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満員電車に揺られるたびなんで人間は増え続けるのかなって思う。
だけど日本人は減ってるらしいからそれはそれでおあいこなのかな。
家の近くのコンビニではアラムさんがレジを打つ。
片言混じりの日本語で ....
蛍光灯のひとけないフロア
コピー機の出力の音
そとの雨が窓をぶっている
指示されたことを
消し込んでいる部下たち
十月の夜が
ほとぼりのさめたような顔をして
....
今日、新しいエプロンを買った
今日、リビングにホットカーペットを出した
今日、夕ご飯はカレー鍋に決めた
今日、お風呂であの歌を唄ってみた
今日、電気毛布を早々に使った
今日、あなたの夢を見た ....
魚な感じの魚が泳いで行って
すれ違いに
自分ってなに?ってって
金色?
赤色?
なんかそんな色で
キラキラじゃ無くって
ギラギラって感じで
瞬いて
眩しくて
眼が痛くって
喧しく ....
摩擦子音+母音の
「す」
を発音する時の
舌先をすり抜ける息の
すがすがしさが好き
破裂子音+母音の
「き」
を発音する時の
喉の奥で突き放す息の
いさぎよさが好き
「すき ....
普通の友達ぐらいなら
メールの返信なんて当たり前で
返信を拒絶するのは
その人物を拒絶しているからであり
拒絶された私は
生きる意味さえ拒絶されたのだ
返信を拒絶するぐらいなら
....
助かるには確率は少なく
1%より少なくコンマ以下の数値だった
誰よりもわかっていたけど
やっぱり君を失うのは嫌だ
そういう僕は君からみたら
わがままな子供にでも見えたのか ....
籠の中の小鳥が声高に鳴く
開け放たれた窓からそよぐ風に喜んで
庭先で君はひとり楽しげに
プランターのおじぎ草を突いていた
鼻腔を突くのは蒸せた花の香り
ざざざと風は水路を走る
千切られ ....
昔に忘れて
きてしまっている
ものがある。
素朴で
優しくて
温かくて
大切なもの
天からの光で
舞い降りてきて
シャボンのように
消えた。
十月の午前の窓は開いていた
どこか遠くで冷やされた風
部屋はあのときの青に澄んでいた
十年ほどまえ商用で行ったアルゼンチン
仕事を昼までに終え
通訳兼運転手の日本人が ....
アイデンティティという言葉を知っていますか。
自分が何者であるか?
自分が何をなすべきか?
ってなものらしい。
最初はみんな意識しません。
しかし、そのうち意識せざるを得ません。
それ ....
くちびるをとがらせて
こいしをけとばす
りょうてはせなかでむすび
あかねぞらにあかとんぼ
こころはくすぶって
やりきれないりゆうが
くちをついてこぼれだす
きのうはだいすきなあのこを
....
授業が終わると、真っ先に教室を出る
いつもなら軽音楽部の部室で
とりとめのない話をして
演劇部の発声練習を聞きながら
ひとりの娘の姿を追いかけるのだけれども
夏休みの間、炎天下の中ひたす ....
お風呂上がりはボディーバターで香りをまとう。どう、美味しそう?
綿棒の大活躍によりアイラインがしっかり落ちる
寝る前のリップクリームは忘れない
プチプライスだけど伸びがいいの、これ。
....
その時
百日紅は花を咲かせて
夏になったことを教えてくれたけれども
夏が終わったかどうかには関心がないらしいので
花を咲かせたままであった
今がその時だと 秋の虫は
ギーギー ギーギー ....
ラテンの猫
粘土の焼けた瞳
河の流れを胸に秘め
光沢の粒を晒す
記憶の階段を
駆け下る
コツン
静まり返った月色のススキ野
突然 ....
五時半暖簾をあげる女将
「やってるかぃ」
「今あけた(開店した)ばかりだけど
早いのね」
「ご挨拶だなぁ
今日は涼しいから燗つけてよ」
とり鍋ぼたんの斜向かい ....
ありゃあ
ぜったい略奪婚の
名残りだぜ
衆人環視の中で
父親が娘を連れて
バージンロードを歩み
花婿に手渡す
なんてさ
敗れた族長が
征服者に
降伏の証として
自族 ....
おれは酎ハイ
ふたりは生中
途中下車して駅前の
会社の帰りやきとり屋
仕事の話
お互いの主張
多少気まずくなる話
家族の話
時計を見ると
もう ....
夕闇のなかでふるえながら
どれほどの
自分の亡骸をみおくったろう
優しいばかりでは生きてゆけないこと
たくさんの人たちに教えられて
それでも
世界をいとおしむやりかたを
変えられ ....
東口改札から
身を投げた二人は
人知れず裏通りを流されて
ライオン像の視界を
斜めに掠めつつ
川底の止り木に引っかかった
三丁目交差点に
打ち上げられた二人は
これ見よがしにじ ....
赤い紅、鈴虫の声
夏の光を殺して空に唄う
君の細い肩、狂おしく
すべてが溶けて時は止まった
どうしてまた帰ってきた、何もないこの場所に
鈴虫の声
今年もまた聞こ ....
きっかけなんてないままに
特別な理由には目もくれず
ただ夢中で積み上げていく
行けるところまで行ってみよう、と
そんな毎日が楽しみでした
円柱形の白いもの
どこで拾ってきた ....
感謝しない人
暴言を吐く人
命を大切に
しない人
暴力を振う人
威圧する人
仕事が丁寧で
ない人
懸命に努力
しない人
優しく
ない人
はんぶん機械のようなものだ
*
コーヒーの無機的な味
オーソドックスに平日の朝をまとめあげる
適切な手段と手続きに従って、予定された課題を消化する
抗体がいまのと ....
「 赤イ羽根共同募金ノ御協力、オ願イイタシマス 」
後輩ふたりを左右に、僕はまん中で募金箱を首から下げて
通り過ぎゆく人々の誰かの胸へ、ひとつの声が届くよう
道化のふりした明るさで、一心に ....
大きな回遊魚が買い物に来て言う
「服はなるべく大人な方がいい」
静かに掴んだ胸ビレで
僕は世界を辿ってゆく
すべての気泡に魔法のようなメッセージ
色は求めれば彩り 忘れれば ....
女を助手席から蹴り出して
さよならをした帰り道
青灰いろが焦げています
秋夜のむこうに燈るのです
燃えたのです
赤いパンティーが棄てられて
ペニスをくわえて貴女 ....
空が青ければ気分も晴れるほど人間は都合よくできていない。
それは夏になったからといって恋をしたことなどただの一度もない事実からも証明できる。
感情は引力で私を押し倒し、重力で沈める。
....
内耳のような誘導路をすり抜けた時
滲んだ涙は悲しいせいじゃない
出口はずっと前から知っていた
いつも見えないふりをしていただけだから
背筋のような滑走路を走り出した時
浮かんだ笑みは ....
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