日常は、空っぽの湯舟です。 

寒々しくうなだれて、 
退屈そうに眺めるか。 
せっせと熱いお湯を入れ、 
後でほかほかあったまるのか。 

まったくといっていいほど、 
僕自身にまか ....
風邪が流行ってきたので 
今日もデイサービスにやってくる 
お婆ちゃん達が
がららららっ てうがいできるよう 

蛇口から水を流して 
大きい容器に水を入れる 

からっぽの空洞を  ....
君がアルバイトで 
会えなかった日 

自分勝手な寂しさに 
俯きそうになった僕は 

こころに 
一つの山を 
思い描いた 

雲に覆われ雨降る夜も 
雲が流れて日の射す朝も  ....
飲んだくれた翌朝 
鏡に映る 
寝ぼけまなこに 
髭ぼうぼう 

この薄汚い 
ぼくって奴の内側で 
もし 
ぴかぴかの魂があるならば 

宇宙に一つの、宝の星だ。 



 ....
「赤信号」で車を停めて、
サイドブレーキを引く。  

車の外に見えるのは 
数ヶ月前、脳梗塞で世を去って 
デイサービスにはもう来ない 
お婆さんの民家の庭 

いつも杖を支えに 
 ....
ビデオデッキにテープを入れて
リモコンの電源ボタンを押した
テレビ画面の中に 
七年前あどけない少女だった君が 
野の花の姿で 
{ルビ宇宙=そら}から受信する 
言霊を 
小さい唇から ....
皆が笑顔で集う 
不思議な海の中心で
貝のこころを開いて
歓びを分け合うのも自分 

ふいに人と話せなくなり 
深海の暗闇で 
貝のこころを固く閉じ 
独りきりになっているのも自分 
 ....
この世の中の 
99ぱーせんとは 
まったく可笑しな冗談でできている 
のであ〜る 

からして 

かつて古の先人が 
「目には目をっ・・・!」 
と言ったように 

吾輩は  ....
日曜日の広場で 
バザーをやっていた 

たくさんの子供等が 
小さい手に{ルビ紐=ひも}を握り 
宙に揺れる 
色とりどりの風船達 


  あっ 


立ち止まる若い母と  ....
私は今日も、顔を洗う。 

両手で覆った顔を上げて 
目に映る何でもない日常が 
常に真新しい(今)であるように 


  * 


もう会うこともない 
ある人が 
いつか何 ....
僕の手にする
透明なハンマーを振り上げて
目の前にぼんやりと立つ 
姿の無い退屈を、叩き壊す。 

粉々に砕け散る音が聞こえ 
全てを手放した僕の前に 

  0

の門が現れる  ....
職場の休憩室で 
目覚めた朝 
ふいに手を見ると 

午前零時過ぎまで残業した 
昨日の仕事をメモした文字が 
手の甲に薄っすらと残っていた 

昨日がどんなに忙しかろうと
昨日がど ....
暗天の下に荒れる 
大海原に背を向けて 
丘の上の白いまりあ象は{ルビ俯=うつむ}いて 
一人の幼子を抱いていた 

長年の雨や泥に 
汚れた背中を隠しもせずに 
只、一人の幼子を守るこ ....
たとえ愛が、粉々の{ルビ硝子=ガラス}になって砕けても、俺の背骨は砕けない。  渋谷駅前広場に置かれた 
緑のレトロ電車に入り腰を下ろせば 
クッションみたいな長椅子は 
日頃の腰の疲れを
吸い取るように暖かい 

走ることの無いこの車両に 
集まる老若男女は 
 ....
古い詩友のvivienneが 
MCをする「ユメイマ」
(夢を語るより今を語れ)に参加して 
天井に青い星々の瞬く暗がりのBarで
「あの頃僕等は始発待ちまで語らった」と 
懐かしい詩を朗読 ....
「幸福の青いベンチ」は 
いつのまにか色褪せ 
人々の重みに板も、折れていた。 

僕はそろそろ背を向けて 
新たな地平に、歩き出そう。 

遠ざかるほどに小さくなる 
「幸福の青いベ ....
きゅうりの抜けたかっぱ巻き 
地面の上に口を開け 
朝のひかりを吸いこみながら 
しあわせそうに立っていた 

ぼくもあんなふうに 
哀しみなどには呆けたふりで 
自らの中心を空にして  ....
母親に抱かれた赤児は 
空に響き渡らんばかりの声をあげ 
全身で泣いている 

泣くことは、生きること。 
だというように 

ほんとうは大人になっても、
黙ったふりで、泣いている。  ....
「明るい私」を演じる日々に疲れて 
休日は体を丸めた蓑虫となり 
布団に包まる 

{ルビ転寝=うたたね}の間に 
夢の運転席で僕はハンドルを握り 
並走する左の車線に 
追いついてきた ....
今日は横浜スタジアム近くの 
旧財務省?のZAIMという 
煉瓦造りの建物の1Fにある 
Cafeのオープンテラスに 
詩人達で集い、
テーブルに置いた灯を囲んで
詩を読んですごしました。 ....
「椅子は生きている」 
開いた本に書かれていたので 


 I love you. 


と言ってみる 

なんだか背中が 
あったかくなってきた 



 
今迄に
幸せのボールを取り損ね 
ベンチ裏で独り、涙を手で拭い  
辛酸を{ルビ嘗=な}め尽くしてきた 
君よ 

思い切り 
空振り三振すればいい 
被ったヘルメットが 
吹っ飛ぶ ....
たこ焼きを買うといつも 
棒が二本添えてあるのは 
何故だろう・・・? 

屋台の太ったおばちゃんよ 
ついこの間 
惚れた女に逃げられた 
寅さんみたいな俺さまに 
ずいぶん気が利く ....
真っ直ぐに伸びる線路は遥か遠くに浮かび 
空と地平の隙間に、突き刺さっている。 
その先端に引っかかった、
○月×日 の日記の紙切れ一枚  
ひらひらと 明日の風に 泳いでる 
只 線路は一直線に 
遥か彼方の空と地平のすき間に向かって 
突き刺さっている  

ふいに 
何処までも歩けそうな気のする僕等は 
とてつもなく緩やかな引力に 
否が応でも 
いつか ....
どうやら僕は
今迄の思い出を 
大事にしすぎたようだ 

部屋の中は 
まだ終えてない宿題みたいな 
山積みの本  

ポケットの中は 
札は無くともささやかな記念日の ....
西の海に、陽の沈む頃
港の木橋に腰を下ろし 
新聞を手にした旅人は 
首を傾げ 
東の空へ、目を向ける。 


( 瞳を奪う夕陽よりも 
( 世間の騒ぐ記事よりも 
( もっと大事な ....
それは何処か 
消化不良の感情に 
少し似ていた 

不恰好に千切られた{ルビ蒟蒻=こんにゃく}達は 
それぞれの皿に逆立ちして  
晩の食卓に並んでいた 

  
屋久島の暮らしでは 
無数の鯖が 
村人達の手から手へとまわり 
こころからこころへとめぐり 

一匹の鯖を手に
樹木のように立つ老人は 
不思議なほどに 
目尻を下げる 

夜明 ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
空の湯舟 自由詩008/11/9 18:57
水の容器 自由詩208/11/9 18:48
( 無題 ) 自由詩3*08/11/9 18:40
宝もの 自由詩108/11/6 18:07
坂道の上の空 自由詩208/11/6 17:59
星に願いを 自由詩208/11/2 23:21
貝をひらく 自由詩608/11/2 9:05
はっとりんを探せ。 自由詩508/11/1 14:27
空の何処かに 自由詩508/10/27 0:50
( 秋の日の断章 ) 自由詩508/10/22 23:50
「 0 」 自由詩308/10/20 21:24
( 今)に立つ自由詩5*08/10/15 17:23
丘の上のまりあ象 自由詩508/10/15 17:05
一行詩 自由詩008/10/15 16:49
昭和の電車 自由詩908/10/13 19:29
盟友 ・六九狂 vivienne に捧ぐ 自由詩0+08/10/13 18:57
救世主からの伝言 自由詩408/10/13 14:31
かっぱ巻き 自由詩3*08/10/12 12:02
泣いていいよ 自由詩508/10/12 11:52
夢の道路 自由詩7*08/10/11 23:00
骨の鳥 自由詩4*08/10/5 22:01
もののこころ 自由詩108/10/1 2:09
Ball Palk Dream 自由詩308/9/30 2:04
串棒二本 自由詩9*08/9/28 17:44
a day自由詩108/9/25 1:05
「?」の終着駅 自由詩208/9/22 23:59
Freedom Song 自由詩32*08/9/22 16:59
曙を視る人 自由詩208/9/18 21:14
小皿の蒟蒻 自由詩108/9/15 17:39
屋久島の鯖 自由詩11+08/9/14 10:12

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