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拝啓 きみがいた世界へ
あんまりにもあっさりと消えてしまうから、
わたしが困ってしまったことをきみはしらないでいるだろう。
電話口でそれを知らせた、きみの友人の泣き声を聞かなかっ ....
政府はよく骨太の方針を出すが
ぬけぬけと骨抜きにもする
新しく入った男は肉厚の女が好きだと言った
肉だって赤身と脂身で違うだろう
体脂肪率は見た目では解らないさ
マグロに関して言えば赤身が一 ....
寒い
朝と夜と
青い
海と目と
冬の流星群の
波にのまれたなら
私はきっと
ずっと孤独だ
宇宙の塵となるんだろう
君があの時
言いかけたことも
忘れてしまうのだろう
人 ....
深い森にわけい入って
静かに 静かに 息を吸ってみた
甘やかな熊笹の香りが
肌を包み
遠い記憶を呼び覚ます
ぼくは此処にいたんだ
ミズナラの巨木のきみが
ぼくを呼んだから
....
朝、おにぎりを握る
水に手をつけて塩をすりこんで
ほどよくめしを手にとる
手のひらに熱が伝わり
熱を握っていく
この世で握られたすべてのおにぎり
すべての人が感じた熱さを思う
炭化してい ....
角を捨てるのなら山がよい
季節の巡りごとに生え変わる角を
ひとまとめに籠に上げて持っていく
このあたりは古い窯場だから
埋もれて見え隠れする陶片を拾いに
屑拾いがうろついているのもちょうどい ....
知識の果実、による
異常肥満の精神
に、は
揺れる火が怖い
聖堂は黙す
ひざを折る彼、の
芯を修繕することを
慎ましやかに受け入れる
となりに並ぶ彼女の
骨の ....
発熱・咳・くっしゃみ・関節の痛み・逆流性食道炎
薬を飲んでも
ちっとも効きやしない
そうだ、最後の手はアルコール消毒だ!
先人の知恵から生まれた玉子酒は苦手なので
ウイスキーのロック ....
じゃりじゃりになっている
蜜のあわれを
さじで救い取る
瓶の中で
結晶になった
白い彼女はきれぎれになり
焼かれたパンの熱でそれは
ふたたび脆弱に溶かされてゆく
朝の甘い官能
....
あなたの認識はとてもしなやかで
私の岩盤の割れ目にいともたやすく滲み込んでくる
あなたは私を理解しても何も語らない
語ることが理解を無効にしてしまうことを知っているから
突き崩されたも ....
{引用=金のメダル
銀のメダル
銅のメダル
どれがあなたのメダルでしょう
(これはお約束だから)
銅のメダルです
と応えた
では銅のメダルをあげましょう
嬉しかった
三人 ....
天井一面に桔梗の花が咲いているという
わたしはそういうものが見える性質ではないので
驚いて友人に聞いてみると
特に悪いものではないらしい
おそらく先祖の誰かが好きだったのでしょう
たまには本 ....
昨夜の午前0時に
久々のチヤルメラが鳴った
ラーメンのドンブリを用意して
追いかけようとしたが
あのチャルメラは猛スピードで過ぎ去っって往った
チャルメラは歩く速度で流さなければ ....
{引用=たくらみを実らせた花はもう、少女ではない
女になれば脆弱な季節から嫉妬だけを学ぶ
かなしみ、は 夜を壊し牙をむく
いつも、淋しい姿で佇んではいない、と
教えてくれた あなたの沈黙は深く ....
ゆ!
気合いの入ったコンクリの煙突は
夜な夜な夜を吸いこみながら
湯を沸かしてるっぽい
一日 一生懸命働いた疲れをきれいに洗いながすために
この町の人たちはここに集ま ....
俺とお前は見えない糸で繋がっていたけれど
魂をみせあいながら
涙をおさえて
嘘の歌をうたった
勝利の先が見えない
歌を高らかに
深海に沈んだ涙をともに呑み
レクイエムをくちず ....
さらさら
さらさら
水はどこまでも
青く染まってゆくよ
或る日ぼくは透明な水になって
蒸発してしまうんだ
気体になってしまえば
空の彼方に消えてゆく
なにもいわ ....
古い本を開いたら
あったはずの文字が
ところどころ喰われていた
くいしんぼうの羊のやつめ
紙より文字が好きときている
古いインクは美味らしい
いい具合に熟成していて
ひと噛みすれば口 ....
窓の外が雨降りかどうか
知りたくなったら
行き交う人々の差す傘を
探せばいい
雨粒は見えなくたっていい
傘は雨のことば
青、赤、黄色の点滅で
雨の居場所を伝えてる
だけど今 ....
刑務所で子供を生んだ。
その子に「あかり」と名付けた。
闇ばかりだったあたしの人生に
あかりが灯るようにと。
あたしには、
殺人未遂経験がある。
14歳の中2の夏の日、
....
俺たちは昔からの路をたどりながら
遠い国から来たらしい
ジプシーと蔑まれながら
謡いながら踊る
そうして生きながらえてきた
おまえにもその血はあると想う
旅をするっていうのは
その場 ....
さあ お菓子を持っていきなさい
ぜんぶ持っていきなさい
キャンディーにチョコレート
クッキー マシュマロ おせんべい
袋いっぱいにつめて
ほらポケットにもまだ入るから
これは魔法のキャ ....
思い出
遊覧船に乗って
新婚だった妻と共に
数人の男女が目前で
騒いでいた
妻ふと船の屋外へ立つ
目前に広がる湖を
見つめていた
夏の夕であった
三七年夢のごとく過ぎ
苦しく ....
それまで
水の中を泳いでいたものが
産院のベッドの上で
あし。になる
それはまだ
自分を支えることも
出来ないけれど
あし。と呼ばれる
こんなに
ちいさく
まだせかいを歩いてさ ....
秋が連れてきた死神
彼の声を聞いています
宇宙の鼓動にも似た深い深い群青色の声
夏の魔物は突然姿を消しました
迷いなさい つぎの夜までに飲み込まれる
冷たい砂漠 ....
全ての汚れを知って
あなたは美しくなる
漆黒と深い赤
妖艶な瞳で見つめる
砕いた夢の果て
感情を散らかしたような空間で
涙と悲鳴は混ざり合う
瞬く光の中
あなた ....
年老いた漁師が舟を出す
どんな嵐の日でも舟を出す
獲物を市場で売り
貧しい食事をとる
変わっていくのは彼の目の色だけ
段々鮮やかに
朝焼けを映すようになってきた
波に翻弄され
嵐に ....
右に進むも
左に進むも
失敗を経験に変える道
十月の空 軽やかに
抜け落ちた天使の羽根
青へ青へと沈んで往った
解かれながら天の淵へと
いっせいに湧きかえる小さな羽虫たち
凝縮された生と死が充満した宇宙 裂くように
歩いて往く 衣 ....
名付けなさい
君を縛る暗闇を
君を閉じ込める闇の正体を見極め
君自身が
名付けるのです
例えば
「コウモリ」
と名付けたら
君の闇からコウモリが
切りとられた影絵のように
現れ ....
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