ゆめからさめようとするとき
ひき潮のけはいがする
現実にうちあげられて
そういえば
さくばん黒い虫をころしたことなんかをおもいだしている
永遠に置く不毛なことの筆頭にかかげよう
今日が ....
幻のステージに、
昭和を生きた女がいる
鳥の羽根で飾られた衣装を纏って
ジャズとロックンロールと演歌を混ぜた
──アジアンであり、
──洋風でもあり、
戦争に負けた戦後の日本みたいな
....
深海の水底に眠る者たちよ
我らはいま至福の中で歌っている
君たちは永遠に若く
我らは次第に歳をとってゆく
君らが捧げた{ルビ生命=いのち}は
決して無駄ではなかった
傲慢な思想 ....
金と銀の龍は螺旋を描き
{ルビ蒼穹=そうきゅう}をかけ昇り
久遠の果てまで行ってしまった
アレクサンドリア図書館に
地球の円周を解き
数学者は美しい数式を描いた
ガンジスの行者は
....
朝霧のもやる中で
ぼくは尾瀬の夢をみた
ニッコウキスゲの咲く湿原に彷徨い
{ルビ詩=うた}を歌いながら
ぼくは大切な何かを忘れてしまい
グルグルと彷徨った
あれは何だろう
ルビー ....
会話だけでは
君を理解できない
熱いキスをしないと、
心は通わない
一晩じゅう愛し合って
瞳と瞳で想いを映しあわないと
夜が白みはじめても
心は暗く閉ざされたままだ
どうか ....
山のように険しい丘を登って仕事に通っている。
いろんなことを考えながら登る登るわらわらと黒い心を吐き出しながら機関車のように汽船のように人から嫌われようと人に諌められようと私は私人生は詩は誰のも ....
小さな毎日
小さな出来事
日々無数に
繰り返される
小さな世界の
小さな偶然の中で
僕は であった
消えてしまいそうな
小さなあなたに
小さな体に
小さな寝息
ちっぽけで ....
三月に降る小雪をつかまえようと
手のひらを天にむかって
差し出せば
どの子もふわり、
風にひるがえりながら
上手にわたしをよけて
アスファルトへと着地するから
こんにちはも
さようなら ....
朝のみそ汁から
かつて棲んだ磯の香りがした
循環する水にうまれるいのちのすき間
それをすくいそそぎ入れた
湯気が消えてゆく空にうかぶ
一羽のかもめ
炊きあがった純 ....
目覚めは1人ぼっちの朝に始まり
誰もいない街を歩く1人きりの昼
終わりは明かりも音もない孤独な夜
1つや1人はたくさんあるのに
私は私だけ
夢の橋を渡ると、
ショートボブの君がいた
会えて嬉しい
と、可愛い仕草で笑う
それからふたりは、
君の村まで歩いて行き、
南国風の立派な家で
沢山のキスを
揚げたての天ぷらで食べ ....
はなびら、
すいへいせん、
タイムリミットのある、
うんめい、
あのひ、
うちぐつ、と、そとぐつ、
は、きわめてらんざつに、
はきかえられて、
つりあわない握力で、
掴んでしまった、 ....
何度も捨てようとして
捨てられなかったガラクタを
長々と引き摺りながら
早咲きの桜の下を歩く
まだ冷たさを宿した風に
背中を押されるままに
歩道に散らばった花弁を
踏みにじりなが ....
古い家だった
古くて大きな家だった
子どもの目には
それはとても怖いものだった
しかし、大人になったぼくの目には
それは、それほど大きくはなくって
子どもの頃に描か ....
地球という星がある
国境はない
猫に餌をやってから
今日のことを考えよう
子宮から出てきて随分経った
時々帰りたいが
もう帰れない
もう帰らない
雨があったかくなって
ほんとうだな、って
雨が あったかくなってるねって
ほころんだね梅が
そろそろ 空によく似あう
さぁさぁくり出そう
今日はとてもトライアングルな気分
また見 ....
一
面取のない
三角定規で引いたガクガクッ
こころもとないあの日の線
それ宙の果にただようガスの森
誰かが時を人と無理に結ぶため時を隔て
違う誰かが拡がる空間を国家としてな ....
ラ、
ララ、ラララーン
高級食材が半額になる
奇跡の瞬間、魔法のシール
ら、
ら ら ら
シールが貼られるまでの
ワクワク タイム~♪
グルル、グァオウ!
飢えた 猛獣 ....
月と鏡はお似合いの恋人だから
同じ夢を語りあっているのだろうか
耳をすませばその囁きが
少しは聞こえてくるかもしれない
梅の花はほころび
君たちに祝福を歌ってくれている
ねえ… ....
三寒四温の山と谷を
喘ぎながら
自律神経と前髪を
弄ばれるまま
季節のせめぎ合いを
掻い潜り
遊歩道をふうわり漂うのも
それほど悪くない
視界の端に色を感じて
振り仰 ....
かつて幼い女の子の髪を結んだリボン
うすももいろでつるりとしたサテンの手触り
持ち主をなくして
しょげかえっているかといえば
案外そうでもなくて
虹へ続く路を
しゅるっしゅるるる
先頭で ....
母は とっても母である
家に虫がでれば 騒ぎながらも冷静で
しかしスプレーが見つからないと慌てていた
ある時
アシダカグモが 卵を抱えて現れた
「ぎゃ」といいつつ 母 ....
光りと闇の狭間で酒を飲め!
草原の覇者のように夢を見よ
新たな世界はすぐ其処にある
胸を張り眼前の壁を崩せ
地の果てまでも路は続く
お気に入りのコンバース
とうとう底が抜けちゃったな
くるぶしがぬるりとつめたくて
出来たての靴擦れを二月の風が撫でて過ぎる
お気に入りのスニーカー
ぼろぼろになっても一緒に歩いて行きたかった ....
愛は強くしなやかに
恋は切なく甘酸っぱくて
歓びは高く天を突き破り
悲しみは深海に沈みゆく
光りと影の協奏曲が響きあう
天空の彼方から銅鑼の音が響き
東の風とともに
青い龍が螺旋を描き
舞い飛んできた
干からびた大地に
人々は飢え
龍を待ち望んでいた
鉛色の厚い雲が湧き立ち
雷鳴は轟き
銀の雨が降る
....
もう起きるのか
朝から騒がしい 春と冬がもめている
どちらも「まだだ」と言い張っている
冬眠していた生き物も目覚めが悪い
始発の電車はすいていた
ゆっくり座席に座り
眠気の中で私の中のあた ....
宵闇に
想いをつくし
風に舞う
言葉を失くし
琥珀に浸る
往きゆきて
墨の流れに
身をまかせ
{ルビ闇路=やみじ}の{ルビ褥=しとね}
{ルビ花埋=はなうず}み
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