ぼくたちが住む
この星の
実態を知るべく
ならば
地球を割ってみよう、と思いついた
ぼくがやらないにしても
いづれ壊れるみたいだよ
と
誰かが言ってたし
それなら いいよね
....
14:34発
皐月のシャツ着た
ゆふいんの森5号
水平線を描く
電線を
斜め下から
追ってゆく
風景も
ゆったりと
融けて
車窓の後ろへと
帯びてゆく
電車の中は
か ....
その日の雨が
今でも時々僕の肩を濡らす
廃園の木下闇に
置き忘れられたブリキのバケツ
松葉を伝い落ちる雫が
想いおこさせる
もうひとつの心臓
眠れぬ夜毎
消え残る雫がほのかに光 ....
影と
影が
重なり合うので
夜でなくても
うずくまりながら
なにかしらの気配が
ぐるぐると周回する
忘れられたまま
中心もないのに
ライカ
私の声が聞こえますか
....
しばらくあっていない
ともだちにてがみをかいて
だしにいくとちゅう
みたこともない
かわいいはながさいていたので
てがみのうらがわに
えんぴつでうつしとった
じょうずにかけたので
....
さいきんなぁんもかんもわすれていきよるち
おかあちゃんがいいよった
なーなー、おかあちゃん
ぼくんことも
いつかはわすれてしまうん?
こーえん
ゆうやけこやけのあかとんぼ
うしろのし ....
さぁ 期待半分不安半分
僕は僕の道を歩いていこうか
其処が荒野でも砂漠でも知ったこっちゃない
さぁ 希望半分失望半分
僕は僕がなりたいものになろうか
其処が湖でも海でも知ったこっちゃない ....
種のようなものを拾った
地面に埋めて水をやった
芽のようなものが出て
葉のようなものになって
つぼみのようなものがついて
花のようなものが咲いた
僕のような人がそれを見ている
何か言 ....
みんながちゃんと
よけて歩くような穴に
簡単に
落ちてしまう
気をつけて
歩いているはずなのに
でも
やはり
落ちてしまう
穴の中で
「ここはどこだろう」
「暖かいか」
....
その人がやってくるのは
ほんの少し
光のかけらをわけてくれた
下弦の月の白い顔が
空に溶け込んでいく時刻です
おやすみなさい
お月様
インクびんのふたを閉めて
閉じ込めたのは月 ....
そんなもの取り出さないでよ
って背中越しに彼女が言ってさ
手に持ってたワセリンを慌てて隠した
Cは苦しそうに そう笑って煙を吐いた
....
そんなもんはすべて、知らないフリだ。
そんなもんは。だ。
左から右へ焦燥をフェードしてつきぬけるのは、たとえば車が走っていって、硬質さが強がりをほんのひととき掠め取るのは、たとえば ....
石を轢く
花を轢く
進んだ跡ができあがる
生きていることを
考える
季節のざわめきは
ふきのとうの頭から軽く跳ねて
たんぽぽの綿帽子よりも、緩やかに
歌声に、散った
空
飛んで行く
、飛んで行け
遠く日本海側からの寒風に彩りを添えて
....
はるか
遠くから落ちてくる
手袋の記憶を
あなたが
持っていたとしても
それは
あなたの
責任では
ありません
あなたが
ベルギー産の
山羊の肉をとてもとても
好きだっ ....
恩を仇で返しやがって って
誰かに 言われちゃったけど
仇を恩で返されるのに比べたら
よっぽどましだって
ぼくは
そう思うんだけどな
ジャブジャブ歩いていける
砂浜から続く海
うすい砂色の皿に
浅い海の色のスープをそそぐ
(鶴は飲めない狐のスープ)
ふかい空から
ひたむきに
飛び込む姿勢で
(ウミネコの視線で)
....
輪郭の街が
徐々に織りをなし
時計はだらりと腕をさげ
ほぅい ほぅい と歌う
海にでると
肌がちりちりと
焼ける心地よさが
足跡にたまって
潮に吹かれた
8mmフィルムが
からくり ....
冷ややかな朝に
渡る風の行方を見つめていると
どこかで古いレコードが回りだす
草原の朝もやの中から
湿った石の階段が現れる
五段ばかりで
他には何もないのだが
時を経て少し苔むしたまま
....
恋なんてものに
出会いそうになったら
それはもう
一目散に
逃げるしかない
だって
ひどいめに
遭うかもしれないよ
とにかく逃げて逃げて逃げて
見えなくなるところまで
....
あなたが本の真似事をしている
ぱらぱらページをめくると
良いことが書いてある
わたしは少し良い人になる
わたしも何かを伝えたくて
ささやきの真似をしてみる
音のようなもので
あな ....
エムと出会ったのは、ちょうど海の標識が立つ四つ角を曲がった交差点だったと思っているのは記憶違いなのかもしれない。御影石が欲しいというので三つ拾ってあげたところまでは、覚えているのだけれども、その先は ....
この先
いきどまりです
木陰の看板を
すぎてゆく雲
誰かの何かが持ち去られ
小さなものひとつ分だけ足りない世界の
午後のガラスの路を歩む
春は銀 ....
自転車に乗って
ここまで 走ってきた
もう どのくらいの間 こいでいるだろう
と、いうよりも
いつから 走り始めたのかさえ
走り出した頃は
まだ ペダルも軽く
少しくらいの向か ....
きゃらめる 9
うた
1
きれいなこえを
ひろったので
はねをつけて
そらにはなちました
らら
きれいなこえで ....
遠くに行こう
と
あなたが言ったから
来てみたの
ずいぶん遠くに
でも遠くなんて
どこにもなくて
ここはどこでもない
ぼくらは電波に乗って。
つい揺れて悔いて後退るぼくの間違いも、変化する内側を訴えるきみの気まぐれも、あけすけで譲らない誰かの嘘も。電波に乗って、浮かんでは飛び交うそれらがもし、全て空気中にう ....
1
正直、高校を卒業した時の成績はよくなかった
偏差値にして40前後
空を飛ぶ試験にうかるには絶望的な数字だった
なにしろそのころ
空を飛ぶための試験を通過するには
偏差値にして6 ....
(1)
僕は眩暈をおこし倒れゆく途中、眩暈の原因はこの部屋の絨毯の模様がどうにも見慣れない形に変わってしまったからだということに気づき、しばらく斜めになったまま考察を続けた。
(2 ....
空に標識がないのに
飛行機がぶつからないのは不思議だ
と母がつぶやく
風のはじまりはどこなんだろうねえ
風はどこで終わるんだろうねえ
お母さん
あなたと同じように
私も
いつの ....
1 2 3 4 5 6 7 8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23 24 25 26 27 28 29 30 31 32 33 34 35 36 37 38 39 40 41 42 43 44 45 46 47 48 49 50 51 52 53 54 55 56 57 58 59 60