何杯かの紅茶を
飲み終えた机の上に
本の積まれた頃 

小皿の上に 
時計回りで倒れ{ルビ萎=しな}びた 
ティーパック

真ん中に置かれた 
{ルビ空=から}のスプーンのみが 
 ....
今年最初の日曜日 
近所のファミリーレストランで 
年賀状の返事を書いていた
筆を休める 
 
ドリンクバーで入れた 
緑茶をすすりながら 
昨日老人ホームの
仕事始めで踊った 
獅 ....
 新年最初の「詩友への手紙」である。今年一年をどの
ような年にするかを思う時、この手紙を書くことに深い
意味を感じながら、今から私の胸に秘めた思いを綴ろう
と思う。私は本来、弱く醜い一人の人間で ....
法隆寺を後にして
大和の日も沈む夜 

土塀のつづく石畳の道 
街灯の灯る曲がり角に 
顔の無い水子の仏像が 
肩を並べて待っていた 

しゃがんで 
幾人もの丸石の顔等に 
手を ....
終電を逃がし泊まった 
ネットカフェのリクライニングで 
寝てる間にポケットからこぼれた 
腕時計を失くしたらしい 

僕等は今日も 
密かに刻む秒針の音に支配され 
忙しなく一日は過ぎ ....
初出勤のバスには 
4人の乗客 

到着するバス停を降りて 
それぞれの瞬きを胸に
それぞれの舞台へ 
散らばってゆく僕等は 
地上に降りた 
4っつの星 

体の透けた 
帽子 ....
たくさんの大黒さま 
観音さまのほほえむ 
明日香の村の茶屋で 
冷えた畳に正座する  

真ん中の凹みに 
釜の入った机で 
今こうして 
ノートをひろげ 
旅の思いを綴る 

 ....
「 この茅の輪を
  八の字に回ってくぐると 
  一年の穢れを清め 
  開運を招きます     」 

大晦日の朝  
京都駅の地下道で  
八の字眉毛で真剣に 
白看板の説明書き ....
琵琶湖を周航する客船の 
甲板に立ち新年の風に
吹かれる 

空に掲げた日の丸が 
ぴんと張って 
靡いている 

赤い日の丸に 
初日の光 
透ける 

背後に 
遠のいて ....
今日も{ルビ賑=にぎ}やかな 
職場の仲間は 
跡形も無く姿を消した 
残業の時刻 

静まり返った部屋で 
ぱらぱら 
書類の{ルビ頁=ページ}を{ルビ捲=めく}りつつ 
手にした判 ....
じゃじゃりり〜ん 


紅茶が美味しい原宿のCafeで 
初老の紳士が羽織ったジャケットから 
小銭が床に散らばった 

赤いチェックのワンピース 
栗毛に{ルビ薔薇=ばら}のリボンを ....
背の小さい盲目の少女が 
ノッポな友達と腕を組み 
うれしそうに通り過ぎた 

コートのポケットに 
両手を突っ込んだぼくは 
耳に入れたイヤフォンから 
Bump of chicken ....
2007年のクリスマス 
山手線の吊り革に手をかけて 
ぶら下がるぼくは 
新大久保駅で停車した 
車両のドアが開くと 
ふいに思い出す 

2001年・1月26日
この場所で線路に落 ....
今から40年前 
モノクロームな戦後の昭和
素朴なふたりの物語  

たまたま
男は人の紹介で 
ある会社に入り 

たまたま 
女は求人広告で見た 
ある会社の電話番号のダイヤル ....
甘っちょろい顔をしてたら 
隙を突かれる世の中なので 
日々の仕事に入ってゆくと 
{ルビ般若=はんにゃ}の仮面をわたしは被る 

青いイルミネーションの並木道を 
恋人達が手を繋いで歩く ....
今は亡き作家が
生前過ごした祈りの家を目指し 
地下鉄の風が吹き抜ける 
階段を地上へ上る 

煉瓦の壁に掛かる白い看板に 
一行の言葉が浮かび上がっていた 

「 Be yourse ....
 皆さんおはようございます。先日の「紅白ぽえとりー
劇場」では自分がほんとうにやりたい(なにか)が垣間
見えた夜で、それは皆さんが集まってくださったからだ
と思っています。職場に戻ってからも常に ....
ましろい壁に伏せた顔を 
100数えて振り向くと 
そこは360°静まり返った 
今日という日の地平だった 

いつのまにか鬼になっていたぼくは 
今から探さなきゃならない 

閉ざさ ....
テレビのリモコンボタンを押して 
ワイドショーを開いたら 
闘病中のある歌手が 
病院内の階下に身を落とし 

後日の葬儀で 
ひとりのファンが 
霊柩車の後を走った 

本屋で手に ....
亡き人を偲び 
酒の机を囲むと何故か 

予想外におまけな 
一本のビールや 

皆の和に 
入りたそうな誰かの為に  
余分なグラスが運ばれる 

皿に盛られたつまみはどれも 
 ....
   梅雨明けの 
   夜空に開く{ルビ紫陽花=あじさい}は 
   ひと間に消える 
   夏の夢かな 
{ルビ霞=かすみ}のかかる朝 
交差点を横切る車の窓に 
雲間から射す 
日が光った 

( 冬の澄んだ路上に浮かぶ 
( かたまった光の残照 

次の瞬間 
「通りゃんせ」の唄は流 ....
「トイレはどこですか?」 

細い目をぱちりと開き 
丁寧に差し出す手のひらで 
トイレの場所を教えてくれた 
美術館のスーツを着た女の子 

チャックをしめて 
トイレから出ていくと ....
一月前に倒産した
詩学の社長の寺西さんが
事務所の布団に横たわったまま 
十日前にこの世を去った 

様態急変による 
脳内出血であったという 

三年前の「青の日」で 
互いの詩を ....
図書室のソファーで 
隣に座る青年が手にした 
テスト勉強のノートを
ちらっと覗く 

問6 

「(第九)という代表曲を作曲した 
  音楽家は、次の内誰か答えよ。 」 

   ....
昨日の疲れた仕事のメモを 
丸めてゴミ箱に放り投げる 

( ストライク! ) 


日々のユニホーム姿で立つ 
少し高いマウンドは 
いつもたった独りだ 

バッターボックスに立 ....
街を流れる群衆の 
人と人の間に 
彫刻の手が{ルビ垣間=かいま}見え 
まっすぐに立つひとさし指は 
ひとすじの光をおびていた 
昨晩は夕餉のあとに 
家族みんなでテレビを囲み 
遠くへ嫁いだ姉が送ったビデオを入れて 
5歳の姪が懸命に踊る姿を見ていた 

今朝は早くに目が覚めて 
寝ぼけ{ルビ眼=まなこ}で水を入れ ....
わたしそのものである時 
からだのない(風ノ人)が 
わたしにかさなる 

虫けらだったわたしの尻に 
小さな青い灯はともり 
透けたからだは発光する 
  わたしを囲む円周に 
  今あるべきものはすでに集まり 
  目に映る全てのものは 
  円周の中心にある 
  わたしをわたしあらしめる 

  蓄音機に針は落とされ 
  回り出 ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
一匙のひかり 自由詩5*08/1/6 23:21
獅子舞 自由詩1*08/1/6 23:00
明日香の旅路 散文(批評 ...108/1/6 9:11
水子ノ声 〜法隆寺の小道にて〜  自由詩308/1/5 22:56
蟻塚の街 自由詩4*08/1/5 21:42
ひかりの鳥 自由詩608/1/4 23:54
民芸茶屋 〜明日香村にて〜 自由詩1*08/1/3 6:49
開運の輪 〜京都にて〜 自由詩108/1/3 6:32
出航 〜琵琶湖にて〜 自由詩008/1/3 6:09
パレード 〜年の瀬の夜〜 自由詩807/12/28 21:20
「 Help! 」 自由詩307/12/28 20:19
冬の星 自由詩307/12/27 0:58
殉教ノ墓 自由詩007/12/27 0:27
Born 自由詩407/12/25 21:07
イヴの夜 〜こころの馬屋〜 自由詩3*07/12/25 20:16
クリスマスの夜 自由詩1*07/12/25 20:02
「光の剣」 〜BUMP OF CHICKENに勇気をもらう〜 ...散文(批評 ...3*07/12/20 5:30
かくれんぼ 自由詩6*07/12/20 4:19
空の五線譜 自由詩307/12/17 19:20
グラスの影 自由詩607/12/17 18:30
夜空ノ花 短歌207/12/15 10:06
しろいひと自由詩707/12/15 8:11
牛乳の糸 自由詩4*07/12/9 21:42
密葬の夜 〜青の日〜自由詩607/12/9 10:27
宇宙のうた 自由詩607/12/8 18:59
日々の投球 自由詩2*07/12/7 20:23
「 指 」 未詩・独白307/12/6 19:59
空の器 自由詩3*07/12/5 21:58
蛍 自由詩4*07/12/4 23:59
宇宙レコード 自由詩2*07/12/4 23:27

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