向いているから。条件を覚えていない。
この半分が、電極のあわいで踊っている かた ....
吹雪舞ふ街並暗くなりゆきて
車の尾灯赤く際立つ

遊び居し子等それぞれに呼ばれ去る
昏がるる公園白芙蓉散る

ひそやかに花韮の咲く野辺のみち
春寒の今日三月終わる

寒の水一口飲 ....
くちびくろさんぼ

銀星を憎む製図コンパスについ
た小さい鉛筆のぼくだ
おっかけこする心臓がつぶれそ
うなくちびくろさんぼのぼくだ
くるくるまわるタイガーの春だ
空から桜が散るよ叶わない ....
ポケットが汚れ始めている
待合室は朝から眠たい
何かの整備工の人が
口を動かしている
語りかけるように
沈黙を選ぶ言葉があった
目を閉じようとすると
少しばらばらになる
水が優しい濃度 ....

家を出ると
道端に
無数の舌が落ちていた

赤信号が
誰ひとり停められなくて
途方に暮れているような真夜中だった

舌たちは
うすべにいろの花のように
可愛らしく揺れなが ....
かすかな声でなぞる
あれは面影
うらの林のすきまからみえた
私の亡霊
沈むことのできない舟
いっそうの複音

静かな{ルビ水面=みなも}をもっている
{ルビ自恃=じじ}{ルビ矜恃=きょ ....
かつて潔く閉じた手紙は風を巡り
伏せられていた暦が息吹きはじめている

朽ちた扉を貫く光は
草の海を素足で歩く確かさで
白紙のページに文字を刻みはじめ
陽炎が去った午後に、わたし ....
あなたは
きえそうなひかりのまえで
手をかざしている

胸元から
オイルの切れそうなライターを出して
何度も 鳴らす



うつくしいけしきの
まんなかにいる
いつも
き ....
銀座の路地裏に入ると 
色褪せた赤い{ルビ暖簾=のれん}に 
四文字の 
「 中 華 食 堂 」 
がビル風にゆれていた 

( がらら ) 

曇りガラスの戸を開くと 
「 イラッ ....
器の
壊し方を知っている
けれどもわたしは
外側にいない

器の
壊れ方をおぼえている
けれどもあなたは
内側にいない


 朝と呼ばれるものや
 愛と呼ばれるもの
 ....
 
 
やさしみの
さかなが
しずかに
みなもをおよぐ

やわらかな
さざなみは
しあわせなきおくを
みたそうとする

やきつくされたあさ
さいれんがなりひびく
しきはまた ....
真下に拡がる海原は
厳しく削られた岩の入江を包み、
とうに半世紀を過ぎた
今しも汽笛の鳴る港へと
煌めく{ルビ漣=さざなみ}を寄せて

夏の賑わいが恋人達とともに
古い桟橋を大きく揺らし ....
目から水を飲み
花になり
やがて言葉に
うたになる


数歩のぼる風の音
ひとつひとつの段の上に
しずくを含んだしずくが震え
空を囲む樹を映している


触れてはこ ....
はさみ
兵藤ゆきより
大きなはさみを
買う
ポケットには入らないので
背負って
帰る
兵藤ゆきですら
背負ったことないのに
道が市街地に向かって
少し車で混んでる
子供の頃
兵 ....
微笑みかけた頬
何もない明るさ
目を閉じたまま


早く目覚めすぎた朝
何かが既に去った跡
曇と曇のはざまの手


子の膝もとに蛇はいて
緑に金に
息をしている
 ....
誰も
さよならを言わない
誰も、何も、言わない





ジ、


ただ
重々しい青へ、空の、青へ
弾け散るように飛び立った蝉の
既にこげ ....
ピクルスさんのおすすめリスト(1095)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
凹馬石遺稿- 黒川排除 ...川柳307-9-21
帰る場所- チグトセ自由詩10*07-9-19
休息- たもつ自由詩507-9-18
コックピットの構造- 狩心自由詩2*07-9-18
(無題)- キキ未詩・独白607-9-16
きもの- こしごえ自由詩18*07-9-15
- A-29俳句3*07-9-15
夕暮れの光景の彼方から- 前田ふむ ...自由詩18*07-9-14
日が昇る前の、一日の始まり- 狩心自由詩6*07-9-12
寝台車- たもつ自由詩1807-9-12
.com- 構造自由詩207-9-11
怪談俳句- 渦巻二三 ...俳句19+*07-9-10
ヴィダ・ヴィドリオ- 黒川排除 ...川柳307-9-10
スズキ- Monk自由詩1307-9-9
無題- クマクマ自由詩207-9-9
58P_「短歌2」より- むさこ短歌3*07-9-6
くちびくろさんぼ- m.qyi自由詩1007-9-5
その海から(理由)- たもつ自由詩1607-9-2
こわいはなし- 吉田ぐん ...自由詩2407-9-1
みちのり- こしごえ自由詩12*07-9-1
日付を打たない手紙- 藤丘 香 ...自由詩63+*07-9-1
- はな 自由詩31*07-9-1
中華食堂- 服部 剛自由詩1007-8-31
呼ばれている- 千波 一 ...自由詩36*07-8-30
その海から(やさしみ)- たもつ自由詩40*07-8-28
名もなき夏の島にて_★- atsuchan69自由詩16*07-8-27
つばさ_みどり_Ⅱ- 木立 悟自由詩1007-8-25
はさみ- たもつ自由詩707-8-24
つばさ_みどり- 木立 悟自由詩307-8-22
滴る耳- A道化自由詩2507-8-22

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