買い手のつかない
あの家のガレージに
クリスマスツリーが眠ってる

誰も開けない
シャッターの内側の
冷たく積まれた
スタッドレスタイヤの横で
去年の飾り付けのまま

彼女はラ ....
   1

やさしいきみはあまやかな声の中に居た
水のせせらぎの癒しにも似た音色
きみは水で形成されたうつくしい水精(ナンフ)だった
ぼくはひとつの水槽の中に入るように きみのなかに熔けてゆ ....
夜の窪みに熱、流し込む
冷える体に脳髄羽交い締めにされ
それでも何とか意識保ち
熱流し込む、夜の窪みに。

(幻の子供たち、
布団の周りを飛び跳ね

私の愛情は何処にも繋がらず
生き ....
霧吹きのような雨はふかみどり

胸の奥まで吸い込んで

わたしは森になる

しばらくすれば

じゅうぶんに水を含み

耳を傾ける

彼らは

永遠を指し示すこと ....
あなたのために
死んだ妻がベーコンを焼き
熱いコーヒーをカップに注ぐ

あなたは匂いに誘われ起き出して
何もないテーブルを見つめて
新聞を取りにいく

ベーコンを焼いてパンを切り
コ ....
銀色に光る水しぶき
小学校の
プールが見えた

陽炎の中に
まぶしく輝く森

まるで
他人事のような
暑さの記憶

いつまでも 耳の奥に
歓声がこだましていた

一体
何 ....
水族館は
ひどいと思うの

ちっこい箱に
魚の一生閉じ込めて

全速力で泳いだら
ぶつかるような彼らの居場所

冷たいガラスに手を当てて
同じ軌道を病的に泳ぐ
アザラシの目を見つ ....
淡い光の中のライト・ブルー
誰もいない湖はピーコック・ブルー
風にそよぐ花サルビア・ブルー
静かに揺れたミント・ブルー

あの広い空はスカイ・ブルー
雲の流れるままにセルリアン・ブルー
 ....
  入り口の方にあなたが立っていたが
  出口の方にも同じようにあなたが立っていた
  べつに邪魔をしているわけでなくただ立っているだけのこと
  そういえばそのような薬物をわたしはどこ ....
柄にもなく花を買った
10ドル
病室であいつは
5歳のように寝てた
俺に気づいて目を開けた

窓の外はグレー
冬らしい雪

古タイヤを囲み
暖をとる男たちの




 ....
いつだっただろう
眉間の裏側の暗闇に
地図が置かれているのに
気づいたのは

等高線もない
記号もない
縮尺も方位も分からない
その地図は

日々の出来事に
カサコソとなびい ....
描くことができない白

書くことができない白

語ることができない白

ただ観ることしか許されない白

白と呼ばれることすら拒絶する

月の光の指先

月の光の吐息

 ....
原田さんはクラスメートだ
原田さんは園芸部の副部長だ

原田さんが幽体離脱を繰り返すのは最近拾ったオッドアイの子猫のせいだと言う

原田さんはイレギュラーバウンドする
どこへ行ったのかわか ....
オレンジを切る
六等分に切る

大きいのと小さいのができてしまって
やっぱりさ
みんなおんなじってむずかしいね

大きいのをあなたに
そうおもってよくみると
オレンジのかたちが
ま ....
 
 
夜、ベッドの中で 
妻はいつもより濡れている
ぎゅっと抱きしめると
ぼくの腕の中で 
あっけなく崩れていった 
豆腐だった
水切りが足りないことに
どうして今まで
気づいて ....
 
八重桜

そこで枯れていくのか

{ルビ雪洞=ぼんぼり}もとうにないその公園で


 
指きりをしましょう

大切なことを忘れないように

私の手のひらにあるものの
かけがえのなさを
忘れないように

あなたを一生かけて幸せにするという
決意を忘れないように

子供 ....
眠っているなんて嘘さ
眠っている時は
みな死んでいる

でも
それじゃ怖いから
眠っていることにしておくのさ

子守唄は
眠りの友達ではなくて
死の隣人だったのさ

死を知って ....
詩のすぐ傍に
時折死があるのは
詩を読む人が
死のことを知りたいと思うからです

詩のすぐ傍に
時折希望があるのは
詩を読む人が
絶望のなかでも生きていかねばならないと知っているからで ....
 透明の氷の中に泡ひとつ 
         がりりと噛んで恋を終わらす

 川に咲く半透明の氷花 
         いきつく海で碧い実となる

 大切なものを氷結してみます
     ....
私が
こうして
文字を綴るのは
この
鉛筆の芯がなくなるまでのこと

あれ
もう芯がないや、と
気づいてしまうその時を
想像すると
やはり切なくなくなるけれど
きっとその朝は
 ....
二月の天空は
コートも着ないで
冷えるのにまかせているせいか
時々
くしゅん、くしゅしゅんと
くしゃみして
そのたびに小さな雲をまきちらしている

いや、雲ではない
あれは羽じゃない ....
王国に
オカリナの音が響き
それを合図に
門が開かれました

死者にはもう悲しみはないのです
先に逝ってしまったことも
とりたてて
悲しいことではないのです
それはこの世に生きるもの ....
たねは
ねむっている
どんなゆめをみているのだろう

たねが
かぜにとばされた
すこしふあんになってふりかえる

たねのきおくは
らせんのようにつながっている

たねは
たびを ....
私の頭に
時々帽子がぷらりと帰ってくるよ

遠い昔
だれかが
私の髪の毛をくしゃくしゃっと
した時の
あの切ないような感触を
私の頭は覚えているよ

みんな
自分のことだけで精一 ....
子供の頃
古めかしい三面鏡が
部屋の隅にありました

木目模様の板に貼られた
三枚の鏡はそれぞれに
蝶番によってつながっていて可動式でした

普段は折りたたまれているのだけれど
ぱた ....
ぽっかりあいた
空洞は
ただ ひたすらに
まっている

「おかえりなさい」と
言う時を

夜の孤独は
しんしんと冷え
柱時計が時を刻む

ぽっかりあいた
スリッパの
空洞の ....
なんのために
歩くのか
それが死への行進であっても
もはや
退くこともできず
ただ祖國の土を踏むことだけを
夢見て
凍土を踏みしめて行く
泣く力はとうになく
乳さえ吸う力もない
赤 ....
言葉なんて
なんの役にも立たない夜があった
抱き合った体温が
生きている今を
実感する唯一の術であると
感じた夜があった

舌と舌が出会い
いくつもの嘘を従えて
口腔内で生まれ出た言 ....
あの子は
人間樹木になって
森へ還っていきました
さあ
嘆き悲しむのは
もう止めにしましょう

春には
芳しき白い花を咲かせ
やわやかな緑の新芽を指先に這わせ
虫や蝶を友とし
秋 ....
リリーさんのおすすめリスト(1157)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
12月の雨の下- mizunomadoka自由詩316-12-24
水精- 本田憲嵩自由詩516-5-4
分裂- ひだかた ...自由詩6*16-4-30
休園日- 自由詩37*16-3-23
- mizunomadoka自由詩415-11-12
陽炎- ガト自由詩8*15-8-10
ブルー- ガト自由詩1*15-6-15
ブルー- 未有花自由詩12*14-11-6
悪魔- 草野春心自由詩714-8-20
smoke- mizunomadoka自由詩514-8-6
地図- nonya自由詩23*14-5-14
月下美人- nonya自由詩21*13-10-6
原田さん- 佐東自由詩5*13-7-5
オレンジ- 朧月自由詩713-5-24
湯豆腐- たもつ自由詩9*12-5-23
八重桜- 殿上 童自由詩20*12-4-29
約束- そらの珊 ...自由詩5*12-2-9
- そらの珊 ...自由詩7*12-2-7
子犬のワルツ- そらの珊 ...自由詩4*12-2-7
氷物語- そらの珊 ...短歌7*12-2-6
風の棺- そらの珊 ...自由詩20*12-2-6
みちくさ- そらの珊 ...自由詩6*12-2-6
オカリナ- そらの珊 ...自由詩7*12-2-5
たね- そらの珊 ...自由詩812-2-4
帽子- そらの珊 ...自由詩9*12-2-4
三面鏡- そらの珊 ...自由詩10+*12-2-3
空洞- そらの珊 ...自由詩8*12-2-2
チチハルからの渡り鳥- そらの珊 ...自由詩10*12-2-2
HELP- そらの珊 ...自由詩10*12-2-1
人間樹木- そらの珊 ...自由詩9*12-2-1

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