灰皿のなかで
アップルパイを食べていたら
宿題を忘れたまま
大人になった。
彼女はびしょびしょに濡れた服を着て
この服いいでしょ
といった

ぼくは濡れてるから着替えた方がいいって
いったけど
彼女はそのうち乾くから平気だよと
まったく気にしていなかった

 ....
  わたし
  ごくつぶしの耳鳴り芳一と
  反転した橋の下
  こうもりみたいな夜を過ごす
  森の、もっと森の方
  ただのニレだったという屍が
  糸を引いて地面に伏せるまでの時 ....
地下鉄で
あなたは手首だけの幽霊と手をつないでいる。
もうさびしくないね、よかった。
あなたを慰めるためだけにこの世界に生えているてのひら。
それはまるで、

薔薇のよう。
みどり児は
あけの河に流されて
流れ着くのは石の岸
そこをみずからぬけ
葦の原へおちつく
すでに住まう
年よりの蛇とあそぶ
おどりあそばせ
つゆふる夜半には
犬三匹をおま ....
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