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誰かが教えてくれた
逃げて / 逃げて / 逃げまくって
それで無事に済めば / それは
たしたことではなかったのだと
....
月のひかりを浴びながら
つめたくなってゆく
花たちの夏
大樹の枝に
かぜは寄り添って
静かに通過してゆく
静かに
静かに
無かったことになる
命あるものの
頼りなさ ....
太陽は常に西の空へと往きますが
この地球上に立っていると
まるで停まっているようです
花はゆっくり開いてゆきますが
開花はまるで、魔法です
孤児を育てる里親さんは、言いました
「親 ....
親父の血管は動脈硬化で、か細くなり
心もとないこれからの日々を思い
深夜にぱっちり目覚めた、僕は
汗を拭って、身を起こす
今頃、隣町の空の下
親父はすやすや寝ているだろうか?
気が気で ....
天国が火事
放火魔は長い足で
山脈を跨ぎ逃走した
雲の上が赤々と燃えて
天使らはなすすべもなく
もだえている
白い裸体から
滴り落ちる汗、汗
まるでとろける
蝋のように
地上から空 ....
忘れられないのです
満月の夜に
海面が砂金のようでした
星々は だまって それを見守ってました
海蛍です
しずかに群れはじめ
そっと
この足首を
群れの真ん中に沈め
かるく ....
幅わずか20cm足らずの白線に仕切られた世界は真逆の世界
私のわずか右の世界では皆
私がいた過去に向かって進んでいく
私の世界は誰もいない
皆私の右側の世界を進んでいく
まるで私の未来から皆 ....
ふたりの距離を測る定規の長さが足りない
ここんところ
物忘れが多くなった
年のせいにしたくないが
やっぱり年のせいか
特に人の名前を失念してしまう
テレビタレントは元より
知り合いの名字さえ出てこない
先日も
道で女 ....
人のこころは
陽炎に揺らめく砂漠に置かれた
少しだけ水の入った
壊れやすい硝子のコップ
君の言葉で水は満ちる
放っておけばすぐ乾く
君の言葉が
君の愛が
僕を満たし潤し ....
嵐のように怒り
自分のために大雨を降らす
周りの者は巻き添えになる
はた迷惑な幸せ者
誰にも悟られたくはない
暗い海の底へ
暴れる心を鉛に詰めて
幾つも 幾つも
寛容と ....
蝶の道のように
川を遡る魚のように
潮が満ち引くように
陽が昇り落ちるように
鳥が巣に帰るように
私はこの家に帰ってくる
もしもあなたがこの家から居なくなっても
ここが私の戻る場 ....
祭りの翌朝
小雨降る広場で
ゴミと小銭を拾うお年寄りを蔑む中年夫婦が
小さな野花を踏んだ
こんなに綺麗な花なのに
本物の生きている花なのに
偽物だらけのこの世の中に
確かに信じられる ....
あめとうとう
硝子を濡らし
景色を隠し
ゆめうとうと
意識を揺らし
兆しを示す
ことばばかりがほとばしり
あぶらえのようにおぼれるみどり
ただあって 泣く まじりあって
....
私ね
きっと
こんなに夜更かしするから
明日寝坊するよ
私ね
きっと
夏休みの宿題
最後の3日で終わらせるよ たぶん
私ね
きっと
写真撮るの好きなの
一瞬を切り ....
もし、ifのお話でね
タイムマシンができたら
少し過去に戻って
やりたいこといっぱいあるの
まず失敗を取り返す
約束を破ったこと
忘れ物したこと
間違いを犯したこと
今だから反 ....
あなたが連れてきたのは、雨と汗のにおい
あなたはシャワーなんてあびたりしてさ
あたいは期待とソファーに包まれるのさ
犬を連れた二人の男が行き会った
血統書付きの犬を連れた方が自慢を始め もう一方に
「雑種なんか飼うのは時間の無駄だよ」
ああ 好きか嫌いか別として
そんな考え方があってもいいのだろう
もっと ....
会社の帰りに実家に寄り
母を乗せて 病院に行く
入院している父に会うため
一日中 林檎畑で働いた後
母は着替えて 私を待つ
七十歳を超えて 疲れただろうに
駐車場について 歩きながら
....
ぼさぼさの髪で起き上がって
冷蔵庫からグレープフルーツを取り出す
今日は関節が痛い
カーペットは今クリーニングに出してる
蜂蜜色の床にそのまま寝そべって
果実の匂いを嗅ぎながら
窓から ....
夏影を
蛇の身がなぞる
あおじろくつめたく
すべての陽がきえていく
汗が鎖成す、おまえの鎖骨
砕かれたもの
傷つけるもの
時代の浪間に
弄ばれて
俄に湧き上る想い
だが全ては白い泡のよう
摩耗して往く
意思 手足
蒼淡く ひと欠片 ....
八月。
私たちの街は。少し空気が、変わる。
街宣車が増える。黒塗りの車。
スピーカーから、流れるテープ。
ツーリストが増える。
大型バイクが空気を、揺らして。
外国人が、増える ....
黄昏のような明け方、夜の今際
悲しみに暮れる夕焼けの如き早朝は
空の青と昇る陽の赤が
混ざり合い織り成す紫
また明日、と言って君に背を向けた
その明日が今日だ
染まる雲の柔らか ....
窓を這う
ゴーヤの日除けに
蝉の声
首に巻いたタオルで
額の汗を拭く
夏の昼下がり
冷たい麦茶と
生ぬるい扇風機
微か ....
ミッキー
世界中の君がひとりきりのふりをするのは
掛け替えのない存在でありたいからかい?
ミッキー
今日君のぬいぐるみを抱きしめている女の子を見たよ
あの女の子にとって
君のぬいぐるみ ....
伸びざかりの庭木にも負けず
ぺんぺん草も群叢となって
素っ裸の夏をオードしている
セミのスケルツォに応えて
なのに 老 ....
散策の道なかで遭遇してしまった
街はずれの竹藪から立ち昇った
にびいろの烽火に─それは
宿命をあざ笑うタナトスなのか
四次元をのろうデーモンなのか
....
女神の濡らした豊穣の大地が
一人の女性によって焼かれようとしている
陽炎は松明の炎となり
真昼の宴が裸の男を誘い催される
神々が降臨した幻
ひまわりは証として黄色で照らす
まだ足りない
融け出しそうなアスファルトに
全てを投げ出した缶コーヒー
プルトップ付近から流れ出す
真っ黒な涙
この世の暗い暗い所を
かき集めて固めて挽いて
それでも足りない ....
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