深呼吸の意味を教えて下さい
と、遥か空に問うのです。
朝鳥が木々を揺らして
飛び立つ足元から 追いかけてくる
化学物質を溶かし空 空間を
切り裂き 切り裂き飛んで行く
....
コンクリートの丸いもようは、踏んじゃだめよ
って、
しあわせになれないから
って、
きみが言ったとき
さっき
二度ほど踏んでしまったぼくは
ちょっと泣きそうになって、あわてて
声をだし ....
「昨日はふたつの嘘をつきました今日は今日とて数え切れずに」
たくさんの傘が車道をすぎてゆく雨上がりの陽に影を失くして
風あおぎ枯れ川の春祝うのは帰る場所無き ....
六月の
曖昧な空の下
白くたたずむ部屋
横たわる私の身体から
刻一刻と
鼓動がこぼれ落ちる
けだるい指で
クロニクルのページを繰る
季節は私には
いつも晩くやってくる
忘却 ....
知らない方角から
明るさを取り戻してゆくかのように
朝はぼくのもとにやってくるのでした
遠くの響きは
古い透き間から静かに流れ
ぼくを取り囲むのでした
後戻りする物音は見あたらないのでした ....
もう100mを11秒で走れない。
もうバスケットボールのリングに手が届かない。
もう高い声で歌えない。
もう前みたいには笑えない。
だけど失ったものはなにもない。
....
金色のさかなが
水と
ひかりをはじき
つややかな
ひふのしたの
美しい肉体が
私の腕の中で
ゆるかかに波打つ
(つややかなひふのしたの
美しい肉体
私の腕の中の)
細倉鉱山は
日暮れにどこかへ通じていく。
無人の坑道の先にあるのは
ほんとうの地名か
親しい人のまぼろしか。
夜,蔵王の山陰に
たよりない記憶はのみこまれ
吹き越す風に
....
見上げてみたところ、誰もが手を取り合ってる様子。「やあ」とか、
「またね」とか、迎え入れる言葉はまだまだ尽きない。
とあるレストラン。ナプキンの上に置かれたままのナイフとフォークは
スプーンに ....
男は長い間カバンの中に住んでいたが
ある日旅をすることにした
もちろんカバンを忘れなかった
昼間は旅を続け
夜になるとカバンの中で寝た
朝起きると同じ場所にいることもあったし
誰かの手 ....
僕は誰よりもはやく
今朝を発見したかった
遮光された窓の外を
僕の両足だけが駈けてゆく
(街と空は素顔で目覚め
朝陽からは人々の匂いがします)
春は きえた
ゆうだちの匂いがやわらかなあわになり
すこしずつ
あたしのつまさきと
乾きかけたしゃつに へばりついて
いもうとのうたうはなうた
おとなりからひびく いたりあ ....
窓のお外は夕景
意味なき歌が流れる
書くことは一度死ぬこと
それを生きること
またたいた瞬間
カラスが鳴いた
時計がうめいている
時間が泣いている
もう廃人かもしれないと思う僕は
....
はかりしれないほど
スィートな加速度で
ぼくたちは走っていたので
日々の円周ばかりを、何十回とまわり
あしたの記憶だけ
どこかに置いてきてしまった
クラクションが、鳴ってる
....
{引用=高速で回転している花束を見ている朝の洗濯機の前
小窓からしゃぼんの香り飛び出して空に散らばる雲の石鹸
仰ぎ見る雲は雨雲どんよりと黒い何かをぬぐえぬ散歩
....
鏡台のまえに座り
紅をひく
雨音が
静かにへやを満たす
なにをするでもなし窓の外へ目をやる
何億年もの上空で
移ろうおもいが重さをもって降ってくる。
そう何かで読んだことがある
こ ....
日曜の朝のイメージは白
だったのは子ども時代の名残
めざめるとそこかしこに
ラメみたいに散る朝陽
日曜日だけは
がっこうの一時間めのじかんに
テレビアニメをやっていて
だから ....
そこから先には進めないときがある
そのたびに思い出す風景があって
背中の方から温もりを感じながらも
とても不安そうな少年の瞳に
問いかけられた言葉
飲み込めないまま
風にも ....
すべてが終わると
その町にも銃を担いだ人たちがやってきた
彼らはこの国の言葉や
この国の言葉ではない言葉で話すものだから
町の人々はますます無口になった
少年は喧騒と沈黙でごったがえ ....
今日は月夜かと思ったら。
空にあいた穴からボトボト蛍光色の液体が流れてきた。
筏でも作ってあの穴まで漕いで行ってやろう。
穴はいくつも空いていき、様々な蛍光色の液が混ざり合って
風景が ....
なんてことはないんだ。
今朝、母は雪を見ながら(正確には彼女にしか見えていない雪だ)卵焼きを作った。
キッチンに立つ母を見るのは久しぶりだけれどやはり、しっくり、とくる。
料理をするために洋 ....
海岸を歩きたい。
サンダルを引きずって。
花を育てたい。
誰にもないしょで。
野菜ジュースが飲みたい。
もろもろモロヘイヤの。
ペットボトルの中の
気味の悪い色をした液体が
....
種もつ闇の
ちらかる 真昼
夜から じっと
はりめぐらせた
たんたん ひとつぶ あまい 夢
たんとん ひとなみ ふるい 風
かすれた なきごえ
かみきる したあご
....
把みきれない現実に
心が過剰で収拾がつけられない
はみ出してゆく言葉たちが
僕を取り囲む時空に傷をつけてゆく
瞳はいつも怯えたように見開かれてしまう
何故対峙してしまうのだろう
何故融合で ....
落っこちたのに
僕は生きていた
確かめるものはなく
暗い陥没点から深く
上空
光の一点を見つめていた
ねじれない空気
透き通る闇
すすけた壁
恐いのにただぼんやりしている
....
ブランコに51kgぶらさげて光らすための助走をつける
20歳になったら生きる意味がない崩れるための両足で立つ
空っぽになるのに伴う痛みならどこでなおしてもらうんだろう
....
狭い空き地で
除湿機と空気清浄機と
温風機と扇風機と一緒に
かごめかごめをしている
ここは良い空気
ここはうるさい空気
なまぬるい空気
うしろの正面 空気だけ
....
アルマジロな午後。
僕は転がる。
あるまじき僕は正午。
ごろごろとアルマジロと転がり、
ヒジキを食べている。
ヒジキはあるまじき美味しさで、
もぐもぐとアル ....
玉ねぎが自分で自分の皮をむいている
オレハ ドコニイルノダロウ
いくらむいても自分は出てこない
それでも玉ねぎは自分をむき続ける
オレハ イッタイ ドコニイルンダ
その間 ....
水たまり広がる波紋に耳すましきみのリズムでやってくる夏
砂浜に置いてきたもの捨てたものロケット花火と添い寝する夜
8月のリップカールのてっぺんで届きますよにぼくのメロ ....
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