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友はなく親はなく愛した男は幻で
言葉は誰にも通じない
叫び出せば注射を打たれて
硬いベッドに縛られる

最後に私の魂が バチンと潰れる音を聞いた
床に落ちた虫けらのように 唸る  ....
思い出の場所など私は要らない
そんなものは核弾頭の餌食にでもしてしまえ
思い出の場所には誰もいない
大地に在るのは私の影法師だけ
雑草と風だけ
足下には消滅した時間の残骸が
捨てられた土産 ....
キュビズムの絵に描かれた
向かって右上に居る裸体の少年の
手の隙間からこぼれ落ちる種子が
発芽し庭を埋め尽くし
足の踏み場もない拒絶する自然に
対峙した私はひるむ心を尻目に
植物の中へダイ ....
彼女は
いつも高架の上で
行き交う電車を見下ろしてる
僕がそばに近づくと
物憂げな視線を
僕に投げかける
彼女は言う
どうしてみんな靴が汚れているの
穴が開くまで履き潰さなくて ....
冬と春が
「もうさすがにいきますね」

手をつないで別れを告げにきたので
ああそういうことかと合点して
餞別にと毛布を渡した

それがおとといの晩

その夜が明けるころから雨が ....
{引用=姉の子供が遊びにくると
正直こわい

加減を知らない無邪気なキック
ちょうどみぞおちにくる頭突き
誰から教わったのか知らないが
姉の技に良く似ているのは確か

「遊 ....
春「許せない春」


桜ふぶきが目に入る
淡く、幼い恋に似ていて
ほろりと涙がでた

花びらをひとつ
つかむと握りしめていた
肩をなでていく、風を感じる

許せるものを
この手 ....
父は木製
母は金属製
そんなわたしの骨は木製
そしてどこか金属製

寄り添う啄木鳥
蝕む啄木鳥
偶然かわいい一羽くらい
薄い音を鳴らすときどき

黙る木製
黙る金属製
そんなわ ....
何者かの足音が君の耳に届いている
君は空耳だと思う

不安な風が頬に触れる
君は錯覚だと思う


ある日子どもが水に落ち
誰も気づかない
最後の吐息が泡となり
水面でかすかな破裂音 ....
しょくざいをもとめて
こうかいをつづけている

こころのなかのうみが
あれている
このあれたうみを
そとにださなければ

しょくざいがないと
はらがみたされない
てをあわせいのるよ ....
身体とこころが、一番遠い日


時計はひとつだけではない
空腹を知らせてくれるのも
まぶたに重みを加えるのも
呼吸を始めるのも終えるのも
全部がばらばらに針を向けていて
アラームはそれ ....
ひとがひとり亡くなっているんですよ!

不謹慎なの判ってはいるんだけど
鑑識のひとが部屋に出入りしていたりするのに
向かいの高級マンションに住む奥様達はこちらの様子を窺うでもなく
普段どおり ....
弓を絞って
矢を放つような跳躍が
理想だ
一跳びで
虫籠の傍から去る
一切余計なことはせず
一瞬で決める
子供のために
理想を断たれてなるものか
小さな手で握り返した
精一杯の自己主張は
脆くも崩れ去り
斜めの世界で
命を耕しては
空の彼方が憂いを帯びる

いつもさようならは
口に出来ずに
終わりのない結末を
月の欠片が反射 ....
ばあさんが男を一人しか知らないとしても
人生の物足りなさはそこに在るのではなく
今日もやかんの熱湯をポットに注ぐことや
皺だらけの寿命の尽きるのが
再来年でも明日でも変わりはしない
そのこと ....
だあれもいない夜に私はたっています
それは夜のくらさのためではなく
そのくらさが私の影とまじりあうからでもなく
ただ私がどんなものともつながっていない
無縁のものだからなのです

とおくふ ....
難破船が、出港する。船であるからには。海が。あるからには。心優しい、友人たちよ。惜しまないでくれ。わたしは。幸福とひきかえに、世界を。手にするのだから。



棒のようなものを、ふりまわす。 ....
 耳を
 澄ませば
 夏草の受け止める
 雨音
 さふぁり


 金魚のひれ
 ひらひらと
 漂い
 脱俗を
 せまる


 食うのみに生きたが
 戦後と
 あなたは言 ....
新緑の季節
五月の朝の陽光を浴びた
ニコライ堂 緑青に覆われたドーム屋根

明るい陽光に
くっきりとした陰影を残した
コンドルの遺産は
一二〇年経った今日も
聖橋から靖国通りに向かう坂 ....
隣のビルに向かって叫ぶ

レモン!

酸味を含んだ飛沫が
届くといいと思って

レモン!

屋上で
柵に手をかけて
 
レモン!

箱詰めにしたレモンを
宅急便で送ってお ....
光は動き
樹は見つめる
はざまの前に立っている夜
はざまは風になってゆく


双子の夜の片方が
先に朝を知ったので
昼はななめ
夕はななめ


光が変える絵 ....
 {引用=
 実在しない恋人に捧ぐ。



公衆便所で 首を吊る姫君
顔色ならば じゅうぶんに、わるい

たとえば 美しい女でなくても 踊れる舞台は あった。

たとえば、「もう ....
舞台の緞帳はいよいよあがり

しかしその舞台のうちで更なる幕は開かれる

改革は合わせ鏡

今や幾重にも続く世紀の幕開けに

観客は右に左に首をかしげ

出演者達は台本を忘れ

 ....
重油が雲のように流れうねる
粘液質の眠りの底に響いて届く
何色かの鐘の音色に共鳴する
筋肉繊維の無数の弦が共震し
開かれる眩暈と明晰の間の扉


甘く緩く脊髄を対流する
胸 ....
 
 
ページをめくる
本の中にたくさんの
文字が落ちている
こんなにたくさんの文字を
いったいどこの海から拾ってきたのだろう
時刻表を見ると
海行きの最終列車はもう三分ほど前に
近 ....
朝起きて 台所のブラインドを開けると
猫が 物陰に隠れて
つたの絡まる切られた木の上の方を見ている
そこには ヒキナギのつがいが
巣をはぐくんでいるのだ
が いつもはもう チチチとさえずるの ....
額にコインを強く押し付けたら
願いが叶うと信じて
おまえは毎日
穴が空くくらいコインを押し付けて
何かを祈ってる


はたから見てると
なんだかバカ ....
太陽が西に傾き
橙色の弱光が窓ガラスを抜け
誰もいない教室をほのかに染める
グラウンドでサッカーボールを追う少年達
その声が
遥か遠くに聞こえる

教室の後ろの掲示板
はられた絵が眠る ....
命を助けてもらったなら
大切にしなくちゃいけない

今日俺は獲物を逃した
獣と魚を一匹ずつ

あいつらは俺が乗り気じゃ
なかったことに
感謝してるだろうか?

そりゃあするだろ ....
手首を切り落とす、
という妄想が頭から離れない。
私の手首を切り落とすのではない。
最愛の人の手首を切り落とすのである。

切り口はなるべくすっぱりと潔いのがよい。
切れ味よく骨まで切り落 ....
高梁サトルさんの自由詩おすすめリスト(1192)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
鉄格子の中で- デラシネ自由詩5*10-5-27
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「愛鷹山(ashitaka)」より_[五行歌作品]- ま のす ...自由詩6*10-5-23
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願い事- 寒雪自由詩210-5-20
クローバー- ルナ自由詩610-5-20
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手首のソネット- 佐々宝砂自由詩710-5-19

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