蟹鍋の
シメは雑炊に限ります
独断ですが
鍋を預かる私の特権なので
異議は認められません
鍋の湯に
眼に見えないほどの
小さな粒子になって
溶け出した
蟹の
本当の味がします
....
もしも今夜世界が終わるなら、参鶏湯を食べる
無人島に何を持っていくか、迷い続けてる
ああ、そうだ、小さいころ綿菓子屋さんになりたかった
どこかにきっとあると時々さがしてみるうちは、た ....
「ダリの絵も悪くないね」と狂気ある
君の笑顔も ぐにゃり歪みて
Sadeを聴きながら灰汁すくい取り日曜の午後ゆるりたゆたう
うつされた微熱で溶けるキャ ....
ひと巻きをよけいに編みしマフラーの愛はちょっぴり重いのがいい
いいこともわるいことも君がそばにいてくれるのなら全部いいこと
来た道をまた帰るだけ簡単なことができない恋は球体
{ ....
{画像=111225214607.jpg}
淡雪に似ている
さよならのカタチ
静かに
ただ降るだけで
積もらない
積もらせてみたってしょうがない
そんな淡雪
忘れなよ
吹雪 ....
さあ、
詩を書こうと思ってひねり出す言葉と
太陽を浴びて
じわりと体温があがり
沸騰はしなけれど
静かに蒸発してくものを
理科室にあるような
ガラスで出来た清潔なフラスコに
再度集めて ....
私は
鏡の中で火傷の痕を
そっと
指先で確かめる
年月を経て
それは大分薄くなって
セピアに変色した
フォトグラフを連想させる
右頬に
てん、てん、てんと
程よい距離を置いて存在す ....
【わいぱあ】を
最速にしても
効かない
激しい雨が
フロントガラスをたたいていく
きっとこんな風に
前後不覚になるほど
ぐちゃぐちゃに
泣ける人は
幸せなんだろうなあ
思い ....
君が唄う愛のうた
もう
歌詞さえ忘れてしまったけれど
確かに
君は唄っていた
窓辺のひだまりに置いた
鳥かごの中で
無邪気に
金糸雀が{ルビ囀る=さえず}ように
石造りの ....
{画像=111225205033.jpg }
恋をすると
人は弱くなる
いつか失う
その日のことを思って
砂糖菓子のように
もろくなる
恋をすると
人は強くなる
この一瞬こそ ....
針葉樹が生い茂る
森の奥深く
みづうみがあった
風もなく
濃緑(こみどり)をたたえた湖面は
鏡
同時に
境界
線
そこに映る景色は
さかさま
あたかも
そこに
もうひとつ ....
足が痛む時
私は足の存在を感じる
手が痛む時
私は手の存在をみつめる
心臓が痛む時
私は心臓の在処を想う
痛む時は
普段忘れているものたちを
思い出させる
誰かからの電気信号なのかも ....
小さなガラス壜の中は海
群青のさざなみでゆらめく
海をコレクションする女は
孤独であるけれども
絶望的に孤独ではなかった
本当の海まで
もはや歩いていくことは不可能
この部屋から出る ....
リリィ
あの娘は私のことをそう呼んだ
いつまでも友達よって
つぶらな瞳が笑ってた
毎朝
私の髪を象牙色の櫛で梳かし
樫の木の椅子に座らせてくれる
あの娘は私にいろんなお話をしてくれた
....
薄暮に出現する影は
限りなく
薄い
太陽が西に消え
その魔力から
逃れた
サターンが
息を吹き返す
何処へ
行くのですか?
柊の赤い実が
真面目な顔して
問う
ええ、この ....
折り紙
あなたは何を折りますか?
折り鶴
空へ飛ばしませんか?
紙を折れば線がつく
たとえば人生が一枚の紙であったなら
線の数を讃え合いましょう
紙を広げれば最初からやり直せる
....
宇宙国銀河太陽三丁目地球日本師走なう。
癒されて励まされてるひだまりのような笑顔にそっとありがとう
太陽をたっぷり吸った綿布団幸せもっと増やす気がして
冬の朝鍋の湯気にて温まり「 ....
今日の議題は今日の空! 昨日でもなく明日でもなく
誰にでも優しい男がいたけれどこの空みたいと思えばよかった
命って一人がひとつ持ってます持ってる間は生きています
病室の四角い窓が今朝 ....
舗石の下には砂
自由の下には旗
投げつけられた火炎瓶
怒号、
硝煙、
五月革命のパリ
嘘つきアルベール
誰しもあなたのことをそう呼んだ
真実ばかりじゃ息がつまっちまう
たまには嘘 ....
「平和な時代のこの国に
生まれたことを感謝しましょう」
先生は言うけれど
教室の陰惨ないじめを知っちゃいない
もしくは知っても知らんぷり
そのうち開き直ってふざけてるだけだとすり替える
次 ....
1.詩人
一人の詩人は
自らの詩をオルゴールに閉まった
そして時々、宝石が
散りばめられた蓋を開ける
身分証明が必要なときや
金に困ったとき
....
引き潮に雨音が混ざる
夏の浜辺
探せなくなったあの子の
足跡が消える
砂に残る蛇模様
かすんでゆく水平線
瞳の奥でざざんと縛 ....
ぼくはまだいちご泥棒と眠りたい置き忘れたものばかりの園で
衝動を積み上げていく指先に梶井のレモンわたしのオレンジ
気だるさはインクに滲み水底の青い散文髪に絡まる
....
絶え間ない雨が静けさと共にやってきて
見下ろす街路を濡らしていた。
ガス灯は霧にかすみ
木々は風にゆれていた。
音もなくわたしは窓に触れ
祈りの言葉をそっと呟いた。
ストーブの薬缶がコ ....
君の唇の くれない が
僕の内側を伝い落ちると
日常が育んだなけなしの植物群は
夢見るように朽ちていった
君の爪の くれない が
僕の外側を掻きむしると
日常に着せたつきなみな制服 ....
ほとんどのことは
なんてことないんだよって
どうにかなってくんだって
教わったのは
病院の、ロビーで泣きじゃくるわたしに。
無言で母はわたしが立ち上がるのを待ってくれたね
何時間も
根気 ....
光の跡を指で辿って
途切れては、また
切なる時間の中にいる
瞬きに願いを乗せることもなく
水面に寄り添うのは
想いが透き通るから
清水に耳を傾けるのは
貴方の声を ....
胸の隙間に悪魔は住まう
銀色の透いた髪をなびかせて
くるりとした眼を緩ませて
ただたおやかに笑っている
狡猾な悪魔は隙を狙う
優しさを振りまいて
甘 ....
湯豆腐を上手く使ってダイエット
計画し夫婦揃って春旅行
寒日和心震わす風痛い
気がつくと、渚が後ろにあった
最近やけに足が濡れるなと思っていた矢先のことだった
後ろなど滅多に振り返らないから気がつかなかったけれど
ふと振り向くと、後ろに渚があった
ひたひたと波の打ち ....
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