ここは田舎町だから
電車の中はいつもの様子
ポツンポツンと
どこに座れば良いのか
迷ってしまう
どうせ辿り着いてしまう

ガタンゴトン
揺れる
窓の外には
見慣れているという
さ ....
{ルビ銀=しろかね}の雪が空より
舞ひ落つる冬枯れの森
侘びしかる風の音聞けば
時移る草葉の思ひ

細やかに流るる川は
透き落つる冬枯れの森
悲しかる水の音聞けば
時映る雫の思ひ

 ....
みどりいろの切符を買って錆びた電車に乗りましょう
髪にすみ家を作っている鳥は「火ぃや、火ぃや」と鳴きますので
火が欲しいのでしょうね
さむいのでしょうね昨日しとしとと降る
           ....
ロウ石の描いてゆく円のあどけなさで
季節を跳ねわたる赤い女の子は
その胸に、またひとつ
ちいさな宝石をあつめて

伸ばしかけた指先
静かにたたむ陽だまり

いつか
桃いろの少女へ
あたたかな深い世界と
冷たく閉ざされた陸地の
あいだにおかれたからそれは
あなたに触れたときの私の肌
のように、あしもとでざわめく
むねのどこかで
小さなちいさな六分儀が
あやふやに極星 ....
昼飯が終わって席に帰ると
閉じたパソコンの上に電卓があった
そんなところに置いたつもりはなかったが
なんだか光って見えたので僕は手にとってみたのだ
いつも使い慣れた電卓は実は僕のものではない
 ....
告知、{ルビ其=そ}れは、まさに告知であった
寡黙な感情を破り
寂寞の暗闇の中で
出刃包丁を手にしたのだ
右腕を、切り落とすために
告知
(わたしはもう絵描きをやめる・・・   ....
いつの日の窓辺に聞いたとおい歌
    盗んで消えるおもいでの耳


汽笛すぎ残されゆくは草鉄路
    待つだけの駅呼ぶだけの風


なぐさめを知るか口笛おおぞらに
    心を放 ....
ガラスに溺れている
他愛のない光の粒
漫画のような宇宙と
十月に揺れる何かを
五線譜のお皿に
のせたまま

すべての嘘が
優しくほほえんで
窓辺に腰をおろして
待っている

海 ....
すこし遠回りな帰り道
緩やかにカーブしたその先は
西の方へとまっすぐ伸び
私の歩みを止めるには
充分な光景でした
いま少しで
山際に架かろうとする陽の
最後まで惜しみなく射す光は
山茶 ....
雨滴が窓に流れて

十月の始めの夜

よく揺れる電車

じつはもう雨はやんでいる

急行から乗り換えます

タウン オブ エタニティ ハッピーで

今僕の家は高井戸

巨大 ....
つ…
つ…


湿潤を終えた葉の首の付け根を冷気が断ち切れば
涸れた維管束の行く先が、風とされる
そしてその葉の薄い鋭い赤い輪郭が今度は
冷気を切ってゆく
ああ、切 ....
              ―刺青


そこには船があって
ずっとずっと遠くで
何かを引きずりながら
航海を 続けている

そこには涙があって
ずっとずっと近くで ....
 太陽の雫が落ちてくる丘で
 あなたからの便りを待ちました
 やがて日が暮れ
 梟が夜を歌い上げる頃
 あなたの寝息が聞こえてきます
 あなたは私を必要としてますか?
 そんな問いにさえ答 ....
黄金に色づいた銀杏の葉が

枯れて萎んだプラタナスの葉が

静かに落ちてゆく


それら微かな音にも
わたしの耳は鋭く応えるのに
あなたの声が届くことは無い

印したインクの滲み ....
{引用=

一、斜塔

あの塔は
いつ崩れても
おかしくはない

その
語りは
誰かにとって
あたらしきを築き
誰かにとって
もはや
壊れたままのかけらで
見えないはず ....
買った記憶もないのに
本棚に入っている本というものがある

まるで私の目を盗んで狡猾に忍び込んできた
小動物か何かのようだ
そしてそれは
小動物となることで
本としての役割を ....
砂糖黍畑を走るおさな子はいつかのわたし汗まで甘い




エメラルドグリーンは父がちゅら海を恋うる口ぐせ目じり細めて




「白百合は雑草だった」と言う父の故郷奄美は千キロ先に
 ....
わたしはくま
バニーにも
子猫にもなれなかった
ちょっと可愛くない女の子
だって言われても
好きなのは甘いハチミツ
大きな森の小さな家で
あなたと暮らす夢を見る
わたしはくま
バニー ....
ぼくらは
ゆめをくう

ねじまがった
すぷーんで
すくいながら

ぼくらは
ゆめをくう

ふるえるうでに
ありったけの
ちからをこめて

くるくる
ひとみをだきしめながら ....
人は
過去を切り捨てられないまま
今を動く現在がある

人は
今を動く現在があるから
変えることのできる未来がある

人は
生まれてきた事実を否定できないまま
今を生きる現在がある ....
日々の風景が
柔らかい布で
硝子の小鉢を撫でている

堆積する繁華街の雑音と
踏み付けられたスニーカーの踵と
人知れず花びらを千切る風

この窓の外側では
幼い子供の笑い声と家族の灯 ....
ごごっ!

大きな声で吠えたんだ
犬の
コロちゃんのような
声だから
声だから
午後の声だから
空間に消えるのだ
周波の跡を手探りで追って行く
空間だから
届かない
波の無い ....
見覚えのない住所から
冬の匂いの封筒は届き
記憶の引き出しから
銀のペイパーナイフと
あらん限りの想いの欠片とを
わたしは交互に取り出す


かさり、と開くと
月夜の薄明かりのなかで ....
都会の中の植物園は
いつも静かなまま
大きな木の根は
下水道や地下鉄よりも
ずっと浅く
かすかでしかありません
雨をしのげる大きな葉が
静かに広がる

都会の中の植物園は
いつも黙 ....
あ、と
きみをおもいだすのは
たぶんとても自然なことで
それでいてとてもいいかげんだ

ことばのあいだのくうはくに
わたしたちは寄りかかろうとする
かなしいのかたちをしたよるが
よろけ ....
賢い主婦はスーパーで
手前から古い牛乳を買うのだそうだ

ここにいない死者のために

未来
まだ生まれこぬ子供らは
つまり
まだ死者の国

私たちは循環する
古い牛乳を破棄する ....
       
      1

ゴルゴダの丘の受難が、針のように、
人々の困惑の眼を包んで、
砂塵の闇に、厳かに、消えてから、
すべてを知った空は、
瞬きもせずに、顔色を変えることなく ....
夕立の中で君は背骨を読んでいた。

真っ暗な瞼のうらに現れているみどりの正三角形を、
くうきを吸い上げた則妙筆でなぞるように
繰り返してみる。

大地を這う蛇に似た、
千万(ちよろず)の ....
流すというよりは
こぼれるという感じ
涙が線を
引いていく

まるで上から下へ
潤いを運ぶ川のように
一筋の流れがかすかに伝い

(ぽ、と)


                ....
こしごえさんのおすすめリスト(4283)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
車窓- 青山スイ自由詩6906-11-15
冬枯れの森- ぽえむ君自由詩12*06-11-15
錆びた電車で- ふるる自由詩16*06-11-13
桃いろのつぼみ- 佐野権太携帯写真+ ...22*06-11-13
波、とはもう呼ばない- たりぽん ...自由詩18*06-11-12
電卓は- 黒田康之自由詩406-11-12
「告知_〜午前二時の手帖〜」_ー山下石榴_・服部_剛ー- はっとり ...自由詩4*06-11-12
とおい歌- 石瀬琳々短歌18*06-11-10
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船と涙- 水在らあ ...自由詩30*06-11-7
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秋の日記- LEO自由詩19*06-11-7
小詩集【ルナ区の片隅で少年少女は】- 千波 一 ...自由詩18*06-11-5
忘れられた本- 葉leaf自由詩17*06-11-5
父と奄美と追憶と- まほし短歌18*06-11-4
わたしはくま- 恋月 ぴ ...自由詩21*06-11-3
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人には未来がある- ぽえむ君自由詩12*06-11-3
琉球硝子- はらだま ...自由詩12*06-11-3
午後の空室- あおば自由詩11*06-11-3
ベルベットの夜- 銀猫自由詩24*06-11-2
都会の中の植物園は- ぽえむ君自由詩8*06-11-2
ユーフォルビア・レウコケファラ- 自由詩7*06-11-2
今ここにいない死者のために- umineko自由詩13*06-11-1
遠い眺望- 前田ふむ ...自由詩17*06-11-1
背骨を読む- はらだま ...自由詩9*06-10-31
創書日和「流」_誘い涙- 半知半能自由詩706-10-31

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