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幸せの疑似体験をした翌朝
依然として闘病生活の真っ只中で
生理的欲求をめいいっぱいに吐き出した
軽い貧血に対して冷静な自分を
少しばかり嫌になる
嫌いなものを嫌いと言えて
好きなも ....
夕暮れの通りで
僕は見る。
長い影を引き摺った
車椅子に乗った老人を
中折れ帽をかぶって
ブルゾンを着込んだ老人は
車椅子に毅然と座ったまま
一点を見つめている。
横顔には深く ....
霜降る雪降るどんより曇天
どんと置かれどんだけ
脂肪
細くしたたる汁白いしるしする
スローにすするそっとすする
気を震わせふれさせては
ふるえながら死んだから
氷水
油滴箸先ア ....
やわらかく、いま
はっきりとした
輪郭で、ミシガン
名もない傾斜に、着岸
している、濡れる
髪のひかり、ひそやかな
荊、起き上がれずに
うわごとのように
ミシガン、破れ ....
090927
三味線の爪弾く音が
かすかに聞こえてくる
母様が弾いているのだろう
母様が家を出たら
教えてくれる人が居なくなるので
母様が家にいる間 ....
夜のピースにはまるひと
かわいい子供が泣いて
そっとオフにもどるひと
見た目はきらきら
こころはながく
話を聞いてくれるひと
お月さまが壊れていると
詩を詠む男の子
半月とひ ....
数千億の水の龍が
大地に嫁ぐ音で
安らかに{ルビ微睡=まどろ}む
頭蓋の裏窓から眺めるよ
天よりただその為に落ちる
水の龍達よ
すまない
君らを救えないが
私は救われた
頭蓋の裏 ....
手が汚れたら手を洗うのと同じように、君は身の回りのものを捨てる。
私はそれと同時に、美容院で夏に傷んだ毛先をケアしてもらう、
ある人はカラオケに行くのかもしれない、
またある人は衝動買いをするの ....
今日最後の光が
暗闇に飲み込まれる時
僕の左側は
ありふれた原風景に帰りたがる
無闇に掻きむしられた
胸の裏地のヒリヒリを
残業前のコーヒーブレイクで
なだめすかす
今日最後の ....
ひとつのメルヒェンが世界を往復するあいだに
路地裏の女はひらがなで大きく書かれた
しなないという文字を
街の中心地へと押し出そうとしている
(光の海で星と泳ぐ少女の物語も日が暮 ....
よく晴れた日曜日の朝
洗い立ての心臓を
物干し竿に干した
切り離された動脈と静脈を
洗濯バサミでとめて
(ぶらぶら)
風に揺れるその動きが鈍い
滴る雫が陽光に照 ....
朝の薄闇の中
漸く日の光にあたるはずだった蛙は
また暗く深い井戸に
引っ張られ
ボッチャン
暗い闇と死骸の腐敗した臭いの充満した井戸
這い上るはずの壁はあるのだが
真っ暗闇で ....
硝子の眼が欲しい
濁った眼は棄てたい
凍り付いて、怖じ気づいた膝小僧
全部、全部、棄てたい
全部、全部、硝子製になればいい
隠れ家で填めよう
新しい部位・部品
独りきりのメタモルフォーゼ ....
今日も太陽はご機嫌ななめで
一面に白い濃淡が広がっている
北風は旅人のコートを脱がせることができなかった
知っているくせに
空がこんなにつめたいのを
「仕方がない」で済ませる人と ....
死神の歩く道
覚えておくといい
よく見ておけ
よく覚えておけ
表現者が列を成して歩いているあの道、あの十字路、あの交差点
それぞれがそれぞれのホムンクルスを抱え、歩いている
よく覚 ....
「秋の夜は果てしなく長いのだから」と
あなたは言って
舳先の行く手を確かめながらゆっくりと櫂をこぐ
おとこのひとに体を許す
例え今夜がはじめてではないにしても
月明かりは艶かしく ....
あれは恐ろしい、気持ち悪い子だ
6歳の時に偶然聞いた祖母の声
私の事?
どうして?
混乱する幼い耳へ追い討ちがかかる
早くお迎えがくればいいのに
どうして。 ....
バベッジのコンピューターは
台風力でも動きます
宇宙からの電信渦
メールシュトローム解読中
ニュースというかコマーシャルが多いです
あ、これはドラマでしょうか
生き様だけはハードボイル ....
朝露の滴る草むらに横たわり
私の身体はがらんどうなのに
脈を打っていた
温もりもわからず
コロンカラン コロンカラン
流した涙は
冷たい石のような音を立てて
深い井戸に落ちた
....
青灰いろの
ひかりのなかに愛人が寝ている
そとからは虫の音がしている
その不規則な音を聴いている
家族には嘘をついている
この関係は
肉欲と所有欲だけかも知れない
....
パパ1号とメールをします
また会わなきゃ
やだなあ
でも生きるために
全ては向こうからやってくる
悪夢に作り替えるのは私
夢から醒めたアリスは悲しそうな顔をします
でもあたしには優し ....
夕暮れ
みんな家路に帰ろうと
一人ぐずぐず
オニのまま
悔しいままで
夕日を睨み
そのまま暮れて薄暗く
ぽつりぽつりと街灯が
道をぼんやり照らす頃
オニも泣き顔拭かぬまま
....
悲しみにはぐれて
頭だけで歩いている
まだ銀杏は緑いろだ
頭も肉体の一部なのに
頭は肉体と比べられている
肉体のほうが信用されている
それこそ嘘だ
坂道は薄曇 ....
コンタクトレンズを洗います。
次に、歯を磨きます。
そして、顔に軟膏を塗ります。
今日一日、食べたものをメモします。
昨日寝た時間と今朝起きた時間、昼寝をした時間と回数を日誌につけます。
2 ....
不安な気持ちでたまらない、と
夜、入院している父から電話があったので
病院まで行く
今日はリハビリ頑張りすぎて疲れちゃったんだね
そう言って落ち着くまで父の頭を撫でる
その帰 ....
ヒトはトリに憧れるが
トリはヒトのことを相手にすることなど断じてないだろう
ヒトは見上げ トリが舞う空に向けて想うのだ 例えば
A picture ---この言葉を唇に乗せるヒトは、
....
今朝は朝から革命の鐘がうるさくて
もっとゆっくり眠っていたかったのに
カーテンを開けると町はすっかり革命気分で
至る所で革命が行われていた
昨日まであったはずの赤いポストには
何かの象徴のよ ....
まだ頭で祈っている
まだ全身で祈れていない
全身全霊だ
頭で祈っていることを体感している、というのもおかしな話だが
全身全霊とはよく言ったものだ
頭で祈っていると祈りは持続しない
....
I がない一日でした
アイがない一日でした
自分が留守な一日でした
ただ流されていくばかりでした
土左衛門なのでした
いくつもの橋の下をくぐり
今更ながら橋の憂鬱を知り
壊れたが ....
うちから少し歩いたところに住宅街があった
大通りから出る七本の細い道で構成されており
それぞれの道には一号通りから七号通りまで
安直な名前が付けられていた
小学校に上がって通い始めた書 ....
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