「目線を一歩ずらした所に、詩はあると思います」 

何年も前の合評会で 
今は亡き講師のMさんは 
僕に云った 

仕事帰りの夜道を 
車のライトで照らしながら辿り着いた 
深夜の飲食 ....
真夜中に部屋の中で一人 
耳を澄ますと聞こえる心の音 

沈黙の中で奏でられるピアノ 
同じテンポ・同じ音階で 
人の心に迫り来る音がある 

写真立ての中に映る懐かしき人々が 
時を ....
この世の全てが{ルビ塵=ちり}である故 
今・背負う重荷さえ 
いつかは{ルビ宇宙=そら}に
消え去るでしょう 

この世の全てが塵である故 
自分を責める者さえも 
{ルビ永遠=とわ} ....
旅先の六甲山頂で酔いどれて 
飲み干したビールの空缶を 
目一杯に、握り潰す。 

それは寂しがり屋な自らに 
凍てついた手を振る、 
決別の儀式。 

あるみにうむの如き 
軟弱だ ....
きみとぼくはどうやら
寅さんとさくら 
みたいになれそうだ 

ほんとうは兄ちゃんな、  
おめぇのいうように 
「ケイアイ」されるほど 
キレイな人間でもねぇが・・・ 
 ....
両腕を左右いっぱいに広げて 
地上に立つと 
全ての人を{ルビ臓腑=はらわた}が千切れるほどに 
抱き締めたいと思う 
風ノ人が、自らの内にいるのを感じる 
皆さんこんばんわ。 

今日は僕も仕事始めだったので、 
「より充実の年にするぞ」という 
並々ならぬ決意で職場に乗り込みました。 

そして気合を入れて午前の入浴介助をしていたら ....
五年前のあの日のように 
神戸港の広場で 
石段に腰かけ 
体を反らし 
旅先の空を仰げば 

ふたつの雲は 
互いにゆっくり 
近づいて 

( 異なるものは些細なことで 
( ....
神戸港の 
ポートタワー展望台へ上る 
エレベーターの中で 
チケットを財布に入れたら 
納まりきらず 


 「 人 
   0円 」 


とはみ出した字だけ目に入った 
 ....
陽も暮れかけた十七時前 
山手八番館内の 
洋室のソファーに腰を下ろし 
レースの白いカーテン越しに 
神戸の海を見ていた 

開いたドアの外から 
ふこやかな顔で瞳を閉じて ....
少年兵は、往かねばならない。 
夜の荒野を独り 
俯く黒い馬に{ルビ跨=またが}って 
{ルビ碧=あお}い軍服を身に纏い 
黒帽子の羽を{ルビ靡=なび}かせて 

日々の戦で亡き友の 
 ....
聖堂で民衆達の祈りは
捧げられていた 

祭壇前に{ルビ俯=うつむ}いて立ち 
開いたバイブルの文字を読む
聖職者の声が 
静かに響いていた 

背後で見守る人々は皆 
影の射す頬で ....
洋館内を歩く旅人の僕は 
黒い机上に置かれた
「ソクラテスの灯」という彫刻に 
ふと足を止めた 

衣の服を身に纏う男が 
頭を垂れて 
右手にランプの灯をぶら下げながら 
歩いている ....
「TELEPHONE」という黒文字の上に 
小さい金の王冠が描かれた 
ロンドン旧市街の赤い電話ボックスが 
洋館の芝生の庭の木陰にひっそりと立っていた 

硝子のドアをぎぃと開けば 
木 ....
  遠藤周作様 


 年末年始の神戸への旅を終えた今、あなたの故郷である地で過ごしたかけがえのない時間を無駄にすることの無いよう、僕は自らの弱い心にもう一度、これからの日々の決意をする ....
山の向こうに広がる街が 
何処までも小さく
遠のいてゆきます 

六甲山の只中を上る
ロープウェイは吊るされて 
私は山間の上に 
宙に浮いたまま立つように 

地上で仰いでいた杉達 ....
六甲山頂にある 
Cafeの窓辺に 
限りなく優しい夕陽が
射している 

すすき等は旅人の僕に 
音の無い
親しげな合唱を奏でる 

夕暮れのセピアを帯びた
窓の鏡に薄っすら映る ....
もし、詩を書くんなら今しかない・・・! 
って思ってね 
旅人の俺は今±0℃の六甲山頂の塔の上で 
らがーびーるの空き缶を手に 
凍てつく風に吹かれながら 
真っ赤な顔を{ルビ嬲=なぶ}られ ....
ひとりになるということは 
土手の芝生に埋もれながら 
日に照らされて喜んでいる 
ひとつの石になることです 
江戸川の上に陽が昇る 
よく晴れた正午すぎ 
「矢切の渡し」の舟に乗り 

縁に腰かけた僕の向かいで 
初老の男と孫の少年は向き合い 
記念撮影をする 

カメラを構える男と 
Vサ ....
川の向こう岸に 
「矢切の渡し」と赤字で書かれた 
白旗が 
緩やかになびいている 

広々とした土手に座った僕は 
右半身を暖かい日にそそがれながら 
左半身を冷たい北風に吹かれながら ....
 司会の僕が「2部のラストはこの人に登場してもらい
ましょう・・若き詩人の星・児玉あゆみさん」と名前を
呼ぶと、「笑いと涙のぽえとりー劇場」に初登場の児玉
さんは詩と朗読について「詩は(難しいと ....
詩人とは・・・ 
夜風に哀しく{ルビ項垂=うなだ}れる 
名も無き 
独りの草である 

詩人とは・・・ 
哀しみの野へと分け入る少年の 
蒼い背中に慰めの音色を贈る
竪琴奏者である  ....
行き場を失った恋心は 
深夜の丁寧な掃除夫の持つ 
{ルビ箒=ほうき}と{ルビ塵取=ちりとり}によって 
ゴミ袋へ、葬られる。 

その美しさでこの目を{ルビ晦=くら}ませては 
いつだっ ....
サンタの衣装を着せられて 
誰もが通りすぎようと 
友好的に両手をさしだし 
いつも変わらずにっこりと 
眼鏡の奥で目尻を下げる 

カーネルおじさんは偉いなぁ・・・ 

 ....
額縁に収まるその絵は 
四角い顔のあぱーとの 
二つの小窓が黒目のように 
展示のガラスの前に立つ 
私をじっと見つめます  

隙間無く 
{ルビ犇=ひし}めき合って 
 ....
もし 
どうしても 
涙を振り切れない時は 

地球の上に 
短い二本足で立つ 
亀となり 

小さい両手のひらを 
頭上の空に向かって 
ひらいて 
硬い甲羅の空洞の 
底の ....
きみとぼく 
もしも一緒に 
四本の腕を目一杯伸ばし 
一つの巨きな帽子を 
持ち上げることができたなら 

その仕事を 
僕等は仕合わせと 
呼ぼう 

( 透明の黄色い帽子はい ....
誰が出したか知らない僕等の宿題 
提出期限の無い永遠の夏休み 
僕等自身の声と言葉を 
見知らぬ明日に、提出する日の為に。 
人もまばらな
二十一時のファミレスで 
夕食を終えて 
耳に入れたイヤフォンから 
君が語りかける声を聴く 

「 あなたは今、何処にいて 
  何を美しいと思っていますか 」 

 ....
服部 剛(2142)
タイトル カテゴリ Point 日付
幻ノ花 自由詩509/1/14 2:24
夜想 自由詩609/1/9 19:35
魂を抱く 自由詩209/1/9 18:49
山上ノ儀式 自由詩109/1/9 10:12
寅とさくら 〜旅の便り〜自由詩009/1/8 11:09
風ノ人 自由詩209/1/5 23:25
詩を愛する仲間への手紙。 散文(批評 ...209/1/5 23:20
港の囁き 〜 神戸港にて Ⅲ 〜 自由詩309/1/4 13:21
いのちの値段 ー 神戸港にて Ⅰ ー 自由詩109/1/4 12:28
洋燈ノ声 ー異人館にて Ⅴ ー 自由詩109/1/3 10:24
少年兵ノ絵 〜 異人館にて Ⅳ 〜自由詩109/1/3 10:17
聖夜ノ絵 〜 異人館にて Ⅲ 〜自由詩009/1/3 9:47
ソクラテスの灯 〜 異人館にて Ⅱ 〜自由詩209/1/2 10:16
ロンドンの赤い電話ボックス 〜 異人館にて Ⅰ 〜 自由詩209/1/2 10:00
敬愛する遠藤周作先生への手紙 〜神戸旅行記〜 散文(批評 ...209/1/2 9:11
( 六甲山から夜景を・・・ ) 自由詩108/12/30 19:44
シリウスの瞳 自由詩108/12/30 19:19
六甲山頂で叫ぶ自由詩1+08/12/30 19:05
石のこころ 自由詩408/12/29 18:49
「 矢切の渡し 」にて 自由詩008/12/29 18:35
風の寅次郎・2 自由詩408/12/29 17:36
「不思議の国のアリス」に尽いて 〜児玉あゆみ・覚書〜 散文(批評 ...208/12/26 13:27
詩人とは・・・ 自由詩508/12/26 12:57
花とゴミ屑 自由詩208/12/26 12:47
カーネルおじさん 自由詩408/12/23 1:39
待ちびと自由詩408/12/21 22:52
亀のさけび 自由詩108/12/21 21:08
黄色い帽子自由詩008/12/20 23:08
永遠の夏自由詩108/12/20 9:16
世界で一番美しい花 自由詩008/12/19 0:37

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