イメージの中では ブルーの球体

1枚 膜をへだてて

違う時間を 生きるしかなくて


イメージの外では

灰色の なんでもないもの

あちこちの隙間から 入り込んできて

 ....
 
 
 
ぼくたちはときに、ひややかな空をうっすらと着て夜闇の蛍光灯の照らす端で立ち止まる。「ん」とか声にならない音で喉をきしませて、まず見るのは足元の靴だ。重力がぼくをきちんと踏みしめている ....
二月十三日、
雪が降るのを、
自室で待つ。
母から贈られた、
防寒コートをきて、
窓の向こうから、
薄い光がさしている。

コートの上に、
毛布をかぶり、
書いたばかりの、
自分 ....
俺はここちよいことが好きである。
「好き=ここちよい」といってもいいのかもしれない。
鄙びた温泉の湯にゆったりと何度も浸かることが好きだし、
夕暮れ時の森のなかを、モコと雄太を連れ歩くことも ....
ふわりと動くちからがある
雪にちらばる削られた木がある
布か機械かわからぬ四角を
抱きしめて眠るけものがいる
ふくろうの後ろ姿をした人が
朝の光に手をふっている



ふ ....
  

    優しい娘がいます
    方角を間違えて北口へ出てしまった杖を持ったばあさんを
    難解な通路を通って
    南口まで案内してやったのです
    そうっと肩口に手を ....
アネモネの花 流れる小川に
足を浸して赤味差す小さな、ほのか
足先の揺れる水光り
長く尾を引く清流に
白竜の子 触れるという

ロング・ロング・ア・ゴー 昔話の
ロング・ロング・ア・ゴー ....
夕焼けの嘆息、きぬごし、
漏れた光を褥とし、
少年のまどろみ。

春風が、ひとしきり、
染められた、創傷のある、頬をなで、
現実を匂わす。

少年、嘆息するが、
ひらり、
こればか ....
開放されない夜

こんなにも悲しみは
不快な落下を求めて
その瞬間を嘆くことさえ許さない

形を維持できない感情は
なめらかに体をすり抜ける

闇を潜めて光彩に垂れた
 ....
風上に立つ冬が
耳に届くすべての海を
耳鳴りに
します


遠く
遠くに
此処には無い海が
あるとして
それは遠くの
ずっと遠くに
此処には無い海が
あるとしても ....
空中に放り投げたる自転車の車輪の下の花びらが好き


背景として描かれる枯野にてかんざし拾うそれはゆうやけ


水没す古代遺跡の燭台にふたたび炎が灯る邂逅


風邪薬ばらまく園児裏山 ....
トップページを何気なしに見ていたら、「ランダム」というボタンを発見。
いつの間に出来たのか、全然知りませんでした。
ためしにぽちっとボタンを押してみると、全然読んだことのない作品が出るわ出るわ ....
じぶん かってな ゆめをみて
あけっぱなしに していた ひきだしは
かたかた とじることも あけきることも できない

ときおり ほかの ひきだしを
あけっぱなしに してみるけど
あた ....
 
 冬には空が降下する
 みんな誰も見てないし
 奪えるものがあるなら
 私から奪って構わない


(雪霧の向こうに浮かぶ
 あれは管制塔の光源だ
 低い轟音を響かせて
 離陸す ....
たぶん祈りには何の意味もなく
そんなことなど承知の上で
とうに終わった宴のあとを
涙ぐみながら眺めているのです
宴が終わっていることは知っています
でもそれを認めたくはないのです
訪ねてい ....
屋根裏部屋には
消しゴムの標本があるって
かりふぉるにあおじさんが
声高々に自慢してた
その中に
砂消しもあるんやろかと
梯子に右手をかけると
親指がちょとだけ(約1cm)
 ....
娘が補助輪無しで
自転車に乗ることが出来るようになった
それは昨日のこと

最近左手がきかぬと
父がペットボトルの蓋を人に開けさせた
それは今朝のこと

僕は時のパズルと戯れながら ....
蛹の時代は終わったと
鱗粉まみれの陽光を謳歌する
ここには花が少ないからと
蜜の代わりに蜂蜜を
葉の代わりに
デッキチェアを

さようなら、また今度、遊びましょう、晴れの日に。
そ ....
建築現場の鉄骨が
空の重さに耐えている

昼下がり
子供たちがホースで虹をつくる
二階のベランダから身を乗り出す猫
視線の先には
鳥が羽を休めている

鉄骨が発する低い唸り声が
体 ....
買ってくださいとうつむき加減に
冷えた指先は白い花を思わせた
不幸を売り物にできる時代じゃない
他をあたれよと背を向けたとき
飛ばされた風に散らばる花片
見開かれたままの瞳は残像をとらえ
 ....
毎日まいにち
腕を鍛えあげることが大切だって
教わった
常に鍛錬を絶やさず
たくましい腕を持つことができたら
不自由なく生きていけるそうだ
学校は毎日まいにち
腕を鍛える授業ばかりで ....
記憶の ぬくもりが
朝のラインに 並びます
いくつかは やわらかく はじらって
いくつかは つめたく ゆるされて

それでも
濡れた空が ひらかれてしまえば
水の旗は ふかく たなびくの ....
2月になりはしても 北方の冬は
大雪の屋根に腰掛けたまま
目を細めて今日も 微笑んでいる
南風の萌黄色のシフォンスカートを
夜明けごといたずらに ほつれさせながら

生まれた街では凍える ....
からっぽの
そしてからっぽであることにためらいをつけて
せかいがぐるんぐるんまわる
かそくどはじゅうぶんについているのに
もっと、もっと!!
とだれかがせかすことによって
ぼくたちはなりた ....
やわらかく夜は
わたしと明日のあいだを流れてゆきます


あなたは
向かいあう見知らぬひと、や
すれちがうたいせつなひと、や
ほんの1ミリのすきまでとなりにいる
わたし、

ふい ....
ダヒテ。



ダヒテの発音は砂のようで
ダヒテの腕はいつもきみどりいろな気がする。
 僕の魂は重みにつぶされたりはしない
 青梅線を走る送電線に巻き込まれたりしない
 そうなったら
 ....
じーちゃんは 耳が遠い
ばーちゃんは 歯がなくて発音が悪い

二人の会話は
何度も聞き直し
何度も言い直し
互いの顔を
くっつけるように近づいて
可愛らしくて
仲がいい

ばーち ....
学校で習う言葉が専門性を増すごとに印象深くなるのは、マニアックな人間だけだろうか。
小学、中学、高校・・・と、だんだん馴染みのない言葉が増えてきます。また、それに比例するかのように先生の個性が強くな ....
「少女の名前」

ちょんちょんと
ケンケンを
庭石でしている
突然かがみこむと
名も知らぬ花に
手を伸ばす
摘みゆかれる花
かわいそうなお花さん
お花はきっと痛いから
摘まないよ ....
一月の風が過ぎ去った頃
空を迷って辿り着いた木の実が
夜を探していました

まだ
日暮れ前の鳥たちが並んで飛んでいる
公園の歩道には誰かが落としたハンカチが
あと少しで浮こうとしています ....
霜天さんのおすすめリスト(1784)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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揮発_(2005.1.16)- 和泉 輪自由詩1705-2-6
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