墓標に刻んだ自分の名前に背を向けて
てのひらはいつまでもとどかないのです
生きることの意味を知らされないこぶしが
硬く握られたその先で照らして
夕日が水平線を越えて旅立つこの場所で
朝日 ....
ボール紙の小さな箱が濡れしおれている
白地に赤い矩形を散らした面は泥じみている
その上で蟻の細い行列が幾筋も
行きつ戻りつし交錯しあっている
つややかに黒い頭蓋のうちの
....
ぼくは詩人
美しいものを感じるとき
それは幸せが生まれる瞬間
今日もまた
朝の散歩をしていると
小鳥に出会いました
近くの木に止まっては
綺麗な鳴き声でさえずる
こ ....
きのう
夢の中で
誰かが死んだでしょう?
ボクの夢の中で
毎日
誰かが死んでいく
君はそのことを知っている
それは
君が仕組んだことなの?と
おそるおそる聞いてみる
ひ・み・つ ....
ギガバイトのうねりのなかで
わたくしの三半規管
忘れない 忘れたくない
あなたの 優しい こえ
花蜜から花蜜 あまりにも
気まぐれ過ぎる あなた
プラトニック と プラスチック
....
すべての音楽
すべての詩や小説が
慰みにならない時が
勝負だ
涙が乾いたら瞳孔が開いちゃうだろう
お前がこれまで背追ってきた傷を自慢するつもりなら
お前は狂うよ
....
新幹線のドアの出口を
今日もニュースは流れてゆく
私たちの住む国は
800兆円の借金をしている、と
そう
そうかも
私たちの豊かさは
何を犠牲にしたのだろう
労働があって対価がある ....
どんなに遠くを見つめても
そこは一面のブルースカイ
「青」は
けしてきれいな色じゃない
少なくとも
けしてきれいなだけじゃない
無邪気に微笑んで
悲しみを忘れるために見上 ....
(夏)
波音の届きそうにない
部屋でただ
いき過ぎるのを待ってる
テレビにはめ込まれた
冷たいガラスの匂いだけが
わたしに似ている
(秋)
言葉になり損ねて ....
鏡に映せない
言葉は綺麗な現象
だから私には
似合わないのです
指をつたう血が
涙と同じ温もり
人の温度と気づくから
生きると言うことは
{ルビ連星=アルビレオ}を見る ....
こめかみのあたりがくすぐったいと思ったら
眼鏡のフレームに風がひっかかってた
春の先触れを逃れた冬の風がまだ残っていたらしい
そういえば今朝の風には幾筋も冷たい冬が混ざっているようだ
....
桜/が
咲いて/いる
色/素を失った
少女の/(染/み)の/いと、おし/ さ
吸い込まれた/瞳/と深呼吸
/数秒の(儀式)/
殺生/の真理が咲き乱/れ
接吻/の ....
君の固く閉ざした唇が
すこし緩んだから
僕の眉間も緩んだ
緩んだ口元から
笑みがこぼれたから
僕の目尻も下がった
こぼれた笑みが
そこら中に溢れ始め
眩しさに笑った
....
あの西の空を埋め尽くす枯野に
鶴の声がきこえる砂漠を描くあなたは
役目を終えた旅人のように 晴れ晴れとして穏やかです
静まりゆくあなたのその瞳をたたえる 夜のみずうみは
いま 爽やかな風 ....
その手 静かに
ティーカップに添えられ
石のように
また
白い風のように
{引用=
午後の日差しが軽くなったと感じる。
....
この、聞こえない左耳で
この耳で聴いてみたい音
それは、世界に
あふれる音ではないのです
時間を追い抜いていく時計の刻む
バンアレン帯に太陽風が吹き付ける
海溝の暗闇で深海魚のため息
....
涸れ果てた喉を潤す故に
あなたは涅槃まで水を引くという
(お空あお過ぎて
(わたくしの心模様もあお過ぎるのかしら
あお空を見上げ続けることは
あまりにもつらくて虚しいから
....
私には自分が岩であった頃の記憶がない。だが、確かに私はかつて岩であったのだ。恐らく私は、人の欲望に汚染されることのない高山の頂上付近で、時折空から降ってくる虚無の波を一身に集めていたと思うのだ。ある ....
寝ても覚めても
と言ったら嘘になるので
覚めているときに話は限定されるが
覚めているときは
いつも
同じことばかり考えている
眠る私はきわめて自由で
木製の魚にまたがって
月まで飛 ....
空は 晴れて
緑が 萌えて
鳥は 唄う
どうしようもなく
春で
朝で
まぶしくて
どうしようもなく
私は
女で
せつなくて
風が「る」のような ....
夭折
{引用=まだ生きているのか
そんな声が聞こえるのは
夜の 穏やかな枕の中だ
まだ生きている
時代を通過して
場所を通り越して
まだ何とか 生きているのだが
もう生きて ....
もしあなたが箱に帰れば、そこには誰もいない。
立て付けの悪い扉は、また今日も軋んで、耳のどこか奥を刺激する。
熱く匂う空気で染められ、空気には動物の匂いが染みついて何とも言えない。
どこまでも湿 ....
鍵のかかった時計の針から
音だけしている
止める事で
生かされるものに
従った
まざらない光だと
闇に ゆだねた
けれど 痛みは
あなたの
手におえないだけの
窓まで ....
一月前
長い間認知症デイサービスに通っていた
雷造さんが88歳で天に召された
だんだん体が動かなくなり
だんだん独り暗い部屋に置かれる時間が多くなり
ある日ベッドで瞳を閉じて横 ....
太陽のしずく
果てしない海
{引用=
港では妻が夫の帰りを待ちわびていた。
妻は夫のために編んでいる、縄模様の
セータ ....
見知らぬ小鳥が
甲高い声で
空にむかって告げたので
今日は見知らぬ春
葡萄の一粒が、私の中の
行ったこともない場所で
裂けて、流れ出す
見知らぬ季節
もう二度と会わない風が
....
この日頃
心に映ったいくつかの言葉たちが
モビールになって
中空に
揺れる
長椅子あたりに
たたずむのは
けれどもう溶けて消えかかっている
誰かの
不在の
かたち
陽射し ....
花色を
包むような霧雨の
白く
ここはまだ、冬の肺か
冷たい呼吸の薄い圧で
梅が散り
色は
夢でしたか
混迷を招く為の五感なら
あ、
あ、
快く陥り
....
温もりが恋しい夜は君の名を3回呼ぶと魔法がかかる
ゆびさきで思い出すのはやわらかい春の午後とか君のくちびる
ストロベリーみたいな憂鬱(隠してる)心そっと触れて欲しくて
目を閉じて夢の ....
行方知れず
見つめながら
同じ目になる
夕映えを聴く
鼓動とくちびる
覆うにおいに
まぶた白く
片方ふせる
午後の火が鳴る
遠くをわたる
雲のかたち ....
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