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夜明け前
夜を操る 鳥の声
「この歌で夜を叫ぶ 産声の主は一体 何某か?」
黒檀の夜の中心で
一羽の巨大な鳥の翼に
覆われて 視界は黒く埋められた
聴覚で見ろと
胸の熱い 心 ....
夜の雨の手
蒼とおる蒼
迷霊の足跡
川へつづく
背から土へ
脈動は抜け
眠りはひとつ
ひとつだけ来る
避けた風に指を入れ
音の温さを乱して ....
紙風船に ふうって
たましい吹き込んで
ぽんっ とあげる
あなたの心に届くころ
....
右手の人差し指がちくわの穴に刺さって
抜けなくなってしまった
ちくわはとても嫌いなので
食べるわけにもいかない
そのままデートに出かけたけれど
あいにく恋人もちくわが大嫌いなので ....
傾いた春の海、季節の春分点から誕生したばかりの
太陽を浴びる雨
真珠色に輝く鱗の人魚より、二足の人間に目覚めるための進化の探求
我が子の足跡を追いかけて
夢の境界から、氷の白地に這い出 ....
季節の変わり目は
不思議と あいまいで、
みあきた建物たちの
街色は、いつもの
寡黙のまま
昨日とのくべつのない
今日を数えながらも、
オリオンをあとにしたら
きみを探し ....
星と星の間をじぐざぐに歩く
ぶつからないよに 触れないように
そんなしぐさのことを
愛と呼ぶのです
つんつん 低いところつつかれて
なあに と振り向く心
そんな温かさのこと ....
ちゃぷちゃぷ
ちゃぷん
ちゃぷちゃぷ
ちゃぷん
水の調べは心地いい
水面の{ルビ泡=あぶく}をよく見てご覧
生まれて直ぐの{ルビ泡=あぶく}たちは
列になった ....
目が腫れるまで
言葉をつぎはぎして
しんぞうとのうみそを
縫い合わせておきたかった
調和と統合と平和の
マルの中で
哲学から解放されたかった
天地がひっくり返って、
宇宙人が攻めて ....
{引用=もし、もしいつか自分が子供を持つことになるのであれば
まずはじめに、土を踏ませてやりたい}
親鳥のもとを離れ旋回する羽は
ふわりふわりと人の波に襲われ
海は、海はまだかと
空は、 ....
真っ昼間
駿河台から坂下りて
神田で飲んだその後で
鯛焼き片手にぶら歩き
仕事も無い
家族もない
まして、恋人もなければ
金も無い
おまけに今日も
予定が無い
だから酒 ....
沈黙の朝に雪が降る
花も鳥も凍ってしまって
吐息だけが揺らめく
窓ガラスを辿ってメッセージを遺してゆくから
どうか気付いてくれないか
(ねぇ。君はまだ眠ってるの?)
....
行方知れずの星を
また探しにゆこうか
今日は君と一緒じゃないけれど
いつもの道へ
渡る橋はもうかかっている
ひとりだってこわくはないよ
君はそういって振り向かずに歩く
音をたてずに君 ....
とある男が
じっと石を眺めていた。
一日中である。
それこそ寝る間を惜しんで、石の前に座り徹していた。
「その石は何なのですか」
尋ねると、男は答えた。
「これは石ではない」
....
下着売り場で羽化したセミたちが
越冬のために南へと渡って行くのを
ぼくらは最後まで見届けた
空の遠いところにある白い一筋の線
あれは飛行機雲じゃない
だって、ほら
指で簡単 ....
出勤まえにアイラインを引く
鏡の向こう側で
いつも私の代わりに私を演じてくれているもう一人の私と目が合う
季節外れのプールみたいな彼女の眼球の中央に
黒い硝子の宇宙、
私の魂の出先機 ....
凪の海からひとつ
またひとつ
大小のみずばしらがそそりたち
消えて
また生まれ
抑揚
クレッシェンドが見えてくる
乳白色に似た
朝焼けの視界
ヌードカラーのドレスで歩む
なんらかの ....
私は立ち止まらない
この道を行くと決めた
匂いの蒸せる深森の内を
怪しげなけものみちであっても
感じるままに行方を選ぶ
暗がりを畏れて
夜は月を探す
闇の海原は私を奪ってゆく
私は ....
ああっ、そういえば昨日だったんだよね
意図的に忘れてた訳じゃないし
これって何なんだろうね
「どうしてなんだよ!」
面と向って尋ねられたとしたら何て答えるべきかな
えっとさあ…
....
君の直感を信じている
世界でいちばん鋭い君の直感が
僕のアンテナをひっぱり続けている
だから赤色のタワーは日ごと夜ごと
どんどん成長し空に向かって伸び続けている
....
ひかりの反射を免れて曇り空の跡
つめたい水を浴びて閉じてゆく肌と
つめたい川に隔てられた母子
幾度も破かれては繰り返す眠りのうちに
再生されてゆく喉
結末の骨より吹きすさぶ逃げる月の速度 ....
机の一番上の引き出しから 幾つかの星を取り出して夜空に貼った。
二番目の引き出しから 三日月を持ってきて3時の位置に張り直した。
引き出しの一番下から太陽を持って来ると 枕元に置いて明日に備えた。 ....
真夜中が
ずっと
かたくなに守り続けた
ぼくの有刺鉄線を
溶かしてしまった
だからって
泣いたりするもんか!!
剥き出しにされた
ぼくという存在
空気に触れた ....
悲しくても
涙は流さない
ショートしてしまうのです
すべてのプログラムがイン・プットされているなら
それでよいはず
機能を十分に果たせるように
あたしがいる、冷たい手をしたその指先に ....
僕の銀色の船は、雨の海を北上し、
目的地の虹の入り江にたどり着いたところだ
虹の入り江は、とても綺麗に湾曲している入り江だ。
ここは本当に美しい月の名所で
地球にいた頃から ....
お前と言い争った夜は
何となく落着かなくて
布団に入って目をつぶっても
まぶたの裏が赤く焼き付いて
ウイスキーを一杯
もう
どうしようもない状態
取り返しもつかない
で ....
冬の畑の渦巻き模様
雪原に融雪剤の渦巻き模様
美瑛三月の雪原の丘
たった十日の早い雪融けへ
スノーモビルによる散布
美瑛の美しい起伏は
パッチワークの丘
四月柔らかな陽光の中
....
庭の中では
わたしは園丁です
剪定ばさみ片手に
いろいろ切り詰めてまわります
あおあおとした小枝
みずみずしい若葉
手を入れるべき季節というものはありますが
どれも好きなだけ伸びても ....
なんて合理的なんだろう
空も 海も 動物も 植物も 道端に転がっている石でさえ
今そこにあるべき姿でしか存在していない
必要なことしかしていない
人間だけだ 不合理なのは
....
こうこうと燃えている白い道に
飲んでたむける傾きの宵戸口
ねかせておいた木漏れ日 影の上
指に重なり ぽつん すさませない
ひめくりにつられてつぎたし
のどもとにつきつけついばみ
よそ ....
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