真っ赤な嘘っぱちを
誰も見抜いてくれなかった

橙色の夕日にとろけそうな
もはや追う者もいなくなった
逃亡者の長過ぎる影

気味の悪い戯言を並べた
ノートの頁は哀しく黄ばんで

 ....
公園の雪やまを
手作りのコメ袋そりですべる
子どもたち 
一年生か 幼稚園か
寒いも楽しい
声がひびく
日差しにきらめいて
晴れ間の青にとけてゆく


眺める距離は時間
心は容易 ....
白い都会の硬い土塁の中
あなたが灯をかかげれば
わたしは虹を灯す

遙かなやまの森の中でも
あなたが歌えば
わたしもさえずる

海の彼方の小さな島で
あなたが跳ねれば
こころは ....
波に逆らい
櫂を失い
沖を漂う小舟
潮に流され
雨に打たれた
辿る術もない星に
影を照らす月
遠く雲は霞み
振り返れば七日目の陽が昇る
怨んでも
風は止まない
ここは深い海 ....
 
言葉はいつも裏切るから

唇をあわせて

せめて、ぬくもりをちょうだい



 
暁のうたたね 夢の中で泣いて
白くぼんやりした夜明けの部屋に
ムウドだけが薄く残っている
メランコリックな仕草で 髪をかきあげる


オルゴオルの上で踊る 白鳥が優雅に
ころんころん ....
吐く息で散り 
舞う 雪の朝に
傷口のファスナーは下ろしたまま
眼差す問いが鷲づかみにした
瞑る心臓 跳ねる魚
口いっぱいに頬張って
ダシテ マタ クリカエシテ
僕は確実にろうそくより青 ....
私の胸から発する悲しみが
昏い宇宙を亘り
やがて優しさとなって
あなたの胸に届きますように
眠れないことは平気だという
君の夜中を私は知らない

朝には数々の時のかけら
君がいることにまた安心する

ひとは眠るとどこへゆくのか
ときおり握られる君の手を
包みたい私のこの目で
火がないのに
いつでも
沸きたてのお湯が出てくる
昔、むかし
食卓の上に
魔法瓶という魔法があった

ただいまと
帰ってくる
冬のこどもたちのために
とても温かい飲み物が
瞬時に ....
越えられない 許されてもいない
つるんとした壁を 軽々とひと羽ばたきで
容鳥は笑顔で越えていく 見たこともない
世界へ 想像の中にしかない静かな森へ


平穏な壁の中は 灰色の焦燥に
 ....
希望を乗せて放り上げられた球は
回転しながら
高く 上がり
ゆっ くりと
静・止 
  落・下  す    る


引力に負けてあえなく
抱かれてしまう
理想・思想・夢想
小さな ....
きみは、ぼくの、愛の痛み
そして誰も知らない言葉だった


忘れたことのない言葉だった でももう遠い
舌の上に転がしても 口にすることさえ遙かで


雪が降る、雪が降る、ぼくのさびしい ....
いいなあと思うのは
いつもつまらない地味なもの
特別じゃないありふれたもの

あなたの声や
地面に映った夏の葉影や
洗濯されてぶら下がってるチェックのシャツや
音のない雪の夜

生き ....
目をつむると見えるものがあった

遠くの山頂に輝く光
道は途中で草むらに隠れ
どこまで続いているか見えないけれど
どこかに沢が有り
林間に小道が有り
小動物の通る道など
きっと到達する ....
降る雪の間に間に後姿 
灰色に滲んで 小さくなる
誰も開いたことのない 図書館の古びた新刊書
端末はいつもいっぱいで 書物は忘れ去られる


早朝のバス停で 
凍えながら待っている
 ....
朝の胎動が谺する、
夜のなかで、
私はゆっくりお湯を飲む。
私のなかだけにしか、
あてはまらない鍵をゆっくりと
舌で転がしながら。
朝を待ちながら、
カプセルに入る。
光の囁きに目をあ ....
指先が触れる。
指先が動く。
私の一日がはじまる。
ことばを書くことは、
身体の一部のようなもの。
私がそっと、
何かの気配や、
匂いを感じただけで、
そこからもう、
物語がはじま ....
風が大河のように重い土地で
腰を落とし 捻じれて育った
樹は 首を傾げ 雲を聞いている
節くれだった片目で
ヒレンジャクたちのお喋りに
口をはさむでもなく
遥かな海や
見渡す限りの黄金の ....
ユキがフッた!
アタリつもって
デンシャ止まって
カイシャ困った
ユキにフラれた
つもりで当たって
あわれ荒れアレ
おわる恋かな
風吹くママに
ユキは降り降り
フリフリチラリ
シ ....
探して歩きまわっても
見つからない
昨日まではあったはず
何がいけなかったのか

「前に進めない」
目をこらしてみても
うっすらとしか見えない
手をのばしてもつかめない

どこにい ....
あなたが描いた絵を見た瞬間私は気がついた。
私は確かに、
あなたの側にいると。
緑や黄や、青や白で描かれた、
あなたの景色は、
私をいつかいた懐かしいあの場所に
連れていってくれる。
 ....
たなごころにスマホ
便利な無力感が軽すぎる朝

瞳に飛びこむ首のない鳩
飛沫で君の顔はぐしょぐしょになる

また一人死んだ
霧雨が沈黙を湿らせて

僕らが知っていることは
きっと一 ....
この空が青さを取り戻す時

あの空も晴れてくれるだろうか

優しい光は
隅々まで届いてくれるだろうか


あの子のもとへ
届けてくれるだろうか
ちょうど新月の晩
旅人は家族に会いたいと
強く願った

真っ暗な森の中
たまらずに声をあげて泣いた

声は木々のざわめきにかき消され
ますます孤独を感じずにはいられない

パチン
 ....
冷えた夜に冴えた月を眺めながら、
あなたを思い浮かべる。
私は窓の鏡のなかで、
薄皮を剥いでいく。

あなたの鼓動が私の身体に触れる。
私は刹那に哀しくなる。
歓喜に触れて哀しくなる。
 ....
 断章として出会う
わたしたちは
繋ぎ合わされた
死に往く者の断片として
齟齬と違和で腫れ上がりながら
ひとすじの清流であろうとした
 二人の詩人


                ....
消えてしまったよ
いくつも重なっていくうちに
それらは透明になって
ゆらいでいるのさ

何処かへ
風はすがた無くすすむ
僕の体温をひやしながら
斜めにばかり向かっていく

もうなん ....
オランダのチューリップ畑の{ルビ畔=ほとり}に
浅い川は緩やかに流れて
カーブを描く辺りに
一人の風車は立ち

やがて赤と黄色の無数の{ルビ蕾=つぼみ}は
過ぎゆく風に身を傾げ
遠い風車 ....
悲しみにもみくちゃにされて
いつの間にかこんなところに立っていた
そしてそこから
根が生えたように
動けなくなってしまった

春 夏 秋 冬
 春 夏 秋 冬 と
どれくらいの時が経っ ....
ヒヤシンスさんのおすすめリスト(2301)
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虹の後始末- nonya自由詩22*16-2-3
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冬眼鏡- ただのみ ...自由詩18*16-1-23
フラれ歌- ただのみ ...自由詩10*16-1-20
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巡礼- あおい満 ...自由詩916-1-17
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カンヴァス- あおい満 ...自由詩10*16-1-14
断章遊戯- ただのみ ...自由詩15*16-1-13
無の気配- 陽向∮自由詩13*16-1-13
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冬に- 渡辺亘自由詩316-1-12

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