青色の幻覚に
溶け込んでいくよ
白い機体が
溶け込んでいくよ
ふわ、ふわ、ふわ、ふわ
飛行機型のラムネみたいに
少しずつ粉を溶かしているみたいだ
機体の証を記すよう ....
私は元来
無口な男でありまして
うっかり、思慮深く思われがちですが
それは、本心を秘めている
というより、むしろ
現すタイミングを計れない
どうにも不器用な人間なのです
何か言わ ....
コンタクトレンズをしようと思って目の中に入れようとしたらそれはテントウムシだった 足を縮めてまるで本物のコンタクトレンズのように見える
僕はきゃっ と驚いてテントウムシを落としそうになった 僕は ....
思ひ出の少なき恋を庇ひ庇ひ青き月夜の古き浜辺へ
2007/04/19
切り刻んで
切り刻んで
切り刻んで
切り刻んで
切り刻む
鶏の餌にするつもりで切り刻む
鳩の餌にするつもりで切り刻む ....
弔いの言葉が捌かれて
彼らはそれを咀嚼する
通約された痛みの淵に
紫紺の{ルビ輪=ループ}を描きながら
桜は
自らの闇に向かって落下する
....
http://www.youtube.com/watch?v=NllPZ5_Tw40
*
会話であったはずの
数千年は
次の朝には
朽ち果てていた
....
きみの魚にふれたくて
えら呼吸を切望したら
肺が痛んだ
朝への開口を防ぐように
その
呼吸のひとつ
くちびるを
置いていく
きみの鳥をとびたくて
背中にそらを作ったら
煙に ....
星の雲と砂
夜の水かさ
わたしが生まれた理由より
さらに遠くへ
離れゆくもの
サーカス 移動動物園
肉から物から聞こえはじめる
わたしではないわたしのかたち
ぬかるみの ....
ざわめいている
てと
てあしと
あしと
ならんでいる
そして
すこし
おしかえし
ている
ひとは
よなかに
やさしく
しんどうする
ざわめきを
すみずみまでつた ....
ねえ、
昨日の夜は何してた?
私は眠れなくて星を見ていたわ
あの星は、あなただと決めて
一番明るくて、まっすぐ私を見ていた
あなたの星はキラキラしてて
すっごくキレイで
私は悲し ....
果てしなく続く乾いた砂地が
太陽の熱で温められ
そこに幻の水が出現するように
終わりなく続く乾いた心が
生きたいという気持で温められ
そこに幻の言葉が出現する
私の詩とは
そんな ....
あっ
と九十過ぎの{ルビ老婆=ろうば}が言うと
黒い杖はエレベーター十階の
開いたドア下の隙間にするりと落ちて
奈落の底で
からんと転がる音がした
「 杖も毎日使われて ....
君は
君の家に入らない
雨が降っているというのに
軒下の風を嗅いで前足を舐めている
私の上には屋根があるので
髪に降るよりも
雨は、
硬質な響きで
音の羅列を渉っていく
....
1
眠れない夜は、
アルコールランプの青白い炎に揺られて、
エリック・サティーのピアノの指に包まれていたい。
卓上時計から零れだす、点線を描く空虚を、
わたしの聴こえる眼差し ....
まとわりついてくる光の粒を
まとわりつくまま歩き出せば
光はしびれをきらしたように
ぽつりぽつりとうたいはじめる
ああもうこんなに沈んでいたのか
足を持ち上げ
足のかたちが ....
頰杖でまどろむ窓辺何もかも
透き通ってゆく水晶夜にて
草のゆめ針の夢またむらさきの
時のうつろい夜は傾き
果敢ないと花びら時に散るならば
....
自分の娘が二人の娘を連れて実家に戻ってきたら、どんな気持ちがするだろうか。三人の娘も無事に結婚したし、そろそろ引退でもするかな、と思っていた頃に、また娘と小学生の孫娘2人を扶養しなければならなくなった ....
頭の中につまっているよ
つららのように出来たんだろうねこの
目にうつるものたち
首の後ろがちりちりしてるんだ
太陽にあきらかにされた
急勾配の斜面の野原を
こわれかけているしずくがたくさん ....
わたしたちはいつかきっと死ねるのだから
ジム・モリソンもシド・バレットも
ヴォネガットだって死ねたのだから
今は死ねなくても
こころさわやかに朝の唄をさえずろう
ゆっくりと自分を殺してゆくた ....
あなたに似ている
と。言われたくありませんでした
わたしはわたしに過ぎず
あなたのクローンではないのだから
あなたがいなければ
生を授かることはありませんでした
それだけは否定でき ....
あなたが
この頃やさしいのは
何か企みがあるのかと
首を傾げていましたが
いま、この橋にたたずんで
ようやく気がつきました
もう
春なのですね
欄干にもたれて
あなたの
い ....
夜中
水道から
ぱたぱたとなみだ
海になんか辿りつかないのに
机の上で
しまい忘れたサラダが
哀しい彩りで居場所をなくしてる
きれいに一人分だけ残して
あたたかみをなくしたイスが
部 ....
世の中には春が訪れたというのに
一人だけ取り残されたかのように
生活に冬が続いている
わずかな陽だまりにその温かさを
見つめるしかない生活
小さな机の上には
灰皿と百五円の使い捨てライター ....
かき氷海の近くでたべました
背中の星が重いから
飛翔しても
飛翔しても落ちる
てんとう虫の
ちいさな宇宙
野の草のように
持ち上げたものの重みに
ひとも耐えているが
あまりにも大きなものの中で
あま ....
{引用=
手紙のうえを 匍匐する 春の補色残像と 虚飾で
ペン先が 紙を愛撫する この前頭葉には 潤いが
どうも足りず 西洋風の
横書き ....
あんなに痩せっぽちだった友だちが今はひとりぼっちになってた
スリッパを並べると自分にもお客さんがあるみたいで嬉しい
ウォーリーを探せ、と言われてウォーリーしか探さないような子でした ....
ある日突然
街から空が飛んでいってしまった
青い空は街の向こうへと
逃げていってしまった
残されたこの場所は
街から出される煙で
空をつくっていった
灰色の空はきれいな灰色だが
それは ....
腰折れて溶け行きしもの花冷えのあくる日風の光り増しけり
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60 61 62 63 64 65 66 67 68 69 70 71 72 73 74 75 76 77 78 79 80 81 82 83 84 85 86 87 88 89 90 91 92 93 94 95 96 97 98 99 100 101 102 103 104 105 106 107 108 109 110 111 112 113 114 115 116 117 118 119 120 121 122 123 124 125 126 127 128 129 130 131 132 133 134 135 136 137 138 139 140 141 142 143