グレタの船は火の道を往く
十戒のように海を割り
水面すらない中空を
それでもグレタの船が往く
ジャンヌ・ダルクのように
ドラクロワのように ....
七億をすぎる人の
文字への想い
親の願いを込めた
自分の名前すら書けずに
字を読むことすらできない、少女は
母からの手紙を読んでもらいました
詩はいつも文字や言葉を媒介す ....
かくしたってだめ
ものいわぬもの
ものいいはじめ
消えていく
図書館の温もり
大好きなお母さんら
とっくに去ったし
しったふりしたって
だめ
ほらもう
あるものあるもの
....
月と太陽ではどちらが、海思いだろうか?
水面に映る我と我が身を見て、戯れに酔うナルシス
カモメとジェット機では、どちらが空思いだろうか?
飛翔飛躍を遊泳のように愉しむ、陽気とスリル
ウクレレと ....
シャッター商店街
賑わっていたのはいつの頃だろう
よくかまってくれたおばさんは
今何をしているだろう
丘の上から見る街は
まるでジオラマみたいだな
廃れた景色はなんだかつまらないな
....
いつもの食べるペースを
ゆっくり、ゆったり、スローに
味わい深く
身に染みるこのうまさ
いつものシャワーを
ゆっくり、ゆったり、スローに
湯船に浸かり
芯を解きほぐす
いつもの ....
昨日産まれたばかりの吾子は
わたしの横で寝ている
なんてかわいいのだろう
産毛のような髪の毛
耳も口も鼻も小さいけれど
とても精巧に作られていて魅入ってしまう
閉じられたまぶたの中でどんな ....
築年数四十年を過ぎた中古マンションで
今夏暫くの間、我が家でも玄関ドアの脇に
宅配弁当業社の貸出しボックスが
配置されるようになった
すると挨拶を交わすご近所さんから
「 ....
恋愛ものムービーを見せて
観たアッフリカ部族の人に
感想聞いてみたならば、
あの人たちの食ってたランチが美味しそうだった
と一言 、
何だか理由も分からず可笑しくて
僕も彼女も互い ....
あなたの上で羽ばたく
それがあなたへ与える効果は
あなたがどこかで
誰かに影響を与える
そうやって次々と伝播する
地球の裏側まで
だから今夜飛ぼうよ
遥か遠くを目指して
but ....
夏、街は
もぬけの殻になった
開け放たれた窓
ラジオから流れる雑音
駅前からも公園からも坂道からも
人はいなくなった
がらんどうの街路を歩く
私もまた空っぽになっていく
視 ....
{引用=
青い青い水面に溶けこんでゆく、
眩暈、
ふたりの抱擁、
時計の長短針が、
零からいきなり三十になったように、
逆さまにはっきりと映りこむ、
ふたりの不定形、
まるで半透明のゼ ....
Ⅰ.
夢はすべからくすべすべとしたまるい顔
ひとよんでのっぺらぼうという名の妖怪
さそわれて、肩たたかれて、ふりむけば
人まちがいだろうけれど「なんかようかい」
夜空は月の目玉を ....
思いやり
教養
知性
話
目には見えなけど、
感じることのできる
愛
いつの間にか
遊ばなくなった
あの子
何しているだろう
かくれんぼして
見つけないまま
帰ってしまって
そのまま
会わなくなった
あの時あの子が鬼だったら
まだ今でも遊べた ....
雪の三千メートル稜線を
登って降りてまた登り
やっと槍の穂先
ピークに至り
青息吐息、霞む視界
ふっと明け拡がり
地に着く宙空に鮮やかに
青い青いテントの現れた
板張り浮き出た掘っ ....
湧水
ハグロトンボが舞う
エメラルドの躯を伸ばして
瞼のリズムで
翅がはためく
鐘は
教会を思わせる
夭折した作り手を
悼んでいるのかのように
石膏像の白
信州の山々に
....
2025年8月15日(金)
今日は終戦の日
80年の時が過ぎた
黙祷
さぁ今日も現実社会で生き残ろう。
*
貴方に感謝も、非難する気持ちも ....
○「終戦記念日」
いまだに終戦となっている
敗戦ではなく
基本的なことを
間違ったまま
ずっと来ている
○「老いの日めくり」
1日
満たされないのは
足りないからではなく
求め ....
ほのか
目のまえに
そろそろ終わりがみえる夜
桜降る道 手を繋ぎゆく
いちめんの
向日葵が
満面笑って軽やかに
君の匂いがする 風が吹く
き ....
倒壊寸前の僕に
家屋が乗っかっている
脆弱で重たいわけだ
歩く事が出来ず独り言
気がつくとチクタクチクタク
僕はアナログな古い時計
後数分もすれば
時を知らせることになる
泣くに泣けず ....
毎夏見る帰省のニュース
しっかりと時間を費やす 家族たち
それを眺めることが毎年の行事
思い出すのは病室の洗面台や
トラバーチン模様の天井
となりの家から夕ご飯の匂い
てん ....
雨の中の休日は
すべてを諦める
あれしよ
これしようかな
あれしないと
などなど
全てを中止する
窓を少し開け
隙間からの風のささやき
雨あし ....
あんなに入念に
死ぬ準備をしたのに
僅かに残っていた希望と
本音が導き出した祈りが
暴風となって
計画を破壊した
肩甲骨の痛み
背中から吐き出したものは
小さな翼
首吊りのロ ....
○「地」
年を取れば
取るほど
地が出てくる
病気よりも
やっかいかもしれない
病気は
薬でなおせるかもしれないが
地は
今さらなおせない
○「猪被害」
一度来ると二度三度来 ....
帰省
十三年
ぶりに自宅の庭でする
花火のあとの西瓜は半月
家路
ひとびとが
夕暮れ色に染まりゆく
家路の端のパチ屋の金魚
もう何度目だろう
こみ上げた微熱
確かな胸の鼓動
波音しか見えない海へと向かった
感じる心を見るために
もう何度目だろう
変わらない朝
変わらない景色
少しの微笑と少しの ....
学校のことを 思い出そうとすると
ぼやけた記憶した浮かばないのは
僕にとって 青春というものは
伝統的で矛盾した 色彩の衝突であったからだ
延々と神さまが 夜空を覗き込んでいる
からか ....
もしかして
いま蘇つてくれたとて
も壱度ホンキて恋せるだらうか
一瞬にして 、
光の回廊の現れ出て
頭くらくら意識の鮮やか
飛び散る血飛沫に染め抜かれ
自らの終わり観える瞬き、
警告のベルの鳴り渡り
光景の涯てなど掻き消し潰され
美しき夜明けも深 ....
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