ビールを飲んだ僕のからだは 
北国の暖炉みたいにほてっとあっだがぐなってくる。 
心臓がどくりどくりと高鳴ってくる。 
このボールペンを持つ手も、震えてくる。 

しゃんそんっていいなぁ・・ ....
今、神保町の珈琲店・さぼうるで 
赤煉瓦の壁の地下にある席で 
珈琲をすする僕の目線の先の1階では 
美川憲一・はるな愛・ノブシコブシの吉村さんが 
おいしいナポリタンをフォークで 
すくっ ....
震災から1年の3・11に復興を願い 
仙台で行われた朗読会の前 

主宰者の南ダイケンさんは 
「これ、心ばかりですが・・・」と言い
直筆で「謝礼」と書いた
白い封筒を、僕に手渡した。 
 ....
「こんにちは」 
「いい天気で」 
「お元気ですか?」 

世の人々の関わりは 
シンプルな門答で成り立っている 

妻や子との会話が 
日々そうであるように 

その(あたりまえ ....
3月9日・19時51分 
新幹線の待合室のましろい空間 

いくつか穴の開いた空席に 
吸い寄せられるように、一人・・・二人と座る 

一人・・・二人と、すくっと立っては 
待合室を出て ....
新しい、新しい、と未来ばかりに手を伸ばし 
追えば追うほど、幸いの虹は逃げてゆく 

{ルビ古=いにしえ}の魂の形象を宿すものこそ 
今・ここに新しい 

古の魂をそっと胸に納め 
自ら ....
賢治は今も、救霊している―― 

僕は、言葉を信じたい 
暗闇に射す光のように 
震える魂を再生する、詩の言葉を・・・ 

今・ここに集う僕等は 
数えるほどの人かもしれない 

で ....
12色のビー玉が入った瓶を 
逆さに持って 
机にこん、と落ちた一つは金色の 
きらり、と光る玉でした 

もし、空の上に 
あなたを主役にした作家がいるなら 
筋書きの無い物語を 
 ....
今僕は、東京へと走る列車に乗っている 
結婚前の妻と出逢ってからの数年間 
毎日顔を見ない日はなかったが 
今日から三日間 
我が家を離れ、旅に出る 

今僕は、妻と幼い周から 
どんど ....
ある朝、霧の中に立つ少年に 
旅人は声をかけました 

「何をしてるの?」 

「霧の向こうのお日様は
 銀の鏡のようですね 」 

「私も銀の色をした、一つの石を持ってるが 
 あ ....
私はずっと気づかなかった 
霧の向こうのお日様が 
銀の色にかがやいて 
あなたの瞳に宿っているのを 
私は今、遠い異国の空の下 
遥か昔に栄えた、廃墟の前に立っている 

まっ青な空に輝く太陽に照らされた 
誰ひとりいない古代の都市で 
幾百年の時を越えて吹く風に 
角の溶けた無数の柱の間 ....
生まれ育った故郷の林が大好きな 
賢治の妹トシは額に汗を滴らせ 
まぶたの裏に 
この世という牧場の出口で 
風に開いてゆく、木の扉を視ていた 

息を切らして、家に戻った賢治が 
震え ....
旅から帰った若き詩人は 
傷ついた木の机に凭れて 
部屋一杯に射すひかりの中で 
そっと瞳を閉じていた 

思い出すのは 
避暑地で過ごした夏のひと時 
夏空に浮く一艘の舟 
ゆっくり ....
38度の熱が出て、楽しみだった 
僕の出版記念朗読会が、中止になった。  

数々の再会の場面が夢になり・・・
僕は今、ふとんに足を入れて 
ランプの灯を頼りに、この詩を綴っている  ....
結婚前の嫁さんを僕は(きれいだなぁ)
と、うっとり見ていた 

結婚後にいつも一緒の嫁さんは、時折 
いもに見えることがある 

高熱にうなされ 
布団からふらふら身を起こした僕に 
 ....
昭和5年の夏、関西のとある町にて 
縁側に横たわり昼寝する 
少年が目覚めた頃、母親は 
まっ赤に濡れた{ルビ西瓜=すいか}を 
お盆に乗せて、持ってきた 

庭に立つ一輪の{ルビ向日葵= ....
「位置について、用意」 

乾いた鉄砲が空に鳴ったら 
時を忘れて 
自らの存在が溶け去る迄 
只、走り続けよ 

脳内から分泌される 
あどれなりんの快楽が 
体内を巡り 
魂の ....
ある夜の夢の中で 
誰かの拳が 
木のドアをノックする 
乾いた音が部屋に響く 

テーブルの向かいに座った 
瞳の澄んだその人は 
(私はいつも共にいる・・・) 
と言ってすぅっと、 ....
テレビの中のマジシャンが 
逆さに置いたシルクハットから 
花吹雪が舞い上がった 

一日に一つ位 
そんな手品があってもいい 

さぁ、この詩の中の 
机に置いたシルクハットを 
 ....
この体というものは 
六十兆個の細胞がうようよと 
今も無数に分裂しているという 

私という現象は 
常に現在進行形でありまして 
「{ルビ服部剛=はっとりごう}ーing」であるように  ....
夢に過ぎない明日の中へ 
ひかりの者として、入りなさい 

世の道に、躓く石のある時は 
低い目線で地にしゃがみ 
丸い掌でなでなさい 

やがて吹く不思議な風は 
人々の暗い心を吹き ....
半身麻痺のお婆さんの
両手を引いて後ろ向きで歩く 
介護青年だった、10年前の僕 

いつも面会中にさりげなくにこやかに 
見守っていた初老の娘さんと 
古都鎌倉の喫茶「扉」で 
偶然顔 ....
深夜3時にむっくり起きた僕は 
スタンドの灯り一つの部屋で 
西田幾多郎が純粋経験を語る 
「善の研究」の本を開いていた 

(純粋経験の瞬間は、 
 いつも単純な一事実である 
 音楽 ....
もし、知性が裸になったなら 
目は目として 
歯は歯として 
足は足として 
一つの人格を持ち 
僕等に口を開くだろう 

からだの数え切れない 
それぞれの部分を 
一度ばらばらに ....
自らの意思に反して 
もう一人の私が 
何処か遠くへ歩いてゆき 
おーい、と呼んでも聞こえない 

永遠に列車の来ない 
線路の上を歩いていたら 
地に伸びる私の影が、口を開き 
耳傾 ....
目が覚めた、部屋の窓の風景は 
雨にすっかり洗われた 
まあたらしい世界 

一枚の葉は透けた滴をしたたらせ 
こちらに合図を送っている 

憂鬱な気分に頬杖ついて 
眠っている間に  ....
「悩み」という荷物を
背負えば
世界にひとりであるように 
ずしりと肩に、喰い込む。  

高層ビルの39階から 
ビルの足元を見下ろせば 
無数の蟻の人々が
うようよしている。 
 ....
ふと立ち止まり仰いだ夜空に 
一瞬、星は流れ 
願いごとを言う間もなく 
黒い幕の裏側へ
しゅぅ・・・と消えた 

もし、あの一瞬の光が 
無限の宇宙に含まれた 
一人ひとりの一生なら ....
ふいに巻き起こる北風に 
働くおばさんの手にした 
書類は飛ばされ 
ガードレールの下から 
川へと落ちそうなその時 

ほっ!と短い足が出て 
サラリーマンの
きらりと光る革靴から  ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
ゲーテさんと晩酌 自由詩412/3/20 23:43
さそり座の女との遭遇 自由詩412/3/20 23:30
言葉のゆげ 自由詩512/3/17 23:43
日々の言葉 自由詩212/3/17 23:27
東京駅にて 自由詩212/3/14 20:49
虹のありか 自由詩4*12/3/14 20:40
賢治のいのり 自由詩2*12/3/13 20:05
ひかりの風 自由詩112/3/13 19:04
不思議な扉 自由詩212/3/13 18:52
銀の鏡 自由詩412/3/8 19:07
瞳の奥に 自由詩212/3/8 18:56
夢の都 自由詩6*12/3/6 23:55
イーハトーヴの国 自由詩412/3/6 23:43
旅の夢 自由詩112/3/4 23:11
夢の朗読会 自由詩112/2/26 21:17
いもと嫁さん 自由詩7+*12/2/26 21:12
向日葵の夢 自由詩4*12/2/20 23:51
スタートライン 自由詩3*12/2/20 23:31
夢の部屋  自由詩312/2/18 23:59
手品詩 自由詩312/2/18 0:08
不思議な世界 自由詩312/2/17 23:56
明日の夢 自由詩1*12/2/15 4:40
喫茶「扉」にて 自由詩812/2/14 18:42
ベートーヴェンの夢 自由詩2*12/2/14 18:16
きせきの人 自由詩112/2/11 22:17
もう一人の私 自由詩8*12/2/11 22:04
雨上がり 自由詩612/2/10 23:51
遠近法 自由詩412/2/9 23:59
流れ星 自由詩312/2/9 23:43
正義の味方 自由詩4*12/2/8 23:48

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