{ルビ麺麭=パン}には、バター。 
御飯に、味噌汁。 

人間も、自らを引き立てる 
誰かさんが、必要で。 

以前は朗読する僕の後ろで 
キーボードを弾いていた君が 
ある日、舞台に ....
遥かに遠い昔 
すでに 
バベルの塔は、崩壊していた 

一九九九年 
世界の中心に建っていた 
N・Yのビルの幻は 
黒煙の中に、姿を消した 

二〇〇九年 
未だに人々はバーチ ....
わたしは一切のものを 
この業欲な手に 
所有することは、できない 

わたしが一切のものを 
この手から離す時 
初めて、目に映る世界の姿は 

{ルビ完=まった}き天の、贈りもの  ....
僕は君という詩が好きだけど 
僕は君の望んだ詩になれずに 
やがて別れの季節は、訪れる。 

なにをどうしようと 
足掻いても 
誰のせいというでもなく 
仕方のない、ことがある。 
 ....
遥かな夜空の彼方から 
世を去った友の涙が一つ 
ぼくの頬に、落ちてきた 

イヤフォンを入れた耳には 
(can you hear me?) 
という唄声が繰り返され 

昨日、遠い ....
今、(遠い異国の空の下で、産声が上がった) 
今、(夜の踏切で急ブレーキの悲鳴が、夜空を割った) 

今夜、どんどん膨らんでゆく宇宙のなかに 
今夜、みるみる病んでゆく街のなかに 
世界の始 ....
 今夜、遠い空の下の鳥羽で、一人の詩人の通夜が行われた。その時僕は、旅先の秩父から、地元の鎌倉へ戻って来ていた。何処から書き始めるべきかわからないが、川村透という詩人は、その正義感の強さ故に、かなりハ .... その昔、無数の電車が地面の下に潜る前・・・ 
東京都内の全域に、のろりと 
路面電車が走っていたそうな 

  かんか〜ん 

発車ベルの音がして 
気づけば目の前に立っていた 
小ち ....
わたしはここで 
世界や国を変えようと 
背伸びをする訳でなく 
只 
目の前にいる 
ひとりの人が倒れていれば 
明日を待たずに 
手を取って 
不恰好な二人三脚で歩いていると 
 ....
何故生きるかって? 
目の前を覆う 
すべての霧を射抜いた 
明日という、夢の為さ 
無味乾燥の時間に 
一本の絵筆を持って 
いろを塗るのは 
他の誰でもない、自分です。 
かつて薔薇のように美しかった 
5月生まれのお婆さんは 
先週、深夜にベッドからずり落ちて
車椅子にも乗れずに足掻いていました 

かつてメディアの第一線で 
活躍していたお爺さんは  
 ....
今迄のオイラは 
少々の向かい風が吹けば 
へこたれて 

縮んだままになっちまう 
ひ弱な{ルビ御玉杓子=おたまじゃくし}なのであった 

物語の続く台本を、いつも
何処かに投げ捨て ....
自分の姿を鏡に映しても 
人の姿を眺めていても 
人間は、何かが一つ、欠けている。 

鏡に映る、等身大の自画像と  
鏡の前に立つ自分という人の
向き合う間に、ささやく風は 
今日も密 ....
飛騨高山へと走る 
ローカル列車には 
マレーシアの5人家族が 
横一列に、座っていた。 

カメラを首にかけた夫が 
向かいの席にいた僕に 
英語で話しかけてきて 
僕はカタコトの単 ....
すべてに嘘をついていると 
思ってしまうような 
意気地なしの日がある 

そんな日はいっそのこと 
大事な人にも
くるりと背を向けて 

誰にも見つかることのない 
秘密の場所のド ....
「LePoet」という 
木彫りの文字が 
ゆらり、夜風に揺られている 

その看板を下げた店の 
隣の家の竹垣に、ひっかかり 
雨にぐっしょり濡れた 
毛糸の帽子 

店の洋燈に照 ....
夜行列車を降りた旅先の富山で 
朝から無人のグランドに行き 
雪化粧した立山連峰に目を細めながら 
お兄さんと、キャッチボールをした。 

玄関を開いて部屋に入ると 
春に生まれたばかりの ....
お気に入りの詩集を開いて 
(いい詩だなぁ・・・)と思い 
目次に並ぶ題の上に 
丸をつけたら 
手が滑って 
凹んだはーとの形になった 


  * 


ほんものの詩というの ....
旅の列車に乗り 
ふと車窓の空を見上げたら 
日輪の周りにあらわれた 
大きい虹の輪 

アルプスの頭上に広がる
いちめんの空が  
車窓の僕に 
何かを云っている気がした 
仕事を終えて 
草臥れた足を引きずっていった 
夜の職場の食堂に 
巨きな鮭のお頭達が 
どっさり、皿に盛られていた。 

たじろいだまま 
ぼうっと手を出せない僕に 
焼かれた白い目 ....
婆ちゃんが三途の川を渡ってから 
いつのまにやら9ヶ月 

日曜の朝早く目覚めた僕は 
思いついたように動き出し  
あまりの遺品の多さに 
ほったらかしていた
戸棚の奥から 
次から ....
頭上には 
世界の全てを覆ってしまう 
曇り空 

足元には 
この世に産声をあげた日の
ひかりの種 

あぁ生きるとは 
{ルビ嘗=かつ}て地上で
夜の{ルビ灯=あかり}の下に揺 ....
{ルビ嘗=かつ}ての僕は頼りなく 
些細なことで今にも崩れ落ちそうな 
不安な、不安な
青白い魂でした・・・ 

今の僕は 
昔の服を脱ぎ棄て 
無明の闇に、瞳を閉じ 
高まる胸に、手 ....
終電のすいてる車内の空席に 
リュックサックを放り投げ 
{ルビ転寝=うたたね}をする僕に 

(ちょっと・・・邪魔)と言い 
わざわざリュックをどけて座り 
{ルビ草臥=くたび}れスーツ ....
車椅子のお婆ちゃんの 
トイレ介助にゆこうとしたら 
誕生会の司会者さんに 
(ひとことを・・・)と呼び出され 
お婆ちゃんは同僚にまかせて 
会場に向かってわたしは走っていったのです 
 ....
らんぷの灯の下で
古書を開く深夜のひと時 

遠い過去から 
著者のたましいが 
私にそっと、語りかける。 

いのちの宿る一行に 
無心で引いてゆく線は 
宇宙を貫く、流星です 
 ....
かけがえのない友が
生きる場を失い 
追い詰められてゆく 

無慈悲な社会の偶像に 
人波の渦の中で立ち尽くす僕は 
只、拳を握り締めている。 

君に電話するといつも   ....
休憩室の入口に 
逆さに置かれた、左右の靴。 

すれ違いそうになりながら 
互いは離れられないように 
日向で{ルビ時間=とき}を、止めていた。 

(ひとりっきりの靴ほど 
 寂し ....
「 赤イ羽根共同募金ノ御協力、オ願イイタシマス 」 
後輩ふたりを左右に、僕はまん中で募金箱を首から下げて 
通り過ぎゆく人々の誰かの胸へ、ひとつの声が届くよう 
道化のふりした明るさで、一心に ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
オノ・ヨーコの伝言 自由詩3*09/12/22 22:33
蜃気楼の都市 自由詩4*09/12/22 22:15
星夜 自由詩3*09/12/22 21:54
空の背骨 自由詩609/12/14 23:43
呼び声自由詩309/12/9 23:02
0歳の詩人に 自由詩309/12/7 23:29
世を去り逝く詩友への手紙 〜追悼・川村透さん〜 散文(批評 ...609/12/7 22:36
都電荒川線自由詩509/12/6 8:15
風の声援 自由詩209/12/6 7:50
明日を、見る。 自由詩409/12/1 21:52
時間のいろ 自由詩009/12/1 21:48
愛の賛歌 自由詩309/11/27 21:17
ど根性蛙の詩 自由詩309/11/27 19:43
風のささやき 自由詩009/11/27 18:54
記念写真 自由詩209/11/25 18:10
ほんとうの声自由詩209/11/25 17:48
濡れた帽子自由詩109/11/25 17:40
青い鳥 自由詩309/11/16 21:23
はーとの絵 自由詩309/11/16 20:19
虹の輪 自由詩309/11/16 19:56
鮭の頭 自由詩409/11/2 22:18
祖母の家出 自由詩609/10/25 19:33
詩人の樹 自由詩509/10/24 22:57
炎の鳥 ー雪の降る、家持の庭と夜空に響く、コルトレーンー 自由詩609/10/13 20:24
月夜の口笛 自由詩509/10/13 19:12
はっとりんの誕生会演説ー職場の老人ホームにてー 自由詩109/10/13 18:47
らんぷの灯の下で ー深夜の読書ー 自由詩609/10/10 1:52
Protest Song 自由詩3*09/10/7 23:04
一足の靴 自由詩209/10/6 22:55
赤い羽音共同募金 自由詩5*09/10/2 1:33

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