昨晩見た夢は
わたしのあたまのなかに
かろうじて残ってはいるが
触れることはできそうもない
かたちないもの
見たといっても
まぶたはとじられていた
不思議なことだ
朝はかたちあるも ....
お花畑が好きな
あなたに出会うまでは
あちら側なんて
存在しないと思っていた
お花畑が好きな
あなたに出会ってからは
あちら側を
薄っすら信じるのも悪くないと思っている
....
漆黒の蛇腹をくねらせ
茶色がかった半透明の羽を羽ばたかせ
いやらしく光る複眼と長く伸びた細い触覚が襲い来る
どこにも逃げ場はない
鋭い牙で突き刺され恐ろしいほど真っ赤な口に飲み込まれるまで ....
さあ、きれいなものをみよう
ヒトを慈(いつく)しむ心
愛をはぐくむ精神(きもち)をもって
さあ、きれいなものをみよう
憎しみや悲しみから己を解き放て
さあ、きれいなものをみよう
零 ....
赤いおべべで着飾った小さな客人
憂いに満ちた瞳でじっとこちらを見つめている
白い肌にバラ色の頬
小さな愛くるしい口からは生えたての歯が覗いている
むっちりとした子どもらしい白い腕が手持ち無 ....
いつの間にか眠っていた
開け放っていた窓から冷気が忍び込んでいる
午前2時か3時だろうかと思った
時計の針は10時を指している
煙草を1本燻らせて
深夜のスーパーに買い物に行こうと思った
....
死 、
しろい衰弱
人 歩いていく
雪降り積もる途を
ゆらゆらら
均衡保ちつつ
意識明るませつつ
誰一人いくことのない
自らの自らだけの途を
灼熱する ....
私自身は障害者として生きてきた
愛の微笑みはプラス十度
心がささやくのは甘い言葉
障害者の権利を守らなければ
私は自叙伝で療法を伝える
心の中の真実を
信じられない人ばかり
私はそれゆえ ....
白い紙は
静かな鏡
ペンが走るたび
ぼくの心の奥が
こぼれ落ちる
一人で何でもやっていたころ
誰にも頼る気はさらさらなくて
自立している自分を誇らしく思っていた
最近あちこちからだの不自由が出没し
出かけて愉しみを味わうこともなく
そうかといって友と話 ....
故郷から遠く離れた危険地帯で若い命は無惨にも散った
企業は手を血や泥で染める事なく
派遣された社員が知らない土地で無法者に命を奪われた
どんなに無念な思いをしただろう
今は亡き若者よ
こ ....
この空のもと
一輪の花が咲いている
それはあなたのようで
五月の風に揺れながら
美しい声で歌っていた
出逢ったことが不思議で
わたしは日々あなたの文字を追い
あなたは日々わたしを追い ....
ずいぶん昔の自分の詩を
読み返すことがある
ちょくちょく読み返して直したりすることもあれば
十年ぶりくらいに掘り出してきて、ただ
読んでみたり
いいとか、わるいとか
そんなことも思わずに
....
砂漠のバス待合所で
君と雨宿りをする
雨は降っていないけれど
いつか降るのを待って
二人で雨宿りをしている
いつもこうして
何かを待っている
そして待っている間は
いつも君が隣 ....
たとえば喫茶店
慌てて席を立った後老夫婦が並んで座る待合の木製ベンチ
頭の中が甘酸っぱく満たされる
口角も自然と上がるこんな不思議な気分
忙しない物音と取り交わされる会話ミックスされて ....
君は存在しない
きっとカゲ
いるようでいない
いないようでいる
透明のような
ナナイロのカゲが君の姿
触れようとすればその手をすり抜け
誰も君を手に入れることはできない
君 ....
過去よ
あなたを 引きずっていく
とめどない ひかりの奔流
冷めるように ひろがる
その 指先の みずいろの波
鹿たちが 海を駆けていく
森の透くような そう
透くような 香りがする
....
僕が駄目だなんて分かりきってる事が
頭の中で反響して虚しくなるが
馬鹿にされたら言い返す気力は
残ってる
だから本当に落ち込んではいない
道のりから外れ
元のルートに戻れなくても
そ ....
夜の底に耳を当てたら
陽気なリズムが聴こえた気がする
静かな海のしあわせな色
天然青の空と海
一度でいいから牙を持ちたい
青に染められふと欲しくなる
花なら花で花の名を
憶え ....
黄色の帽子被った子ども達、
岩肌の急斜面を昇っていく
わんさか群れなし次々と
移り行く季節のこの狭間に
確かな余韻を踏み残し続け
何時しか伸びる伸びる
光帯となりながら 、
....
コメを買ったことがないと言って
農水大臣を辞めなければならないのであれば
頭の悪そうな女子が
「あたし、おコメ食べないんですぅ」なんて
ほざいたら日本から永久追放にしなければならないと思う
....
統合失調症だと分かって
8ヶ月
薬の副作用で体重が10kg増え
落ち着きがなくなる症状も出たが
幻聴は聞こえなくなった
戻れるならどこに戻りたい
あそこに戻りたいという場所が
何個も ....
嬉しい事が
悲しい事を
吹き飛ばす
当たり前に見えて
やっぱり当たり前のことに
気づいた日に
このまま今日は
人生についての色々を
忘れさせて
人を恨んでばかり
だったけど
....
時には私にささやかな愛をください
例え嘘でもいいのです
内心蔑んでいてもいいのです
少しだけ冷えた肩が暖まります
浮き草のような私は
ただ水に流されて
もがいても もがいても
何かに ....
無限に開けいく
意識の
伸び拡がる
光の裏庭に
滲み染み渡る死の
時の響きとなり
ゆくりゆっくり
滑落し始める意識の
裏庭へ留まりゆき
消える今日の残光を
仰ぎ見る ....
真夏の予感に誘われて
まだ暗い路を車で飛ばし
やがて東の空は鋼色を帯びてきた
ウィンドウを開けると
潮の香りが車中に満ちて
風の言葉に誘われ浜辺に着いた
五月の歓びが背筋に走る
男か女か ....
もう十年もタバコを吸っていない。
健康のためだったか、タバコを吸う自分との決別であったか、確かそんな理由だった。
今ではタバコも高価な代物となり、止めて良かったんだ、そう思うようにしている ....
せんせい
ぼくのおかし、どこいっちゃったの?
保育園でつくったフェルトのビスケット
せんせいは慌てて
「ごめん。食べちゃった」
申し訳なさそうにペロッと舌だした
ぼくらは思わず友達と顔を見 ....
さようならを迎える前
ぐっ。と何かの覚悟をするかのように
心を無にしていた。
「人はいつかいなくなる、人はいつか死ぬ。」
さようならを告げた後
全ての繋がりを断ち切って去った人を ....
○「ボケ日」
今日はボケ日
ワイフを歯医者へ乗せていく
出かける前に「忘れ物はないよね」
と確認すると
「ない」ときっぱり言う
時には確認するだけで嫌がることがある
歯医者の駐車場に着く ....
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