鎌倉の山の間を
歩む叢の隙き間の遠方に
横浜のランドマークタワーが
くっきりと立ち

あんなにも遠いようで
ほんとうは
距離など無いと

汗の伝う頬を過ぎる、風は
僕に云う
 ....
人と人の間の
カキネのカベを、壊す時
遠い空で
合図の笛は鳴るだろう  
利根川の{ルビ畔=ほとり}に佇み
川の流れと
人の歩く時間について
思い耽っていた

風が吹き
ふり返る僕の方へ
無数のタンポポの綿毛が秘めた笑いを響かせ
降ってきて――今日の景色は、 ....
空洞の目から
風景を吸い

真横に向く耳から
音を吸い

手も足も無く
がらんどうの体で立つヒト

薄く口を開き
遥かな命の記憶について
旅人の僕に
今にも〝何か〟言いそうだ  ....
この古びた階段を登ってゆけば
あの宙空が待つだろう

   *

何処までも細く真っすぐな緑色の道
私がどんな哀しみに{ルビ歪=ゆが}んでも
あの空は
この胸に結んだ
ひとすじの糸を ....
晴れた日の鎌倉は
緑の木々の間に立つ
お墓さえ
明るく見える

あの日、体を脱いだ君は
いつから
若葉にそよぐ
風になったろうか

何処かで鳥が鳴いている
それは円い空から
鎌 ....
この部屋の窓外に
まっすぐ上りゆく
街路樹の坂が見える

いつか旅した函館の風景
のようで
ここは都内だ

今日もこの街で
人々は語らい
キッチンの皿は音を立て
車は行き交うだろ ....
「周ちゃーん!」

パパとママと手をつなぐ息子の
後ろから、女の子が呼びかける

周が、まだ言葉を知らなくても
すぐに反応がなくても
女の子は小さな春風と共に
保育園の門へと、駈けてゆ ....
僕の部屋の片隅に
久しく再会した
幼稚園の頃の先生が呉れた
ご主人の形見の下駄が
置いてある

夜の部屋で、ひとり
黒い鼻緒の下駄を見ていると
あの大きな背中と共に
からん、ころん、 ....
ダウン症をもつ書家
金澤翔子さんの展覧会で
母親との二人三脚で書いた
「涙」という文字が壁に掛かっていた

隣には
今は亡き父親と、手を繋ぎ
道を歩いてゆく
幼い頃の写真が掛かっていた ....
ゆっくり育つ息子が
五歳にして
歩き始めたので
日曜日の公園へ連れてゆく

小さな影は、{ルビ日向=ひなた}にのびて
ひょこひょこ歩き
地べたに尻餅をついては
砂を、払ってやる

 ....
風呂で溺れた
ダウン症児の周ちゃんが
救急車で運ばれ
一命を取り留めた
子供病院

入院後の回復は順調で
3日後に人工呼吸器は外れ
ゆっくりと目を覚ました

日が暮れて、パパは
 ....
遠くに数羽の鳩が舞う
あの泉を目指し
時の川をのぼりゆく

(空ノ青サガ 私ヲ 呼ンデイル)

夢の鞄をずしりと背負い
快い逆風を裂きながら
いつしか爪先は方位磁針になる

この足 ....
キーツが本の中から語る
細い川の流れが、視える

道を歩くわたしの影にも
細い川の流れが、視える

時代も国も
異なる二人の間を
結ぶ
ときの川のせせらぎに
耳を澄まして歩けば
 ....
不安定な天気に
心模様のゆらぐ時

わたしは自らの存在の
「奥の間」に
小さな家康公を据える

信長のように、要らない者を斬るでなく
秀吉のように、天下を取って豹変するでなく

― ....
私が今、ここに立っているのは
素朴な一つの謎であり

今日の場面を、静かにみつめ
掌にのる
小さな巻物を開いて
設問を解き明かしながら
歩きたい

重力に支配されるこの世界で
私は ....
夜のカウンターは、自由

グラスを傾け
黙するも
語らうも

頬の赤らむ頃
脳内は緩やかに時を巡り
僕は世界に、恋をする

僕は形見に包まれて
白い肌着は
幼稚園の頃の先生の亡 ....
ジャズの{ルビ老舗=しにせ}・ドルフィーで
朗読会の司会をした

詩人達は{ルビ数珠=じゅず}の言葉を…{ルビ紡=つむ}ぎ
休憩時間に賑わう
暗がりの店内に紫煙はたゆたう

カウンターの ....
やあ、とふらり訪れ
古書店のカウンターに
腰を下ろし
ぶれんど珈琲を一杯

久方ぶりの店主の友は
外出中だけど
カップが空になる前に
間に合うかな?

じっくり苦みを味わうひと時に ....
先月までの重たい日々を
払うように

えい!


カレンダーを千切ったら
なんとまあ
「奥行き深い海の夕焼け」

ただの紙っぺらであるようで
されど紙っぺらであるようで

 ....
風呂敷の歴史を{ルビ遡=さかのぼ}ると
古の都栄える奈良時代

唐草模様はなかったが
目には見えない<宇宙ノ心>とやらを
きゅっと包み
人間は、運び始めた

平成二十九年の ....
旅人は今日も{ルビ漫=そぞ}ろ歩いてゆくだろう
「良い」と「悪い」を越えた
地平を目指して

脳裏を{ルビ過=よ}ぎるいつかの別れは
忘我の歩調と
風に紛れて

すでに
体の無いあの ....
うぉるふがんぐという店で
お茶を飲みつつ詩を書いて
ふと顔を上げたら
王さんが食事をしていた

ユニフォーム姿の頃より
齢を重ねて今年喜寿の
王さんは
大柄でもなく
素朴な姿の内に
 ....
((快晴ノ日))

友の死を越えて
飛躍する
我が魂

深夜の只中に
{ルビ包=くる}まる
(sanaka)
開かれる
ひかりの世界

疾走せよ

この一度きりの道を
自 ....
我が家の隣の空き地に
新しい家は建ちつつあり
向かいの古い家は解体されている

隣の現場は{ルビ和=なご}やかな空気が流れ
向かいの現場は罵声ばかり、飛んでいる

同業であれ、空気の色は ....
ファミリーレストランで
空いた皿を
テーブルの隅に、置く

ウェイトレスが歩いてくる

音楽は
旋律のみでなく

日々のセッションにより
織り成される
日々の舞台で、僕は自らを奏でよう。 わたしは回る器

道を歩くとき
佇むとき
疲れた夜、布団を被り目を瞑るとき
いつも
わたしの存在の中に立つ芯は、回転している

目には見えない陶芸家の
血液が流れる透明の手に
ふれ ....
突然の突風!
で、かつらの飛んだおじさんが
とってもイケてる男である
可能性について
ある夜、僕は考えていた

クリスマス前の何故か切ない
歌舞伎町を{ルビ漫=そぞ}ろ歩きながら

 ....
やがて夜は更けゆき
恐れと不整脈は
徐々に…消去するだろう

私はゆっくり「扉」を、開く
(微かな光は隙間から洩れ)

まぶしい彼方から
誰かの影が
一通の手紙を携え
こちらへ歩い ....
服部 剛(1965)
タイトル カテゴリ Point 日付
山の道自由詩618/7/14 19:06
空の声自由詩518/5/26 0:29
風にのる自由詩518/5/25 18:42
埴輪ノ声自由詩318/5/25 18:28
広瀬川のほとり自由詩418/5/24 22:19
鎌倉日和自由詩818/5/23 23:59
坂道の風景自由詩318/5/23 23:33
春の門自由詩318/3/26 20:59
下駄の音自由詩10+18/3/22 18:06
涙の先自由詩118/3/19 18:26
日曜日の公園自由詩11+*18/2/9 0:05
子守唄自由詩618/2/8 18:42
空ノ声自由詩618/2/8 18:13
足音自由詩918/1/25 20:18
家康公自由詩118/1/19 18:22
歩く本自由詩418/1/13 22:44
神保町の酒場にて自由詩218/1/10 0:42
詩とジャズの夜 ―ドルフィーにて―自由詩3*18/1/5 18:40
古書店のカウンターで自由詩317/12/28 20:27
カレンダーの絵自由詩117/12/28 18:19
風呂敷のなか自由詩217/12/26 22:03
歩行者の唄自由詩117/12/26 21:31
王さんと会った日自由詩017/12/21 22:16
或るピアニストに自由詩017/12/21 21:48
新しい家自由詩017/12/21 21:22
日々の対話自由詩117/12/20 17:46
一行詩 5自由詩117/12/20 17:26
陶芸家とわたし自由詩117/12/14 20:14
愛染めかつら物語自由詩017/12/14 19:41
自らを脱ぐ自由詩1017/12/8 23:59

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