この水はただの水だが
じぶんではけっして汲めない
天の与えてくれたらしい
冷え切った、甘露。
この水を
早朝飲み干し目を覚まし
新しい日のはじまりとする。
ホントはさ
....
五月五日、
なかば強制されている春、
どうしてもせざるを得ない、
タイヤこうかん、
いっぴきの蜜蜂はわざわざ庭先にまで見学に来て、
となりの家の庭では、
紫と白、ツツジがいつの間にかもうす ....
寂しさが募ったのは
その人に少し依存するのは
信頼を寄せているから
興味ない人には邪推のしようがないように
愛してたから邪推する
どこか懐かしい虚しさを抱え
町の雑踏に消える私
晩御飯を作っている君の背中が
何かを僕に言おうとしていた
静かなキッチンの端に君の残像
発しなかった言葉はシンクに流れてしまった
いつからか二人の未来が見えなくなった
影が忍び寄るのを
....
がたんと ごとんと
夜を行く 列車の鼓動にゆられ
わたしは天井を見た
誰もなにも言わずに 座っている
眠ってしまったような
ジジジッ 電灯
ああ お前もそろそろか
もうすぐ わたしも ....
五月は淋しい月
新緑の匂いに惑わされながらも
それらと一つになることのないジレンマ
暑くなり始めた気候に
責め立てられているような気分
五月蝿い虫どもがまとわりつく
ありえない煩わしさ
....
どうしようもなかった
そう言われたらそうだ
それでも見殺しだろう
どのように死んだのか
膨らむ想像が胸に重く
良心が掻きむしられる
後ろめたさも心を乱す
忘れていたことも確か
それでも ....
天空の青 、
輝く新緑に
たるむ肌の
枯れ果てた人
隣に座したる
朝のイートイン、
何というこの落差
「自らに問えば」と
私の内の誰かさん
いったい誰 、
なんだ
朽ちて生 ....
新しいクラスになじめないまま
GWになりました
なんかさ
一軍女子が強すぎるとか
陽キャがウザいとかではないんだけど
なんとなくさ
みんなで楽しく盛り ....
火星が赤いってのは、
あれあ、嘘だな。
星座を作るのも
神話を作るのも
物語を紡ぐのも
それはとても良い創作活動だとは想うけど。
火星が赤いってのは、
あれあ、嘘さ。
....
あなたと私の立ち位置に
汚れのない小川がある
近くでもなく
遠くでもなく
長い付き合いだねと
あなたは言った
私もそう思っているけれど
あなたはいつも私の中にいた
大勢のファン ....
とぼけた光が朝を呼ぶ
雨樋の上を鳥が闊歩する
うんざりするような
薄水色の空が広がって
人を傷つけることのない
丸い風が吹く 強く 強く
別れすらも曖昧に笑って
時間は過ぎていくばか ....
隠された事柄は
ある日ひょんなことから
氷山の一角として人目に晒される
ぼくは目撃者となった
それを黙殺すれば
棺桶まで持っていくことになるかもしれない
一時の面倒臭さを優先したら
一生 ....
あの子が「たまごそぼろだ」と言ったから
あの角の家にはおいしそうなたまごそぼろが咲く
神様に祈ってみたり、嘘をついてみたり
大して変化のない生活を強い風が撫でていく
更地になった場所に ....
このごろきもちが
ひきこもってる
喪失した数が多くて
容量を越えてしまったよ
他人は知らぬ間に死に
他人からその死を知るものなのか
先日突如重篤な病を告げて
暫くの間と伝え消えた ....
遮光カーテンの隙間から
溢れる朝日が睡眠に射し込んで
夜から切り離されたぼくは
恐る恐る目を開ける
考える間もなく朝のルーティン
決まった時間にドアを開け
同じ方向に向かう人々に混じり ....
椅子の背もたれに届く
夏の小さな雑音
子供になった父は
昆虫採集に出掛けたまま
帰ってくることはなかった
大事にしていた許可証が
風に飛ばされて
どこか遠くの海溝に
沈んでいく ....
ぱらぱらぱら
傘のうえにおちる雨のしずくがここちよく音をたてる
ぱらぱらぱら
哀しみもはじけて空へと消えてゆくよ
ぱらぱらぱら
ああ、まるで叩くように布から伝わる水の感触 ....
削れた指を頬にあて
新しい水を吸うときに
意識ははりがねのように細く強張って
あー犬や猫や魚
象やいたちやカメレオン
うまれたての山羊や栄螺やひぐま・・・
ペンギンや、にわとりみたいに ....
地球は植物が人間を支配する人間牧場だったという、ヴォイニッチ手稿の考察動画を見た。久しぶりに好奇心が掻き立てられる感覚が蘇った。
特に、人間の為に神様に反旗を翻した植物という言葉心惹 ....
あたまから
どちらを手にしようか、迷うときがある
どちらも食べやすくて、食べにくさがある。
酒のつまみには豆腐だろう。
ご飯に添えるならば納豆だ。
どちらも同じく大豆 ....
「君と思い出を創りたい」だなんて貴方はいうけれど
僕は貴方と刹那を楽しみたいんだ
このかけがえのない瞬間を貴方と過ごしたい
貴方だって言ってたじゃない
「過去より〝今〟が大切」だって
....
ふわっと蒸しタオルで顔を包まれる安心感
顔を包むホイップクリーム
束の間の緩みから転落するように
カミソリが肌を滑るスリル
リラックスがこそげ落とされ
たらればが緊急に緊張を引き出し
背骨 ....
歩みよれば
空から天使が
降ってくる
光る太陽
変わらない日
今日の気分は快晴らしい
暗闇の中に置かれた
精神異常者が
主張も出来ずに
崩れていく
今は愛の季節だ
風が強 ....
塀越しに高く高く
はなみずきが咲いた
芝生に植えられた一本の花水木
随分昔のことのような気がする
裏口から出られる婦人は
いつも和服をきちんと着て
わたしににっこり微笑んで
丁寧 ....
白目が灰色に染まりはじめる
黒目が必死に見つめるもの
白目を穢して
黒目に映る暴力の影
白目は不安から恐怖へ
黒目がきらりと光る
白目は恐怖から絶望へ
黒目が執拗に見つめるもの
白目が ....
「あした 先生はお休みします」
そういって以来さわぐち先生は
学校に来ない
もう二度と会えないんだという
くだらないうわさがガヤガヤと
一組と三組と四組には広まっている
....
幼い日々を映す鏡は真っ黒
警報と瓦礫の思い出
爆撃から守ろうと摘んだ花は
ドライフラワーになって胸に残る
わたしの正義は残酷だった
誰かの正義が真っ黒な鏡に
矢を放って
鏡が割れると
....
蝉時雨の日に緑の紙に捺印をすると決めた
いつまでも友達でいようなんて嘘をつき
きみは天を突き抜け歓喜の歌をうたい
ぼくはどぶ板を這いずり回るゴキブリになるという
今までの18年は悲喜こもごもの ....
昨日は近く
今日は遠い
明日はその中間くらい
夏は遠く
秋は近い
春はよく分からなくて
冬は一周回って背中に
張りついている
夕は近く
朝は遠い
昼はいつも手探りで
....
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