母校の玄関前の 
階段に腰かけ 
近所の青年達がキャッチボールをする 
{ルビ人気=ひとけ}少ない校庭をみつめる 
夕暮れの刻 

瞳を閉じれば 
22年前の夏 
陽炎の ....
車窓から眺める市役所の 
時計の針は17時47分 

僕は夜の映画館に向かって 
ゆっくり走るバスに揺られながら 
先生と再会したひと時を思う 

日中、母校の校長室で会った先生は 
 ....
 先ほど僕は、二十二年前に卒業した母校で
ある腰越小学校に電話した。今日で三十八年
間の教員生活を終えるO先生と、午後二時半
にお会いする為に電話すると、若い女の教員
が出て「あの・・・二十二 ....
初老の母ちゃんを乗せた 
旅客機は 
赤ちゃんを産んで間もない 
姉がいる富山を目指し 
羽田空港の滑走路から 
大空へ 
飛んでいった 

定年をとうに過ぎた親父は 
警備の泊まり ....
今から2年半位前に、戸塚駅の路上ライブで出逢い 
「ぽえとりー劇場」でもゲストライブをしてくれた 
杉本拓朗君が「歌スタ」に出ると聞いていたので、 
今日は仕事から帰って早めに寝て 
番組の始 ....
誰もいない静かな部屋で 
時折鏡を、覗いてみる。  

目はふたつ 
鼻はひとつに  
口ひとつ 

奇跡を行うこともなく 
些細な魔法もわからずに 

背伸びをするわけでなく 
 ....
世界のすべては 
すでに 
あなたの内に在り 

日本の何処かで 
今日生を受けた赤子の産声も 
火葬場で燃えて遺骨になった 
老婆の{ルビ御霊=みたま}も 

すべては 
私の内 ....
誰かの顔を描いた 
風船が 
空気いっぱい膨らんで 
爪楊枝の一刺しで 
ぱん・・・!と消える 

縮んで地に落ちた 
ゴムの亡骸 

すべての人は 
いつか 
こうして空気中に ....
ホワイトデーの3日前 
クッキー屋の前に立ち 
義理チョコレートのお返しばかり 
虚ろな瞳で探してる 
もの欲しそうな、男がひとり。 

若い女の店員から 
硝子ケース越しに 
手渡さ ....
チェーン店のカレー屋で 
「グランドマザーカレー」
を食べていた 

自動ドアが開き 
ヘルパーさんに手を引かれた 
お婆さんが店に入り 
隣の席にゆっくり  
腰を下ろした 

 ....
くたびれた足を引きずって 
いつもの夜道を帰ってきたら 
祖母の部屋の窓はまっ暗で 
もう明かりの灯らぬことに 
今更ながら気がついた 

玄関のドアを開いて 
階段を上がり入った部屋の ....
 昨夜の「ぽえとりー劇場」のオープニング
では昨日の朝、現代詩フォーラムでみつけた 
nonyaさんという詩人の「鳥瞰図」と「三寒
四温」を朗読しました。 

「鳥瞰図」という詩から僕は、 ....
最近、黒い手袋が
落ちているのをよく見かける 

ある時は職場の廊下 
ある時は駅の構内 

人間達の無数の足が 
通り過ぎてゆく隙間に 
{ルビ木乃伊=みいら}の面影で 
誰にも届 ....
傾いた標識に凭れる 
私のうつむく影が 
夕暮れ色の地面に、伸びていた。 

ふいに顔を上げた目線の先 
小屋に並ぶ 
七つの地蔵の真ん中に 
ひとり 
鼻は砕け、片目を開いた 
風 ....
「なかなかいい詩が書けんのぉ・・・」 
30過ぎの愚息が言えば 

「そんなもんよねぇ・・・」 
60過ぎの母は言う 

「100のうち1ついいのが書ければ 
 しめたもんだよ、おっかさ ....
熱燗を くいっ と 
喉に流したら 
顔がほってり赤らんだ 

杯に徳利を 
傾けては 
枡に納める 
晩酌のひと時 

笑いも涙もほろ苦く 
歪んだ脳裏にとけあって 

火照 ....
放浪中の乗り合いバスで 
旅の鞄を開けたら 
電池の抜けた 
目覚まし時計が 
ぴたりと時を、止めていた。 

2本の針が指す時は 
午前5時30分 

あの朝旅を始めた僕が 
心 ....
夜道に浮かぶ洋燈は 
硝子の裡から暗闇を 
今夜も仄かに照らし 


人の胸にぽうと灯る 
たましいの面影です 
今月の「ぽえとりー劇場」のオープニングでは、 
一年前に世を去った詩友の快晴君に 
生前Ben’sCafeで会った時にもらった 
ホチキスで束ねた詩集から二篇の詩を朗読しました。 

 ....
地下鉄の風に背中を押されて 
階段を下れば 
ホームの端を 
黄色い凸凸道が
何処までもまっすぐに伸びていた 

いたずらな風が 
吹けば 
すぐによろつく私だから 

凸凸道の内 ....
忙しい日々から逃れ 
疲れた体を暖めようと 
平日の{ルビ人気=ひとけ}少ない温泉で 
頭の上にタオルをのせて 
露天風呂に沈んでいた 

ゆげの立ち昇る 
水面に 
現れては消えてゆ ....
もし(まことの人)がいるならば
一体、どんな面影の人であろう? 

彼は、この世の体という{ルビ着包=きぐる}みの内に 
薄っすら透けた(もうひとつの体)を 
宿している。 

机上に丸 ....
祖母がこの世を去る朝 
何処か遠くへ
吸いこまれそうな場所から 
必死で僕の名を呼ぶ声に 
目を覚ました 

数日後、教会の告別式で 
神父は聖水を遺影に撒いて 
額に納まった祖母の笑 ....
「 いってきます 」 

顔を覆う白い布を手に取り 
もう瞳を開くことのない 
祖母のきれいな顔に 
一言を告げてから 
玄関のドアを開き
七里ヶ浜へと続く 
散歩日和の道を歩く 
 ....
少し前まで{ルビ賑=にぎ}わっていた 
デイサービスのお年寄りが帰り 
部屋ががらんと広くなった 
{ルビ掃除=そうじ}の時間 

いつも掃除機をかけるおばちゃんが休みなので 
「じゃ、俺 ....
 今年の幕開けとなる1月18日(日)の笑いと涙の
Ben'sCafe・ぽえとりー劇場で朗読したとものさんの
「crescent」という詩は、テキストとしても朗読とし
てもとものさんの詩の世界の魅 ....
駅のホームに 
四葉のクローバーのペンダントが 
落ちていたので 
思わず拾い、ポケットに入れた。 

幸せというものが 
一体何なのか・・・? 
未だに僕は、わからない。 

四葉 ....
主よ 
私は光るペンを手に 
暗闇の広がる野分を独り 
これから往かねばなりません  

そこには果てしない「無」が 
広がり・・・もしかしたら 
何も、何も、無いのかもしれません。 
 ....
真夏の夜の果て無い大地を 
月光に照らされた細長い{ルビ蚯蚓=みみず}が 
独りであることも忘れ 
只 無心に這っている 

それを見ていると 
たとえ独りでも 
この夜の向こうへ 
 ....
 立原道造記念館に行った日 
 「立原道造と堀辰雄」という図録を 
 細い両腕で包むように 
 君はぎゅっと抱き締めた 

 後日僕は独りで 
 同じ場所に佇み 

 在りし日の詩人の ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
空の白球 〜母校の校庭にて〜自由詩309/4/6 23:39
「 卒業証書 」 〜母校の教室にて〜 自由詩509/4/6 23:23
母校の先生に贈る手紙 散文(批評 ...109/4/6 22:12
幸福の食卓 自由詩1809/4/3 21:53
唄歌い・杉本拓朗への手紙。 散文(批評 ...209/3/31 1:36
月夜の草 自由詩909/3/27 19:19
小鳥の唄 自由詩309/3/27 19:07
風船のいのち 自由詩009/3/27 18:46
ステラおばさん 自由詩509/3/22 8:46
稲穂のこころ 自由詩1109/3/22 8:18
遺影のまなざし ー四十九日前夜ー 自由詩2009/3/10 23:45
僕等の日々は三寒四温 〜nonyaさんの暖かい詩情について〜 ...散文(批評 ...309/3/9 10:44
黒い手袋 自由詩809/3/4 20:58
片目の地蔵自由詩509/3/2 0:05
100分の1の幸福 自由詩309/3/1 23:54
晩酌 自由詩109/3/1 23:26
Dream Land 自由詩309/2/26 20:07
夜道の灯 自由詩309/2/26 19:33
風になった友からの伝言 散文(批評 ...509/2/26 19:13
賢治ノ星 自由詩1209/2/20 23:04
泡の鏡 自由詩1009/2/14 23:26
永遠の塔 自由詩409/2/7 3:22
復活の手 自由詩1+09/2/7 2:40
海に還った祖母に捧ぐ 自由詩3509/1/24 22:44
掃除の時間 〜延長コードと僕〜 自由詩709/1/21 20:18
とものさんの詩の魅力について。 散文(批評 ...509/1/19 19:18
宇宙ノ心 自由詩409/1/18 10:31
この世ノ窓 自由詩109/1/16 22:14
この夜の向こうに 自由詩409/1/14 3:51
林道の彼方へ 自由詩309/1/14 2:46

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