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季節外れの薔薇をみた
薔薇を吸えば棘にひりつき
裂けた咽喉に根を張り、歌う
あぁ、私は美しさ故に人を傷つけても
こうして許されています
(なんて傲慢……)
咳は止まず、薔薇を吸 ....
これは
光のせいかどうかわからないけれど
私は体を持ち
呼吸をし
希望を持っている
これは光のせいかどうかわからないけれど
大丈夫
私は必ず守られる
これは光のせいかどうかわからないけ ....
青い雨が
灰色の空から降り落ちる
夢の中
白百合の頭部が
ポツリと
落ちる
小さな三角形の帆を張った胸が
なみだの波紋で揺れている
だれにもしあわせを
届けてあげられないので
....
Dance!Dance!Dance!
押し寄せる刺激的なメッセージに
いつの間にやら頭は痺れ
我を忘れ礼を忘れ時を忘れ
忘れた事も忘れ忘れ忘れて
誰もが誰かに踊らされてる
君も僕も踊っ ....
光の空、
いよいよ透明に青散らし
冬、深まる
深まる冬に
強い熱放つ、
太陽は天に貼り付いて
霊園に佇む墓石たち、
しづかしづか 白骨を打ち鳴らす
水を運ぶ両側で
一つの墓石 ....
冷えた空気で
赤くなる鼻を
そっと押したら
どこまでも行こう
その腕に掴まり
守られながら
希望だけが
呼吸を浅くして
空を超え
海を遊び
エレベーターは
止まらずに動く ....
まぼろしの人は戸口を開けて、歩いていった
後ろ姿が遠のいてゆく
夕映えへ連なる… 小さな足跡
――それを誰かは数珠と云い
――それを誰かはロザリオと云い
*
木漏れ ....
夢の蝶、舞う
遠去かる
宇宙の縁に触れ 燃えあがり
忽然と消え また現れ
あらゆる現の美をよろめかせ
その軌跡のおぼろな輪郭を
響かせて 響かせて
一日中快適な部屋にいて
出かける時には音楽を聞きながら車で
そんなこんなで
自分が 弱く ちっぽけな 存在 で
しかし
大いなるものに 確かに 守 ....
あの日
骨ごと断つ勢いで斬りつけた左手首に
病院のベッドの上であなたは
切り取った雲一つない青空を
私の傷口に深く埋めてくれた
重い曇天に覆われてる毎日の
奇跡的に雲が途切れた瞬間の
....
降りていく
夜空の底へ
降りていく
瞼を閉じて
降りていく
やはらかなそこへ
そこなきそこへ
はらはらはらはら舞いながら
やさしいことのは散らしながら
降りていく
宇宙の底 ....
銃で相手を撃ち殺す
などというのは
本当の戦いじゃあない
拳で相手を殴り倒す
などというのは
本当の戦いじゃあない
本当の戦いは
....
大きな災(わざわ)いが襲い
今まで煌々(こうこう)と
道を照らしていたと思われた
しっかりと根を張っていない
ちゃちな移ろう灯りは
悉(ことごと)く消え去り ....
餌をつけた針をゆらり
次の瞬間に竿はしなり針は
川面に静かに滑り込む
じいちゃんのとなりに座ってぼくはみていた
それから黙って手渡された竿を手に川面を
じっ、とみつめ ....
殴り続けた傷口は紫色に膿んで
吐き捨てた唾には汚れた血が混じっていた
敵など居なかった
敵など居なかった、どこにも
おれはただひとりで挑んでいただけだった
アルコールランプのよう ....
世を去って久しい、彼女は
開いた財布の中にいた
先日ふらりと寄った
懐かしい店の
薄桃色のレシート
ちょこんと、折り畳まれ
あまりにも無垢な姿で
離れると 音もなく
落ちた 花びらは
ひとつひとつ 冷たく発光して
私たちは 消失のただなかで
不釣り合いな接続詞を
あてがい 続ける
たくさんの繊細な 傷を
指でなぞり 再生して
....
とにかく今は力尽きるまで
自分の弱さと戦うことだ
力尽きたら
休んでまた戦うんだ
とにかく今は戦うことだ
大丈夫
俺は必ず守られる
『椅子』
もしここに椅子がなければ、
自分だけ
椅子がなければ、
どうするだろうか?
立ち尽くすのか、床に座るのか
だれかの椅子を奪うのだろうか
それとも黙ってその場をさるのか
....
僕はその頂きを極めて、その後で
それについて語っているわけじゃないよ
今はまだ、そこを目指してトボトボ、トボトボ、休憩したり景色を見たりしながらゆっくりゆっくり進んでいる段 ....
揺れて落ちて
踏まれた一粒が
私の涙だった
気がするよ
甘い味をした
透明なままの
レンズが割れて
元に戻せない
何も見えなくなった
夜の深さを
果実で埋めようと
手を掛 ....
ど どもる
ど も っ て し ま う
うちゅうのまんなかで
まんまんなかで
底を測る そそそここををを
まんまんなかで
うちゅうのまんなかで
ど も っ て し ま う
ど どもる ....
真夜中に広い低気圧が去り
黒雲は静かに消えていく
雨で成長した植物は何も答えることはない
太平洋に発生する温暖な高気圧は
ゆっくりと白雲と共に動き出し
隠れていた生物を無言で白 ....
ブックオフでうっかり見つけてしまったそのアルバムを購入したわけは
まさかあいつらがベスト盤を出すなんて、と困ったように笑ってた
懐かしい男のことを久しぶりに思い出したから
「こんなのパンクじ ....
風になびく
ススキの穂が
水面を滑る
眼差す太陽にギラリと光り
到来した冬は
情け容赦なく
すべてを裸にし
覚醒の輪郭を
与えていく
透徹として刄の ....
昔の番号に電話する
トゥルルルルルルトゥルル
深夜1時
折り返しの点滅
川は切り立った山肌に沿って流れていた。
夏になると近隣の子供らが集まって水遊びした。炎天の空の下。子供らの歓声が山あいにこだまする。
山肌から突き出た岩の周りはかなり深くて、自然とその辺りが子 ....
言ノ葉
純粋な
木霊
ト
なって
遠去かる宇宙
の
速度を
呑み返す
とき
、
宇宙は
やわらかな
うちゅう
ト
なって
原初の混沌を
木霊させる
やわらかなう ....
誰かが蹴とばした丸石が
転がって
僕の爪先にぴたり、とまる
――丸石は、{ルビ囁=ささや}いた
空っ風が吹いてきて
一枚の枯葉は{ルビ喋=しゃべ}りながら
アスファルトを、撫でてい ....
死
白い衰弱
歩いていく
静かに
行く人のない
この道を
生への意志、
燃やして 燃やして
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