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咲くならば
誰かのためだろう

言いたげなのは

蝶が飛べば
韃靼海峡を渡ると
トルネードが起こると
見聞きしたことなのでしょう

たしかに
春は
何か突拍子もないこ ....
 

 
父はサボテンでした
とげはありませんでしたが
サボテンでした
水を蓄える仕組みがあるわけもなく
少しの水では生きていくこともできませんでした
ましてや荒野に一人
じっと立っ ....
-G・Tへ捧ぐ -



子孫よ 
白い鍵盤が赤く汚され 
衛生兵が興奮剤に溺れる時
歴史ある一族の名のもとに お前たちは 滅びる


旋律が止む
静寂
銃声
 ....
ためらいがちな足音へ
黒猫がライ麦畑を横切る頃に
まあるくなりたい

ひだまりのにおい
そのままのひだまり猫は
午睡したまま動こうとしないですね

向日葵の群生
その下を駆け抜ける
 ....
無色の眼光に崩壊した空は いまだ自転の歯車を回し続ける 
微かに揺れている 渦巻いた日蝕の環に 写影機は 操られている
非具象絵画が 乱雑な閃光に 連写される
既に太陽と月は 暦を稼 ....
目の前に海があった。
白く塗られた桟橋を、水着の上に服を着た人たちが歩いていく。
コーヒーカップは私の皮膚を透過せずに、指先でとどまっている。
すれちがいも融合もせずに、触れあえることを不思議だ ....
ねえねえねえってば

私がパソコンの画面指差してるのに
あの人は我関せずとばかりに出かけてしまった

公園の桜でも眺めに行ったのかな

パソコンの画面に目を戻せば何だか騒がしい
う〜ん ....
 
 
桜の花びらに見えましたが
それはお墓でした
とても小さな墓石でした
とても小さな人が
入っているのだと思いました
ところどころ緑に苔むして
たしかにそれでも
桜の花びらに見え ....
ああ、だからニンゲンは
あらそいをやめないのだ。
とそう気づいたのは思春期のころでした。

なにゆえに
陰であるのか。
と、なやんでいたのです
サインコサインタンゼントの合間に。
夏で ....
黒光りする盧舎那仏は
大仏殿のひんやりした空気の中に
佇む自分を見下ろしている。
盧舎那仏に見られている
自分だけではなく
その場に佇むすべての者に
注がれる大仏の眼差しは
見る者からは ....
 
 
ぬめぬめとした悲しみが
晴れた空から降っている
ものとものとが擦れ合う音や
ぶつかり合う音が記号のように
いたる所にありふれている
スクランブル交差点を渡る人々は
無秩序な足取 ....
あのひと
どっかで
こきゅうしてる
がたがた
ふるえる
じめんの
ように
とうぜんの
こと

きのうおそうしきだったよ
おやまのふもとで
やかれたよ
こころのこりだったろうね ....
どういう仕組みか知らないが
ペットボトルに羽虫がいた
難儀な自殺と考えた
助けようとも感じたが
入り口は小さいし
はさみで切るのも億劫だ

干からびたボトルを放置していた
という点
 ....
 
 
今日はワカサギが良く売れる
いつもは店の奥まったところに並べているだけなのに
学生も社会人風の人もノートや鉛筆には目もくれない
いっしょに良い匂いのする消しゴムや
綺麗な色の蛍光ペ ....
{引用=
なにかいつも悔しくて
無理に笑うことなど
できなかった

さくらばかり、知らぬ顔で
春ひと色

それでも、
きまって咲く花に
いつも違う春がやってくる
矛盾が好きだった ....
血の汗を滴らせる
水銀灯が冷え切る前に
消せない緋文字に彩られた
悠久の煉獄に繋いでおくれ


真朝と空が
やさしいキスを重ねる前に
見えない瞳に閉ざされた
螺旋の悲劇に触れておくれ ....
適当な星をみっつ選んで
「あれが冬の大三角形だよ」

今では星の名前なんて忘れてしまった。
膨大な量の勝手な名前をつけて神様きどり。
適当に繋げることで好き勝手な形を描いている。
小さい頃 ....
こぼしちゃいけないってがまんしているきみの
その眉間のしわが好きなんです
吐息が融解していく夜の海に
降りしきる雨はひそやかな銀

さようならをうまくただしく言おう
そのためにわた ....
素早く黒く内転する北風。 


見え隠れしている
耳と口の部品である言葉の
調律が乱れたままの
時の音階。


銀と黒の液体が出会う不純なる海峡
沸き立ち割れる泡の痛み
混合 ....
自然や
動物や
静物を
つかってしか
ものがいえないなんて
なんて

そこから
さきに
つぐ
ことばが
ない

なんて
なんて

沸きあがった
からだが
うその ....
夜の隙間でないていた
メェメェ羊
月明かりを浴びて
夜空に駆け出すよ
数え切れない星々の
川を泳いで
メェメェ羊旅をする

ねぇ君
体中に星が広がってるんだね
夜空と混ざりあって
 ....
半分以上寝ぼけた君が

また行っちゃうの?
帰ってきてと
つぶやいたような気がする

君は猫のように体を丸めて
ぬくもりを求めている

時間が流動する

体液も流動する

唾 ....
汝こぼすなかれ
汝、精を地にこぼすなかれ
一粒の麦・・落ちて、死なずんば、ずんば、んば、あばばばばば

           ❤

2024年、ウィルスの細胞変性効果に着目し ....
{引用=からだの奥から
たらたらと
わたしが滴り落ちていく
産声とともに泣いた日の
わたしの初めの一滴を含んだ雨で
シーツを洗いたい

足跡にそって
てんてんと広がった池を
みじめな ....
ぼくは濡れた路の上に立って
ゆるやかな忘却みたいに終わってゆく雨を見ていた
15時25分をすこし過ぎたくらいで
どうしようか決めかねているみたいに
太陽がうす雲のあいだ ....
私のお墓の前で泣いている女が
私の全然身に覚えのない女で怖い
時折愛おしげに腹部をさすりながら
私のお墓に縋りついて泣くから怖い
それは黄昏れ時の一室                 夕、だった
蛇と蛇は見留め合い                  からまった
それは黄昏れ時の一室                 ふたり の ....
墨の枝が地にとどく
雪は雪に震えつづく
ひとつ押され
黒く点る


道が夜を決め
灯が季をくくる
心は薄く
水は水に


海のむこうの霧
羊のなかの髪と風
 ....
窓外の大空に掛かる十字架
朝日を浴びて白く屹立する
それは福音だ

彼は夜闇に生まれた
太陽に焼かれ、荒地に又砂浜に
足跡を残した
それはゴルゴダへ続く

砕かれた四肢から血が伝い落 ....
妹よ
僕に妹はいなかったけど妹よ
言葉を失うたびにおまえはいくつかの言葉を失う

次第に拙くなってゆく舌先で懸命に
ぎゅっとだきしめて、という妹よ

おまえはいまも夏祭りの浴衣の薄桃色で ....
高梁サトルさんの自由詩おすすめリスト(1192)
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