すぎさるものいとし
いつものみちよるべなく
てのうちいれた指の
すぎるもの零れぬよう
はかりにかけるちのこえ
わすれてに仕舞う
いちぢくのみの爪さき
海のうちおちてくみ
ゆうど ....
君は何色なのかぼくは知らない
けれど 君の言霊が心地よくて
逢えるのが楽しみだ
ぼくはその優しさを抱きしめて生きている
西の空を眺めては
日々の約束を頼りに
君の名を呼んでいる ....
オカリナを吹くことになった
メロディで三曲
選曲はわたしの自由だったが
オカリナは音域が狭いので
吹ける曲はそう多くない
「翼をください」と
「たんぽぽ」と
「昴」を吹くことにした
....
青銀色の
光る
風に
吹かれつつ
ここで生きる私
・
名の無い鳥を
見送る
名の無い私の
名の無い気持ちが
芽を出す朝焼けへ
うちのたまは五百円玉が大好きで
お腹いっぱいになるのは十五万円
過日お腹が痛いというので
たま専用の銀行ATMでうんちをさせた
もうそろそろ
またお腹が痛いというだろう
たまは食いしん坊で ....
夜中に目が覚めた
真っ暗な部屋に夜がひとり
しんと静まり返った夜が
ぽつんと立って、
なにも言わずにずっといる
朝まで立ちつづけたら
きっと疲れるだろ
よかったら、
ボクのそば ....
グラスを傾けながら
あの頃を想う
何も持っていなくて
三本立てのリバイバル映画を観ては
涙ぐみ
午前零時閉店のクラッシック喫茶が終わるまで
バッハとチャイコフスキーをリクエスト ....
お互いさま
と
あるお方が
言ってくれて
救われました
・
からださん
いつもいつも
ありがとう
こころさんも
ありがとう
笑いながら
泣いている私と
すべてのヒトが
いなくなっても
星は光っている
....
凍ったフロントガラス
朝日が少しづつ彼らを懐柔すれば
やがてそこは完璧な薔薇園になる
回旋塔のはがれかかった塗装から
こぼれ落ちるドライフラワー
校舎の壁にはヒビの花が
鉄屑には錆の花が
....
――外気温2℃。
深夜の阪和自動車道を
オートクルーズで突っ走る
後部座席には竿がある
目的は、磯釣りだ
前回の屈辱を晴らすべく
ウキをハリス側にセットした
これで仕掛けは撒き餌と同 ....
年を取ると
悲しむ力さえなくなる
わんわん涙を流しながら泣いたのは
いつだろう?
知人や友人の葬式に行っても
焼香して故人の顔を見て
「お疲れ様でした ありがとうございました」
などと言 ....
ひこうきぐも、
それは、ひこうきが飛んでゆくように、
あっというまに経過してゆく、
とても楽しい、
ひとときのあとの余韻、
ひこうきぐも、
それは青空にもきざみたい、
ぼくのよろ ....
たおやかな月のきみよ
今宵はその光のもとで
美酒を酌み交わそう
夜の{ルビ静寂=しじま}はまだ浅く
誰に遠慮をすることもない
さあ! 飲もう
暁は遠くに在り
時計の針はとても遅い ....
小さな小さなキミは
迷路遊びが好きだった
渦巻きの道を
ぐるぐる進む
勇敢な旅人
お気に入りの小さな雨靴で
ずんずん歩く
僻地で
草も花もない道だったけれど
ときおりバタークッキーの ....
ワイフが「五十肩です」と医者に言われ
うれしそうであった
病名の患者に与える影響というものは
少なからずあるものだろう
例えば「難病です」と医者から言われたら
患者のショックはそうとう大きい ....
冬の朝陽ほど
有難いものはない
今朝も朝陽が障子いっぱいにあたっている
まぶしい!
朝陽を浴びながら夫婦で
定番のご飯味噌汁納豆をいただく
子もなく孫もなく財産もない身なれども
あたる朝 ....
いろいろな物事を私は
楽しんだり味わったりすることを
覚え始めましたよ。
今を
生きるために
こんにちわ、
北風さん
扉のない家にようこそ
ひとつしかない部屋には
暖炉があって、
メラメラとよく燃えているだろ
冷っこいおまえさんを
ポカポカにしてあげたいから
しばらく暖 ....
豪雪地帯の雪は
人の命を奪う
時もある
白い悪魔だ
キレイな
永遠にありがとうだけど永遠に
変わり続けることに
変わりはないのです。
かなかなの歌を
うつらうつらと聞きたい
月の輝く夜は
星々も遠慮深くため息をつく
彼女はとても気まぐれで
若葉の季節を待つ人々も祈りを捧ぐ
豊穣と子宝を授かるように
失くした封筒は開封しないままに
いったい何処へいったのだろう
鞄の中も
机の引き出しを探っても
書架のページをめくっても
探したけれど見付からないので
誰か心覚えがある人はいませんか
{引用=
そのことについて
その後のことについて
しゃがんで空を見た
そこには何も無い。
そのことがそのあとにあったのであれば、
その前のことを想像しま ....
枯れた公園の人は疎らで
みな肩を狭めている
5月には香る薔薇が咲き誇り
恋人たちは手を握り
至福を味わっていた
月の光に照らされて
レタスが芽生える5月
いまは寂しい季節だけど
....
純白の頬を手で触れて
氷山の漂う
海原深く
沈んでいく夢を観る
一瞬から醒め
眼見開けば、
孔雀の鮮やかな羽ばたき
一閃する輝きの矢、
夜陰の街並みを
大勢の南国の人々
....
空気を吸う
命が在る
水を飲む
命が在る
米を食う
命が在る
シラスを食う
命が在る
肉を食う
命が在る
汚れた体を拭っても
消えない汚れ
矛盾が叫ぶ夜 ....
誰かに教わったわけでもなく
ひれもないのに
泳ぐ術を知っていた
不思議
暗闇の水は透明なはずなのに
烏賊墨いろ
触れる
包まれる
抱きしめられる
身ひとつだけの
図式
へその緒が ....
明日の自分に期待して 今日は寝る
昨日の自分に期待されてると ちょっと嬉しいかも
でも期待に応えられなくて また明日の自分に期待する
馬鹿だから
いつまで経っても懲りないの
....
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