たくさんの流星が
空から
やがて降ってきて
わたしはちいさな
おいのりを
ひとつ
くちびるは震えがち
言葉を
すこし信じたら
肩 ....
四肢を取り外し
自己を二重化し
病を重複化し
抗うように鎮座し
生なき性を加速し
象徴の根源を去勢し
現存在を断絶し
脈動なきエロティシズムで
無意識の覚醒を棄却し
抑圧の反作用で
....
港を背に
路地を抜けると
山の中腹に向かって
道は登っていく
海からの
北風を受けて
枯れかけた草むら
そこにあなたの
標がある
数えるのはもうやめた
齢だけじゃない
なにも ....
弱気の虫がうじうじと
しめった胸の内に這っていたので
気分を変えようと散歩に出かけた
公園には木の幹の周りを
丸い木目のいすで囲んだ優しい木陰があったので
荷物を降ろして腰かけた
....
無数のソーダ水の泡が
ソーダ水から夏へ飛び立つ
そのときの一頻りの冷たい破裂音を
私たちは聞きます
ね、
それは、模範的な別れの際だと
ほら、そのあとに残るぼんやりとし ....
枯れた花に心奪われて立ち止まる あの時の君の掠れた笑い声
キスが下手なわけじゃないんだ 本当は君の唇が苦手なだけ
入院してる友達のために折ってるのと
その子はちょっと淋しそうに
鶴を折っていました
それを手伝おうと
わたしも折ったのですが
できあがった鶴の
羽を広げようとしたとき
その子 ....
*
嵐の夜の、その翌朝、ひるがえるはずのない翼の夢に目醒めて、少年は歩き出した。岬の奥の家から、岬の先端の、海を臨む小高い丘陵へと。四年に一度の大きな時化の夜。その騒乱を波の背中に残して、空はひ ....
いつになく帰りの遅い彼を待ちわび、
うわぁーあたし超健気じゃーん?と肩で感じながら
鏡に映った腫れぼったい瞼と戦う。
ただいま
おかえり
今日はどうだった
特に何もなくてユキと騒いでた ....
{引用=八月の月で海鳴り
それでも僕らは響く波音を知っていた}
僕は今、紺碧の{ルビ海=マーレ}を閉じ込めた窓辺から
君に宛ててこの手紙を書いている
{ルビ ....
道端の親切にありがとうを言うおばあちゃん
電車のなか転職雑誌を広げて居眠りをするおじさん
パパの腕の中幸せそうにねむる赤ん坊
雑踏の中 たちどまるわたし
たすけてといえない教室
....
楠は#100、#150、#180、#220、#280、#400の順に紙やすりを当てると
曇りがとれて、すべすべになるんだ。
きょうは暑かった。
日が傾いて、ようやく軽くなった風が子供たちの声 ....
−祈りは役に立たない
いつか言われた
その言葉ずっと胸にひっかかっていたけど
やっぱり認められない
何かできることあるかなぁと探しても
何だかひとつも見つからなくて
結局いつも ....
あなたが
中古
静かに軋む二輪車の
匂い
角を曲がる
何かを思い出し
もう一度角を曲がる
イニシャルを失ったまま
あの縄跳びもまた
どこかへ行くの
駆け込み乗車は
錆びて
....
ゆうべのお日様と反対側の窓から
パリっと香ばしいクロワッサンとカフェオレを照らしていく
キッチンでは片手に乗るのからホームベースほどのお弁当箱に
基本は20品目の彩りと怒りと愛情をつめていく
....
その目
口
息
そのひそやかな
かなしみ よろこび
土のように
草のように
這うゆめ
翼は
灰色の空へ
海へ
(失うもの)
忘れる力
忘れぬ力
(沈 ....
ハーブの浴槽を
かき混ぜて
えらいねえらいねって
かき混ぜて
わたし、泣いてはいませんでしたか。
いいえ、それでも笑っていたんだと思います。
はらはらとこぼれていくのです。
あの小さ ....
白紙に色をのせるよに
言葉をぺたぺた並べていくと
彩に戸惑いうかびあがるは
像を結ばぬ心の調べ
淡にまぶされきわに立つのは
濃さに瞑れたきおくの階
筆に馴染んだ絵の ....
うたれるなら
雨がいい
果てるなら
土砂降りの中
世界が遠のく瞬間に
私は流星をみる
ここ何日か太陽光線により熱が体にこもってしまう
やっぱりこの夏の日差しというのは特殊で
例えば正義超人が本来持っていたような悪の観念と化学反応を起こし
恋をさせようとしたり
事件を起こ ....
エジプトに眠る少年少女らの夢であるかもこの世のすべて
着物から覗くあなたの白い脚 幽体離脱の感覚を知る
水色の街へと渡る鉄橋の錆びた思い出ながれゆく河
....
「私のひと押し詩人」というテーマでの依頼。
ひと押しというか、好きな詩人は、
1.有名で今さら紹介する必要もない人
2.ひっそりと書いていて紹介なんかされたくない人
だいたいこ ....
木葉からもれる独り言を浴びる
風は羽をからかいながら、
ツートーンの一瞬
鳥が夕にけたましく鳴く
1メートル50センチの
大きなトカゲが
突然下を向いて
ごぼっごぼっと吐いた
緑色のドロドロとしたものを
苦しそうに吐いた
トカゲは目をつぶって吐いた
わたしはそれをかき集め
ふと思い ....
遠い飛行機のような音を立てる
夜の、曇天
その鳴動、鳴動、鳴動、
大気は夜を続けるも
わたしは仰向けの形、ひっそりと静まり返り
暗く目を開けるだけで
何かを促す性能はな ....
森のかなたへ
碧をたどる
濡れた黒髪
指でなぞる
空をそのまま
うつしたような
蒼のしずく
ぽとり
ぽとりと
堕ちてゆく
ふかい水路へ
そこから生 ....
バスルームの飾り棚に
置き去りにされていた
JAZZの香
蓋を開けた刹那に
よみがえる記憶
ああそれは
一年も前のことで
そういえば私は
まだ泣いてもいなかった
立ち止まる午後
見上げる空
見下ろす街
切り取った直線のシルエット
時は規則正しく歩き
赤で止り
青で進む
直線の上
歪んで転がるもの
わき目に時は行く
....
夏を告げる鐘が鳴ると
少年たちの中で 天国が走り出す
光源のない白い光に満ちた中を
球や三角錐や立方体の闇が
行進する
思考線をよぎる空中魚族
(この椅子に坐るといつも
感応しようとしすぎてneuroticになるんだ)
その視軸 ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143