「自分をよく見てほしい」 
というふうな 
ふんぞり返ったこころ 

「自分は駄目な奴だ・・・」 
というふうな 
しょげかえったこころ 

ふたりの自分の間で 
あるがまんまに立っ ....
ある雪の日に手紙を出しに外へ出て 
すべって転んで骨を折ったヨシ子さん  
ケアマネージャーが入院先へ
見舞いに行ったら泣きべそで 
「アタシ馬鹿よね、おほほほほ・・・」 

折れた骨がく ....
幾十年も働くということが 
途方もなく長い道のりに思え
僕はひとまず荷物を降ろし 
ありきたりないつもの道を外れ 
目の前に広がる 
今日という日の草原を 
無心で走ろうと思った 

 ....
なぜ僕は今日も 
この手で重たい門を 
開けるのだろう? 

なぜ昨夜の雨のどしゃ降りにも 
水溜りはいくつもの楽しげな波紋を 
広げたのだろう? 

なぜ春を待つ空は 
あんなにも ....
主任のおばちゃんが 
残業時間につくる勤務表と 
にらめっこしながら 
(あの人の性格はああだから・・・) 
(この人の性格はああだから・・・) 
と頭を抱えていた 

なにができるでも ....
休日の昼過ぎ 
先月から通い始めた 
自動車学校へゆくと 
校内のすべての車は停車して 
教習コースの道に並ぶ 
紺ブレザーの教官たちが 
にこやかにキャッチボールをしていた  

長 ....
「 はい 」 


穴だらけのわたしはもう 
この一言があればいい 

今まで 
たった二文字が言えず 
眉を{ルビ顰=しか}め、頭ばかりで 
あなたとわたしの「正しさ」を 
{ル ....
一人のひとの 
こころに宿る 
一つの宇宙 

銀河の塵を何処までも 
深く掻き分け泳いだ場所の   
無明の闇の広がりに 
ぽつんと一人 
ひかりの人が 
仏の姿で坐っている 
 ....
サングラスをかけた 
全盲のおじさんが 
若者のリュックにつかまり 
地下道に入っていった 

ポケットに手を入れて 
道に佇むぼくの 
目線の先に遠のいてゆく 
ふたりの背中 

 ....
  {引用=わたしはすでに 
わたしそのもの}


自ら望み 
生まれてきたわけでもなく 
自ら選んだ
両親と国と時代でもなく 

窓辺に置かれた鉢の 
枝葉を広げた小木のように  ....
喫茶店の席を立ち 
ふと足元を見下ろす 

椅子と椅子の隙間の床に 
鈍くひかる百円玉が 
恨めしそうにぼくを見ていた 

世界はいつも 
ぼくになにかを 
云っている 


 ....
はらを空かせたわたしに 
どこか似ている
ひもじい声で細々となく 
小さい虫 

草の茂みから 
一匹 
ぴょんと跳び出した 

こんなわたしでも 
まだ跳べるような 
気がした ....
この世が 
何処まで歩いても追いつかない 
見果てぬ場所への旅路なら 

仕事の後の 
誰も来ない秘密の部屋で 
わたしは横たわり 
時々現れる 
「夢のドア」に入る 

足を踏み ....
鏡に映る 
ふぬけた{ルビ面=つら}が 
自分だと気づいた日 

自らの顔を 
つくりなおしたい 
と思った 

( 生きること
( そのものが、
( たった一つの答だよ・・・ 
 ....
毎日働いてると 
なかには 
いろんなボールを 
投げてくる人もいる 

前のぼくなら 
しかめっ面で 
乱れ飛ぶボールをそのままに 
取ろうともしなかった 

これからのぼくは  ....
最近夜になるといつも 
何処からか聞こえてくる 
密かなピアノの旋律に 
耳をすます 

モーツァルトの指は今夜も 
鍵盤の上を滑らかに踊る 

自分という役を演じることが 
ことの ....
終電近い電車を降りて 
人もまばらなさびしい道を 
今日一日の労働の 
汚れた作業着つめこんだ 
きんちゃく袋をぶら下げて 
今夜もおいらは{ルビ闊歩=かっぽ}する! 

思い出すのは  ....
わたしの影は揺れながら
誰も知らない夜道を歩く
永遠に追いつかない 
「 一人前 」に向かって 
「きず・凹みなおします」 
横文字の流れる電光掲示板を 
仕事帰りの夜道で通りすぎる 

明日も世界中のあちらこちらで 
数え切れない凹んだハートの人々が 
朝陽とともに起き上がり 
そ ....
目の前を通りすぎた車の
マフラーから昇った煙が 
ふわりと散って消えた 

道路をわたるぼくも 
人生という夢を通りすぎる 
ひとりの煙にすぎない 
新宿駅のホームで 
母親が呼んだ駅員は 
先っぽがクワ型の棒で 
線路から何かをつまみあげた 

猫の死体か何か?と 
恐れおののき見ていたが 
つまみあげたのは 
桜色の靴だった 
 ....
もう何がほしいというでもなく 
この手を伸ばしたところで 
ただ風の音が吹き過ぎるばかりです 
( 飢えた狼の輪郭は透けて・・・ )

「ここは、なんにもない場所です」 
そう呟いて落とし ....
とぼけてしまった
お風呂上りのもーり爺さんを 
いたずら好きなNさんが抱きかかえ 
こころやさしいIさんがオムツをあて 
ぼ〜っとしてるぼくが後ろから車椅子を入れる 

車椅子に腰を下ろし ....
喫茶店で読む 
本を閉じて 
顔を上げると 

昨日の散歩中 
ふたり並んで覗く 
川の水面の鴨達に 
袋から餌を蒔いていた 
夫と車椅子の妻が
僕の前の席に座り 
テーブルに置か ....
昨夜からの強風で 
停まってしまったモノレールの車両が 
ホームを離れた線路の下に 
ぶら下がっている 

一月前、自ら途中下車した 
君の人生のように 

骨壷の前に坐り
遺影の君 ....
職場で苦手な○○さんに 
さりげない手つきで 
そっとコーヒーを出してみる 

四方八方からお客に呼ばれ 
慌てふためきそうな時に 
地に足つけて
「一つずつ」をこなしてみる 

こ ....
今日は
自分であることが 
うれしかった 

ぼくを囲むお年寄りの 
無数の瞳をうけとるように 
語らうことができたから 

今日は 
自分であることに 
じっと耐えた 

ぼ ....
昼間だというのに 
職場の窓の向こうから 
日向を降りそそぐ 
眩しいほどの太陽 

( たちあがれ、たちあがれ・・・ ) 

弱さに{ルビ蹲=うずくま}る 
ぼくの影を 
照らしだ ....
恋人を亡くし 
自らのこころを立て直そうと  
遠い旅先で 
免許取得の合宿に入った君は 
今日初めてのハンドルを握った 

仕事から帰った僕は 
君のブログの日記を読む 

「ギア ....
見上げると 
一つの窓は満面に 
あふれる朝日を映していた 

( 昨日の教習所で 
( 隣に座る教官の冷たい言葉に 
( 喰らいつくように 
( 黙ってペダルを踏み込んだ 

ぼく ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
「 背後の目 」 自由詩3*08/3/24 22:03
桜の咲く頃 ーさようなら、ヨシ子お婆ちゃんー 自由詩5*08/3/23 17:46
まぼろしの草原 自由詩408/3/23 13:24
春風のうた 自由詩108/3/23 12:36
雨夜の信号 自由詩4*08/3/20 21:03
春の自動車学校自由詩4*08/3/19 19:02
「 鏡 」 自由詩3*08/3/18 21:51
涙ノ星 自由詩308/3/17 23:18
少女のうた 自由詩308/3/17 17:17
きせきの日 自由詩808/3/17 10:15
百円玉 自由詩6*08/3/14 23:54
虫の知らせ 自由詩308/3/14 0:39
菜の花畑の老夫 自由詩3*08/3/13 19:34
鏡の部屋 自由詩608/3/13 10:41
野球少年自由詩408/3/7 0:20
明日の台本 自由詩508/3/4 22:01
新・365歩のマーチ 自由詩1*08/3/4 21:36
四行詩 自由詩708/3/4 1:40
青い標識 自由詩508/3/3 21:33
煙のひと 自由詩208/3/3 21:21
桜色の靴自由詩508/3/1 23:51
瀬者の伝言 自由詩208/3/1 9:59
もーりさん 自由詩408/2/24 20:51
夫婦の食卓 自由詩408/2/24 20:06
遺影の君へ 自由詩4*08/2/24 19:46
日々の魔法自由詩208/2/23 7:18
石の顔 自由詩308/2/22 3:51
照明灯 自由詩108/2/22 3:43
声援 自由詩14*08/2/21 0:00
白い花 自由詩108/2/20 23:42

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