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高層ビルの屋上は
空にいちばん近い場所

憧れにはまだ
手が届かなくて
背もたれたフェンス
微かな痛みを
切り取ろうとした

いま飛んだら
誰かの翼になれるかな

軽い気持ちで ....
目を閉じて眠りなさい
死なないように
願いを掛ける時は
まつ毛の一本ずつを
短冊にしてみよう
流されて天に届く気がする
美しい寝顔のままなら
毒を飲むこともない世界で
明日が来るのを前 ....
誰かと誰かが出会う場所
誰かと誰かが別れる場所
騒めきが空気に混ざると
手を振る仕草が綺麗に見える
旅立つ人も見送る人も
特別な気持ちを切符に挟んで
鞄にしまいたくはないから
同じ地図の ....
誰もが一度はあるだろう
口笛で空を天と地に分けたこと
リリィ、お前の名前が落ちないように
今日は晴天の上を行こう
そして誰にも届かない
高気圧の帯で抱きしめるよ
緩やかにたおやかに光が溶け ....
手の中にあるものは見せずに
血の流れだけで育てていく
熱くて冷たい汗が引くまで
ギュッと握ればどうだ感じるか
夢は手相の上でジタバタしている
応援歌みたいに騒ぎ出すよ
運命線を背負ったまま ....
ギーギーギー
虫が鳴くと船が進むように
生まれたばかりの膜を破る
複雑だった僕等の言葉を
耳元で油を差す時は
シンプルな感情を孵化させて
奥まで届く方が美しい
風が届かない部屋に
散っ ....
鮮やかな色の花みたいな
血管に触れる音が聞きたくて
私は何度も踏みつけて来た
救われなかった過去くらい
丈夫な化石は展示しておく
胸のいちばん真ん中の谷間で
誰か引き受けてくれないかな
 ....
星が見えないのに光を探し
誰もが抱えた夢に近い場所
地面が少しずつ高くなった
東京タワーの最上階から
靴紐であやとりをしながら
イルミネーションを作っているよ
街に贈る熱のような火が
丸 ....
君の言葉の方向にいつも僕はいて
過去を育ててくれたからきっと
プラタナスの木みたいに
両手を広げて未来を抱きしめる
何度も救われた夜があって
君を特別な存在にした
星が瞬きをするように
 ....
挟んだ栞を抜いた時に
鍵を回すような
音を立てて物語が始まる
決まった台詞じゃ
足りないくらい
人の心は本よりも厚く
だからこそ読み続けていられる
僕等は借りてきたように
生きる言葉を ....
稲妻を見た
同じ木の下で
あみだくじの
当たりみたいな形

二人の間に
透明な線路

導かれるのは
初めてなのに
全てを知ったような
低い声が

鼓膜を震わして
こみ上げる ....
ロウが落ちて
冷めてから固まる

誰かの足跡
みたいな雪国

二度とぶり返す
ことのない炎
身体じゅうで
押さえつけた気持ちは

ストーブの窓に
打ち明けた恋

薪の匂いが ....
ネクタイの結び方を知らずに
目の前にあるお手本を避けた

慣れた手付きとヨレたイニシャルで
社会という橋に虹を架けて
はみ出さないように生きていくこと

不器用なトレンチコートの紐が
 ....
人見知りの鼻息を止めたら
もっと楽しい生き方ができる

さよならを自分からは言わずに
後出しジャンケン気持ち悪いね

白いキャンバスは食パンみたいに
耳を切り落とす神聖な場所

何も ....
ドーナツを選ぶのが難しくて
私の背中に行列が出来る

ハズレのくじを引くような気分で
ショーケースに指紋を残して
次の人は美味しいのに当たるよ

全ては好みの問題だけど
デパートの屋上 ....
音楽を二人で聴いた後の
体に絡まるイヤフォンは糸

白い蜘蛛の巣が巻きつくような
ベストを着た時の窮屈さに
爪を立てるよりも手相を見よう

掌に広がる宇宙の模様
名前を知らない星座のよ ....
醜い顔を見なくて済むように
部屋の明かりは小さくしておく
悪口が聞こえてこないように
ステレオの音は大きくしておく

僕だけの船に食料を積んで
時間や支配から逃れたかった

眠れずにい ....
カメラに収めた一枚の空
インスタ映えするように整えて
よそ行きの言葉を少し添えて

誰かの反応を待つ間に
空を見た事への熱が冷める

素敵なモノに囲まれていたい
特別な今を君に伝えたい ....
鳥のような羽根を失くした日は
どこかで雨宿りすれば良いのに
立ち止まると不安になるから
景色を連れて自転車に乗った

ペダルを漕ぐと空を飛べそうな
パイロットの夢が語られる時
 ....
クリームソーダの中で弾けてる
小さな気泡のようなトキメキを
指先で触れる子供みたいに
何も疑わず飲み込めば良い

舌を出せば広がるエメラルドの
地図を目印に待ち合わせをする
 ....
トンネルを抜けた後のスピードは
僕の心に音楽を流す

目的地の無い夜行性の手で
口元のリボンを解くように
愛しい想い出の真ん中にある
ラブソングだけが残ったけれど

加速す ....
心は無防備な壁のように
何も言わずに建っているけれど
音も立てぬまま剥がれてゆくのは
真っ直ぐだった僕の懐かしい声

ずっと一人で戦って来たんだ
ずっと一人で隠して来たんだ
 ....
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