仕事帰りの人波に紛れ 
手を繋いだ老夫婦が 
通りすぎていった 

耳に入れたイヤフォンから 
「ベル」という唄を聞くと思い出す
もう会うことも無い
いつかの君の猫なで声 

少し離 ....
久しぶりの路上ライブで 
再会した彼は 
唄い終えると 
ギターを背後の壁に立てかけ 

白い吐息を昇らせて 
小鳥みたいに震えてる 
ファンのみんなに 
ほっかいろを配る 

昼 ....
いくらむいても 
姿一つあらわさぬ 
たまねぎみたいな 
かみさまなんぞを
しんずることは 


   ()
  (())
 ((()))
 ((()))
((( 詩 )))
 ....
ぼくが司会をする朗読会の前に 
亡き友の魂に祈る為 
愛する作家の遺作に出てくる 
上智大学のクルトルハイムを訪ねた 

洋館の重い木の扉を開くと 
暗がりの壁に 
一枚の肖像画があり  ....
はじめて車に乗った日 
すでに僕は30を過ぎていた 

はじめて車に乗った日 
先月25になったばかりで 
自ら世を去った君のことが 
頭から離れなかった 

はじめて車に乗った日 
 ....
この世から 
姿を隠した彼の面影  
浮かんできそうな 
月夜の道 

なにもかも 
すべてをなくしたところに 
「 無 」があった 

四十九日が過ぎる前に 
彼のいない自宅に
 ....
本屋の夫婦が 
休日の買い物に行ってる間 
店内の椅子に腰かけて
ストーブの火がゆれる窓に 
開いた両手を揃える 

昨夜の朗読会で 
ギターを置き忘れた雲流さんが 
こんこん と叩い ....
文学講座に参加した後はしごした 
歌舞伎町の居酒屋「エポペ」で 
酔っ払ったかれらは千鳥足のまま 
無数のネオンの下で人間が渋滞する 
新宿駅までの道を歩いていた 

「エポペ」のカウンタ ....
仕事帰りのバスに乗り 
すいていたので 
座ったぼくの隣りに 
いつも背負うリュックを置いた 

よけいなことはなにもいわず 
いつもいっしょにいてくれる 
友達のように思え 

あ ....
脱いだ靴を手放し 
床に落とす音が 
鼓膜に響いて 
目の覚めた深夜  

つけっぱなしで 
眠ったはずの
蛍光灯はいつのまに消えかかり 
薄暗い部屋はいつまでも 
点滅していた 
 ....
雪のつもった日のバスは 
渋滞でみんな遅刻のはずなのに 
なぜかこころやさしい 

雪化粧の街を窓外に眺める 
人々をぎっしり乗せた
バスのなか 
ネクタイのよれたおじさんが 
あんパ ....
「せくはらは、はーとがあれば、いいのよね」 
勘違い親父の部長を嗜(たしなめ)めるように 
女友達はぼくにささやかな 
愛の秘密を教えてくれた 

「ちょっくら金をおろしてきます」 
ふた ....
Emmanuelle 
Gabriel
Noel 

エマニュエル 
ガブリエル 
ノエル 

えまにゅえる 
がぶりえる 
のえる 

  ・ 
  ・ 
  ・ 

 ....
七日前 
自ら世を去った 
友を思う深夜の部屋  

( ふいに見上げた古時計 
( いつのまに止まった秒針は震えながら 
( 永遠の音を刻む      

明日もぼくは 
職場の老 ....
 今僕は、ショパンの曲を聴きながら、以前古本屋で手
に取った「吉野弘詩集」を開いています。薄く赤茶けた
表紙の中心には太陽らしきもののデッサンが描かれてい
ます。なにげない日常の場面を描いた「夕 ....
 今日の仕事帰り、電車を降りた後に歩道橋で立ち止ま
り、数日前にこの世を去った君のことを考えていると、 
静かな雨が降り始めた。昨夜のBen’sCafeでそ
の知らせを聞いてから、僕はその事実を ....
人生における
たくさんの願いごとを 
一から十まで書いてはみたが 
なかなか思うようにはならんので 
丸めた紙に思いのたけのすべてをつめこみ 


  えぇぃ 好きにせぃ〜〜〜 

 ....
こころをそらにすると 
あるがままにうつるようになる 

つくえのうえにちらばった 
えんぴつやほんも 
かっぷやすぷーんも 

きのう
ぼくのむねにぐさりとささった 
だれかのこと ....
僕は今、滋賀県・石山寺の境内にある芭蕉庵にいる。 
紫式部が「源氏物語」を書いた部屋が本堂の入口に
あったが、そこは観光コースの雰囲気で初詣の参拝
客が絶えず立ち止まるが、本堂から離れた場所にひ ....
山間を走る電車に乗り 
開いた本のなかにいる 
良寛さんの
寂しい嘆きを聞いていた 

車窓に流れる 
杉林の暗闇に 
一ヶ所仄かな日溜りがあり 
一軒の襤褸い庵に 
良寛さんのまぼ ....
いくつもの古時計が 
まばらな振り子を鳴らす 
時の無い珈琲店 

木目のテーブルに
頬杖をついて 
ものを思う 

いつかわたしも 
衣服の抜け殻を地に遺し 
空へ消える煙となろ ....
わたしの心の暗闇に 
張り巡らされた蜘蛛の巣は 
寂しい一つの宇宙を広げ
いつも小鳥を待っている 

幾羽ものはばたきは 
見向きもせずに 
薫りだけを残して 
網の目を通り過ぎた 
 ....
十日前の旅先を思い出そうと 
揺り椅子に腰掛けて  
手にした「大和路」の頁を開く 


一枚の挿絵は 
{ルビ夕暗=ゆうやみ}の時刻 
唐招提寺の円柱に 
そうっと片手をあてる 
 ....
山々の間の空を 
喜び一杯に翼をひろげ  
流れていった 
雀の群 

{ルビ翻=ひるがえ}り 

枝々に小さい太陽を灯す 
柿の林に舞い降りて 
無数の黒い音符になった 

天 ....
迷える羊の群の
一匹であるわたしは 
たとえ世の牧場が 
冷たい雨に打たれる日さえ 
何を思い煩うこと無く 

風の首輪で牽かれるように 
只わたしは従いてゆく

天に向けて角笛を鳴 ....
まことの恋は 
いつも風となり過ぎ去る 
誰かに掘られ口を開けた 
夜の墓場の前を 



 
ペンキの剥げた 
「幸福の青いベンチ」に腰かけ 
いつまでも手の届かぬ恋の花や 
身を粉にしても報われぬ仕事の 
やるせなさを思う 

誰の手もふれられない 
こころのうつむきに 
寄 ....
旅先の京都の歩道で 
自転車がひとり倒れていた 

いつかの自分のように見え 
屈んだぼくは自転車を立てる 

振り返ったひとすじの歩道の 
雲間から出た日を浴びた先に 
遠のいて首を ....
{ルビ空=から}のビニール袋を 
ゴミ箱に投げたら 
口を開いて 
ふわりと立った 


 すべてのもの
       を
       で
 すいこみそう 


気づくとぼく ....
年賀状の
返事を出しに 
近所を歩く 

遠くに見える
赤いポストの頭に 
新年の日が映り 
うっすら後光が
射していた 

かけがえのない人々の
名を記した年賀状を 
輪ゴム ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
ひかりの夜道 自由詩308/2/20 23:25
唄人の石 自由詩508/2/18 23:14
たまねぎ 自由詩308/2/18 22:42
イグナチオの涙 〜クルトルハイムにて〜 自由詩308/2/18 18:25
オリオンの唄 〜 亡き友への requiem 〜 自由詩5*08/2/16 0:44
「 骨 」自由詩308/2/12 23:17
留守番時間      自由詩108/2/10 23:41
樹木のひと 自由詩308/2/8 0:34
くろいへその緒 自由詩208/2/6 20:49
深夜の靴音 自由詩508/2/6 14:32
雪の日のバス 自由詩508/2/4 21:36
女のことば 自由詩208/2/3 23:31
ノエルの血 〜晩餐会の夜〜 自由詩008/2/3 13:34
あいさつ 自由詩5*08/2/3 3:02
批評祭参加作品■吉野弘氏への手紙[group]散文(批評 ...5*08/1/29 22:26
批評祭参加作品 ■ 詩友への手紙 〜この世を去った友へ〜 [group]散文(批評 ...108/1/28 22:50
空の文字 自由詩108/1/27 9:04
「 灯 」自由詩708/1/25 21:35
批評祭参加作品 ■ 芭蕉庵にて [group]散文(批評 ...008/1/25 21:21
良寛ノ庵 自由詩208/1/21 22:03
ぢろばたにて 自由詩308/1/21 19:59
紅ノ羽  自由詩208/1/21 19:41
挿絵の旅人 〜唐招提寺にて〜 自由詩308/1/16 0:49
空の窓 〜明日香村にて〜 自由詩308/1/13 22:28
風の首輪 自由詩208/1/13 22:05
恋の墓場 自由詩008/1/13 21:54
Tao 自由詩208/1/11 19:34
旅先の友 〜京都にて〜 自由詩0*08/1/11 19:11
空の袋 自由詩4*08/1/11 13:48
投函の間 自由詩308/1/7 20:39

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