「 すいかぶり。 」
PULL.







すいかだった。

真っ二つに割られたすいかが、
テーブルの上に、
どでんと置かれている。

どこを見回しても、
スプーンがない。

仕方がないので、
そのままかぶりついた。

一口食べると、
すいかに顔が埋まる。
三口食べる頃には、
顔中すいかの汁と種で、
もうべとべとのぺとぺと。

これではまるで、
すいかに食べられているみたい。

小一時間後。

テーブルの上では、
中身が綺麗に空になった、
すいかの皮が風に揺れていた。

窓の外で、
鈴虫が鳴いている。

りーぃん。
りぃーん。
りぃぃーん。

頭に乗せてみた。

すいかの皮は、
ひんやりしていて、
とっても気持ちいい。

さっきバットで殴られた所が、
まだ少し痛んだけれど。













自由詩 「 すいかぶり。 」 Copyright PULL. 2005-08-20 20:37:44
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