小学生のころ
大きな紙いっぱいに
緻密な迷路を書いた
細いところで二ミリくらい
太いところで五~六ミリくらいの
血管のような道が幾つにもわかれ
そのひとつがまた幾つにもわかれ
それらがま ....
愛の包み紙を剥がして食べた
味なんかしない けれど
美味いとか甘いとかなんとか言っちゃって

以来 愛は無色透明 気配を殺し
居るような 居ないような

――気になるのは 破れた包み紙
 ....
雪は拭い去らない
覆い隠すだけ
日ごとに捲る
白紙のページ

忘却は灰ではなく
深みに沈むこと
どこか届かない
タイムカプセル

書き変えても
消去しても
記録を改ざんしても
 ....
雪を被ってすっかり閉ざされた
 枝の間 
小鳥は空を 
  ひと跳ね 
 ふた跳ね
すっ と吸われるように消える
とりあえず
生あるものは辺りから姿を消した訳だ
空を埋め尽くしていたあ ....
十一月十八日 江戸 秋葉原
野次馬たちの視線を七色に乱反射させ
聳え立つは巨大なギヤマンの壺
その目もくらむ頂上の 縁を走る 影二つ

永久脱毛された花魁姿のゴリラ
追いかける血まみれの巡 ....
秋の横顔は
暮れる空を向き
旅立ってゆく鳥の影を
ただ見送っている
あなたも早くお行きなさい
手遅れにならないうちに、と

バスは来た
回送だった
けれどいったいどこへ戻るというのだ ....
仕事もテストも駆け引きも

さいきん連戦連敗だ

もう少し若ければ

人生を投げ出してしまいそうなくらい


生きてきた自信かごう慢か

叶わないことに慣れてしまったってことか
 ....
伝えようとした
なんども 白い指先が

――風のすべり台
    すばやくくぐって

  冷やかさ 
    保てず

      触れるや否や
   潤みほどけ

数えきれな ....
ときに 言葉は
無力な吐息

ときに 言葉は
無神経な凶器

ときに 言葉は
こころ温める 熱

ときに 言葉は
魂を舞い上げる 風

こみ上げる
言葉たちの渦
極まれば
 ....
自分が虫になったと知った時
グレゴール・ザムザは紛れもなく人だった
グレゴールの家族が彼を虫として認めた時
それは毒虫以外のなにものでもなかったが

作者は残酷な創造者であり
読者はこころ ....
蒲公英の繊毛には色がある
白色は視覚化されるが
赤、青、紫、橙は花の妖精しか見ることができない
その色によって着地点は既に決められている

人間の心も同様である
人間の妖精は太古に滅んだ
 ....
意識はふくらみ 肉体から浮き上る
こどもの手に握られた風船みたいに
実体のない 軽すぎるガスで ぱんぱんになった
自我――今にも破裂しそう(でなかなか破裂しない)
が 明後日の風に弄られる
 ....
あなたが歌を歌う時
あなたは歌そのもの

僕が言葉を語る時
僕は言葉そのもの

僕等が一人ひとりの日々の旅路を
ゆったりと加速して…歩めば歩むほど
人間は歩行になる

――あっ 真 ....
水面から突き出し露わにされた
見えざる岩の 固く 鋭い突端
流れを切り裂いて
空間を満たしとどまることのない
               行進を
                ただ白く  ....
何十年も生きてきて
大抵のことは経験してきた
良きにしろ
悪しきにしろ
これからも色々とあると思うが
なんとか乗り越えられる
大丈夫さ
ここまで生きてこれたのだから
だから心配はしてな ....
詩を紡ぐということは
裸にならなくてはいけない
恥ずかしがっていては
心の襞は描けない

素っ裸にはなれない
野暮な言葉を並べたくはない

ええかっこしいが邪魔をする
綺麗な言葉を並 ....
はじめて新橋の飲み屋で、あなたと
互いの盃を交わした夜の語らいに
いくつもの言葉の夢がありました

あなたと出逢ってからの
日々の流れのなか
小さな、言葉の芽がようやく
土から顔を出した ....
年に二度バラを買う
六月と十月 ほんの数本ずつ
ずっと深紅のバラだったが
ここ何度かピンクだったような気がする

バラほど美しい花はない
見つめているとそう思う
自分のためには決して選ば ....
刀の{ルビ柄=つか}になりたかった
      かつて

 いまは
極小ビキニでありたい

真面目な話です
    詩についての




      《ちょっとだけ:2017年 ....
胸の芯がゆるゆる融けて
濁った冷たさと澄んだ熱いものが
混じり合えず争っていた
揺れる 琴線の 綱渡り
まばたきばかりが早足で
なみなみと杯は晴天を仰ぐ
降らぬ雨を数えてか
真昼の螢を追 ....
歌声が聴こえる
夜の海を越えて
さざ波のメロディに乗せて
誰かが歌っている
外を見れば灯り一つ見えない漆黒の闇
しばし アリアに聞き惚れる
私以外にも眠れぬ夜を過ごす誰かがいることに
ほ ....
   
満ちていた
哀しみ あるいは痛みのように
煌めいて
昨日を潤し明日を照らす
零れ 滴り 流れ落ち
さらに溢れ
駆り立てる
とどめる術もない力で
押し寄せる波
こみ上げる欲望 ....
 空には、星
 地上には、花

されど この季節には
宝石箱をひっくり返したような
幻想的な落ち葉の森

木漏れ日と艶やかな色彩は
晩秋の静寂に包まれ
聖なる空間を織り成す

言 ....
来春、息子が通うであろう
養護学校を見学する

教室の窓外から
先生に笑顔があるか、見る
こども達に笑顔があるか、見る
言葉を話さず無垢にも笑う
息子をあずける豊かな場かを

廊下の ....
フルート 高く舞い 歌う鳥
音を置き去りにひた走る稲光のよう
冷たい朝明けの空に溺れながら
命からがら 寄る辺もなくふるえ
ふるえながら鳴き叫ぶ――旋律


切れた指先で描いて見せる聾唖 ....
眼前に何かある
私の注意を引く何かが
私はその表面の埃を取り除き
それが逢えなくなった娘の顔写真だと気付く
同時に、
私の魂の奥深い処から
娘への郷愁憧憬願望ない交ぜになった
深く錯綜し ....
重ねてゆくとひとつになる
どんなにたくさんあっても

重ねてゆくとみえなくなる
どんなに綺麗なものでも

重ねてゆくしかない
流されたまま

ここからうまれ
どこへもゆかず
重ね ....
窓硝子に映った一角獣は
怯えることなく
凛としたまま
そこに佇んでいた

白い毛並みは金粉が混じったように煌めき
燃える炎の赤い瞳はつぶらなルビーそのもの
巻き貝を細長く伸ばしたようであ ....
早朝の駐車場
誰かが捨てたごみ袋を丁寧に
カラスが広げている
コンビニ弁当の容器や紙クズを
ひび割れたコンクリートの上
器用に嘴を使って


秋晴れの清々しい空の下
目ぼしいものはな ....
朝の古びた駅舎で
ペンキのはげた屋根上から
剥き出しの大きな電球が
辺りをそっと照らしている

ひとり、ふたり
音も無く通り過ぎ

これから街へ出てゆく、私も
何者かに淡く照らされて ....
ヒヤシンスさんのおすすめリスト(2301)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
迷路- ただのみ ...自由詩13*17-12-2
ある愛のソネット- ただのみ ...自由詩7*17-11-29
日々すこやか- ただのみ ...自由詩9*17-11-25
- ただのみ ...自由詩8*17-11-23
11月18日秋葉原で- ただのみ ...自由詩5*17-11-18
バス停- そらの珊 ...自由詩18*17-11-16
いのちを数えて- 吉岡ペペ ...自由詩717-11-15
嘘の種- ただのみ ...自由詩14*17-11-15
ときに_言葉は- 忍野水香自由詩317-11-12
なぜか今朝彼のことを- ただのみ ...自由詩4*17-11-11
ふわりの旅路- 白島真自由詩17*17-11-11
極めて人間的- ただのみ ...自由詩14*17-11-8
SPIRITS- 服部 剛自由詩517-11-7
流時紋- ただのみ ...自由詩17*17-11-4
ここまで生きてきた- 星丘涙自由詩9*17-11-3
裸になれない- 星丘涙自由詩11*17-11-2
小名木川のほとりで- 服部 剛自由詩317-11-1
十月の薔薇- ただのみ ...自由詩10*17-11-1
ちょっとだけ- ただのみ ...自由詩11*17-10-28
耐え切れず- ただのみ ...自由詩6*17-10-28
幻聴- 無限上昇 ...自由詩417-10-28
海が涸れる- Lucy自由詩14*17-10-27
メグリメグル- 忍野水香自由詩217-10-27
ひかりの棒- 服部 剛自由詩217-10-26
アンサンブル- ただのみ ...自由詩4*17-10-25
意識の鏡面- ひだかた ...自由詩617-10-24
- 朧月自由詩217-10-23
愛しのユニコーン- 坂本瞳子自由詩4*17-10-22
ルールとマナー- ただのみ ...自由詩9*17-10-21
照明灯- 服部 剛自由詩317-10-20

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