すべてのおすすめ
日本の法律は「ざる」ですねとある国の方に言われる
その国の方は続けてこう言う
我が国ではやってならないことは法律上明確です
日本のように曖昧ではありません
確かに日本の法律は事実「ざる」だ ....
最近私は夜毎
生の人参一本齧っている
皮を剥いて縦に七等分ぐらいに切って
何もつけずに無心に齧り咀嚼する
生ゴミのような味のときも
柿のような淡い甘みのときも
ジガ ....
ようやく咲き始めた
耳たぶを
かすめるように
散ってゆく
くたびれた
きのうの薔薇
美しい季節はいっとき
残酷な
まやかしのようでもあるけれど
改行される刹那こそ
愛おしい
....
担架の中で目を覚ます
運ばれる直前の
記憶が定かではない
どこで何をしていたのか
今日がいつなのか
答えられない
なぜかはわからない
倒れるということは
命のともし火が消える
手 ....
車窓から見える
取り残された小さな雨雲
遙か上空には羊雲
下から覗き込みながら
西へ西へと私の視点が移動すると
小さな雨雲は立体的に体を見せながら恥じらう
そして雨を降らす間もなく
すぐ ....
よそへいくための服は
襟のレエスがまぶしくて
びろうどのスカートが重くて
ぴったりしずぎてきゅうくつで
母さんが
帰宅するやいなや
着替えさせてくれるとき
ほっとして
わたしは
すこ ....
あたいは泣かない
全身全霊をもって感情を押し殺す
空が泣くまで、ぜったい泣いてやらない
耳のなかから歯が{ルビ一片=ひとかけ}こぼれてきた
それを拾い洗面所に行き鏡で自分の口のなかを見ると
欠けている歯はひとつもなかった
歯は依然わたしの手のなかにあった
....
湖で
平たい小石の水平投げ
6度跳ねて沈む石を想像して投げた
3度跳ねて沈む石
未来と今で遊んだ
3度跳ねて沈む石を思い出して投げた
2度跳ねて沈む石
過去と今で遊んだ
5 ....
コーヒーカップを持ち上げただけで走る衝撃
要はこんな時にも陰で働いていたのか?
くしゃみでもしようものなら
まるで電気ショック
要は体中に回線を這わせて
あらゆる身体活動を統率していたの ....
小林峠の近くで
狐が轢かれて死んでいた
珍しいことではない
狐も 狸も 猫だって
だけど道路の端の方で
轢かれたばかりらしく
まだ そのままの姿で
顏だけが歪んで血まみれで
瞬間の ....
いやさなくて
いいよと
それはいう
かなしみは
いやされることなど
のぞんでやいないさと
筆先でなでていく
涙の成分は
瞳に必要なものだという
いわさきちひろの描く
こ ....
悲しみの深さは
ずっと後になって
分かるもの
今は感情の欠片すら
なくなった
空っぽの胸に
風に似た風が吹き抜けるだけ
もし風に表情があるのなら
微笑んだように見えたのは
あ ....
梅雨の晴れ間に、ひときわ
紫陽花は朝陽に輝いていた、その朝
報せの電話が真夜中に鳴った
冷静と言えば、聞こえはよいが
私の応対は驚くほど事務的であった
どこかに、安堵が潜んでいた
....
光が少ししか
届かずに
かすかに耀く
とても小さな
砂漠だけの星へと
旅行をする
少女を描く
ある絵本を作ろうとする
少年がいるのでした
はるか彼方の銀河への旅を
描いた絵本を ....
精神科のスタッフルームで、
あっち側にはいきたくないと、
面接を終えた上司が呟く。
あっちとこっち
異常と正常
障害者と健常者
病人と医者
クライエントとセラピスト
助けてもらう人 ....
母親は、普通、恋なんてしない
安定した家族の中
子どもを育てることに
ちからをそそぐ
子ども達からもらう元気
それだけで
どうして満たされないんだろう
母親である自分自身が
甘 ....
つたったあとを
つたうものあれば
つたったあとを
つたわないものもいて
誰かのまなざしのあとを
なぞるものもあれば
誰かの言葉のあとを
なぞらないものもいて
きょうのまことが
....
さあ、どうぞと皿が私に差し出される
その上にきれいに盛られている
とてもいい匂いのする料理は
食べやすいように切り分けられている
中には苦いものもあるけれど
健康でいたいでしょう?
それを ....
アスファルトに残された雨
今は水溜りと名を変えた
干上がりかけたわずかな身に
懐かしい空を映す
風の愛撫にさざなみながら
二羽のすずめが水浴びする
天と地といのちが戯れ交じり合う
明 ....
燕 空をきりとり
風 わたる
空騒ぎの春は、とうに昔
さっき、
ガリガリ君買った時、
本当はビニール袋いらなかったんだけど、
2円引いてもらえるし、
で、悲しいことに、
レジのマイバックのカードがなくなってたから、
せーのって感じで、
あ、 ....
晴れわたった休日の朝に
僕にとっては
世界で一番優しいのは
君だけだよと
伝えたのだけれど
宇宙で一番優しいはずだと
言ってくれた年上の彼女に
僕がもし火星人と
浮気をしたらどうする? ....
雨音の向こう側に
ジェット機の爆音が
ごうごうと通過するのが聞える
わかりやすい
聞こえのいい
情に訴える言葉の裏に
狡猾に織り込まれた思惑が透ける
雨の向こうに
鳴り響く轟音 ....
しかめっ面だった
あなたが笑った5月
病室はただ白くて
昔の田んぼを思い出してた
写真たての家族を
あなたは今どれだけ覚えてますか
電気消せ
....
どこまでも続く空、軽やかに踊る風
今、遠い空の下で鳴り響く
一つの幸せを告げるるチャペル
あの日あの時同じような空の下で
小さな幸せをくれた君は
今、純白を身にまとい
大きな幸せを手に ....
すべる 若葉の上を
果てしのない空の歴程を越え
円い揺りかごに大地を包む
はねる ピアノのように
ひび割れた思想の冷たい黙示の上を
目覚めの兆しを死者の鼻先で踊る
はじける 終わり ....
あなたの黒い長い髪がうたうたび
わたしの胸はいちいちこまかく傷つきました
海岸のガラスみたいになめらかにちいさくなっていくわたしを
拾いあげて陽に透かして
その美しい呼吸を一瞬でも止め ....
ぼくの化石が、笑いながら尋ねる
もう春ですか、と
やさしい物音が辺りに満ちてきたから、と
そう尋ねた時、湖水で何かが跳ねた
漆黒の深い闇の底へ、光はすべて埋葬され、
1つの箱だけ ....
お母さんに会いたい。
風邪を引くと、
かさついた手で私の背中を一晩中さすってくれた
お母さんに会いたい。
太陽の眩しさの中で両手を広げ、
一心不乱に走っていく私を捕まえてくれた
お母さ ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107