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1センチメンタルの感傷を
長さの単位に
置きかえていく
長さは日々伸びていき
縮むことはない
ただ、忘れてゆくのだ
見あげる夜空に輝く星まで
何センチメートル
ある ....
あめがふると
くさがはえるのだと
こどもがおしえてくれた
わすれていただけなのだ
やくにたたないと
しってから
おとなになるために
すててきた
わたしとこどもを
....
光は屈折し
やがてその先端は
壁の末期へと続いていく
何かあってはいけないので
あなたは洗面所で
数を数えている
川幅の狭い橋を渡ってきた、と
わたしは告げ
手を握 ....
胃の中にへばり付いた
アニサキスみたいに
僕の神経をかき乱す
やり方が
良かろうが悪かろうが
僕の都合なんて
最初から
気にかけもしない
それが当たり前の事
....
姿の無いものの気配がする
ガラス戸が小さくカタカタといって
何処か遠くの出来事を伝えようとしているのか
本当のことは良くわからない
日常の大部分は
そうやって解体されることなく消化される ....
牛です私決めました出産ですお立ち会いのもと牛です私牛です出産です決めましたお立ち会いのもと出産します牛ました私です決めました私牛を出産します。
産まれました
白と黒の牛は仔牛と呼ば ....
サイダーは陽射しで
わたしはまなざしに
溶けてからんと音がなる
はずかしいくらいに慾をむきだしにして
蝶々が卵をうみつける
濃い影が床を一周するあいだに
わたしたちは手をつなぐ
....
宇宙から地上へとのびる滑り台を滑り降りて僕らは生まれた
あまりはっきり覚えてないけどあの光景をもう一度見たいから
僕らは長い時間をかけてより高い宇宙への階段を登ってる
大空に手を伸ばす
太陽でこの手を焼くために
ほしいほしいほしい
私は全てのまっとうなものがほしい
備わっていないものをほしがり
すでにあるものをみないで
それらは
当たり前に動くから ....
お前の母ちゃんの子宮にはアリゾナの青い空があって
乾いたハイウェイ沿いにただ1軒あるガソリンスタンドで
お前の父ちゃんが働いていたんだよ。
ただお前は地下に埋設されたガソリンタンクからではなく
....
山奥の針葉樹林で生まれた
朝露のひとしずくは
無数のひとしずくと共に
苔や羊歯の間を縫って
ひたすら傾斜に従う流れになった
渓谷では
無邪気にはしゃいで
いたずらに透き通って
....
絵の具の年譜
金の闇
渇ききった既視の風に
名を呼ばれては遠去かるもの
暗い霧をつなぐ虹
ところどころ消えながら
雨を照らし
雨を鳴らす
岐路の前の影
....
哲学
自分と向かい合うための時間を作るために
未来と向かい合う時は既に過去になっていて
過去と向かい合う時も既に過去になっていて
現在の自分と向かい合う時は既に過ぎ去って行く
作 ....
ギターをかき鳴らせ
かき鳴らせ
かき鳴らせ
かき鳴らせ
かき鳴らせ
あの娘が
幸福でありますよう
オレの命を削って
ギ ....
81
棚の上に置かれた卵の装飾から産まれたカッコウのひなは、早速、置き時計を下に落とした。
82
あなたは、私の中から一回り小さい私を取り出し、その中からまた一回り小さい私を取り出し、を繰り返した。 ....
お前の体が長く伸びる
影が増したのかと思うが
少し違った
のど元から
違う声が漏れる
口から漏れる声と
交互にささやく
お前が伸びて
私の肌を刺すときに
私は内面からもえぐら ....
*一時限目 数学*
美しき微分/麗しき積分/淫らな糖分=知性の所望するもの<睡蓮たちの睡魔
無限の輪っか((エタニティー=ハニーディップ×2))
を、黒板の隅に小さく描く
カリカリカ ....
真夜中のシナモン・バー
蒸気に琺瑯が 咽る
窓をけして開けてはいけない夜
捉えて、捩じる、からだ、
初めて会った他人の中に
この身を千切って置いてきている
毎日を、つづけると、
....
悠々と空を飛ぶ鳥に生まれたかった
大地に根をはる木に生まれたかった
水を泳ぎまわる魚に生まれたかった
さなぎから蝶になるように
そんなふうに美しくなりたかった
彼らのような日々を過ご ....
ほら、切り開く羽音の中で目覚めた、
液体の白さに目が眩む/
月を目掛けて飛ぶ蛍火に
歪んだ窓辺に移る信実とはかけ離れて
少しの眩暈を憶えられた
陽炎にふるえる鋭角な月よ
穏やかに誓った涙の ....
もしかして美佐江さんだったのかな
週末の都営新宿線本八幡行き
朝方はお出かけの人たちでそこそこに混んでいて
視線に気付かなかった
それとも無意識に気付くことを避けてしまっていたのか
私の ....
それよりまえにふみこんでくれるな
ゆったりとのらりゆらり
ハンモックにつつまれているのさ
母性をもとめるようちゅうみたい
はずかしいかい
ギリシャ神話のみえな ....
{引用=
、筆を止める
月明かりにはまあるく
背中はやがて
丸まっていく
半身歩行
夜の夢遊
浅い眠りからは
気体だけが抜けていき
いつからかわたしは
人でない
....
ふたり歩む小径にも
ふたりくぐるアーチにも
薔薇たちは咲き誇り 香りはあふれ
胸の想いも 互いの声音や眼差しも
薔薇の魔法を帯びて かなしいほど甘やかに染まり
この園がいっそ迷宮と化せばいい ....
水たまりを跨いだら、一国の王になっていた。
捨て猫の声が聞こえてくる。何故、捨てられた猫であるとわかるかというと、猫の言葉がわかるわけではなく、捨てられた猫の啼き声は、激しく依頼してくるからであ ....
+ + + +
ワイヤーの入った
硝子の向こう
街の暗闇を
雨粒がはしる
必ずしも重力方向という訳でなく
+ + + +
夜が ....
私がまだモクセイ科モクセイ属の常緑小高木だった頃
女は窓に立つ鳥でした
私がまだ荊のような神聖さを保っていた頃
女は鳥をやめ風景になりました
そんな女が周期的な区分でグラデーションを繰り返す間 ....
1
いくつもの水際が交わる地点で、杉の木立が絶え間なく引用されては要約されている。切られた影をつぎはぎしてできた窓が幾重にも重なっては蒸発している。部屋の表情から捧げられた視力を集め忘れる。私は ....
五月晴れの朝
雪が積もったら自然に落ちるように
高めに作った青い片屋根のてっぺんに
ヒキナギが二羽 歩いている
つがいでしか 見たことがなかったから
すぐ近くの電線にとまっている
カラスを ....
おまえが悪いおまえが悪いと
道往く人になじられる
いったい何が悪いのかと
自問自答してみるが
思い当たるふしがまるで無い
道往く人に何が悪いのかと問うてみても
全く聞いてもらえない
逆上 ....
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