気がつくと きみは
魚になってしまっていたので
ずっと
きみを知っていたのに
はじめて見たような気さえした
望遠鏡をのぞくと いつも
波がよせては砕け
飛び散る
セロハ ....
[水道管は、壊れています。前の駅を発車しました。]
水圧で 蛇口が外れそうになってるじゃないか!
こりゃいかん、いかんぞっ
「垂直に、屋上より、103号室まで
特急 ミズカモ ....
冬の配達人が
夏に来て
僕に言う
「君の手紙には切手があと十円足りません。」
早く切手を買わなくちゃ
朝の配達人が
夜に来て
僕に言う
「君が書いた宛先は薄くて ....
この
でんしゃは
なもなく
なもないばしょを
ていしゃばに
しています
かたたん
たたたん
うえに
あがってゆくほど
でんしゃのなかには
いろんないろが
たくさんつ ....
どこかで何かを間違えた
そういえば
君にかける言葉を忘れてしまった
そういうと
月が頭上にあらわれて
僕に愛想を振りまいた
ふせじ の なかの
ながい ゆめ
とんとん どうにか
すすけてく
ならくのそら は
しらせぬ いろで
ここやら どこやら
さき ゆれる
わたらせ まい よ
と ....
自分を忘れるほど
君する夜
遠いのです
東京タワー
今夜も綺麗に咲いていますか?
僕は都会が怖いので
蟻をプツプツと潰しています
これ以上苦くならない為に
部屋が散らかっているので
....
電車に乗らないものだから
のんびり風景なんて見もしないんですがね
電車に乗らないものだから
景色の移り変わりに目がいかないんですがね
だって時間がかかる上に
だって乗り換えが大変な上 ....
その時のぼくには
どんな光も
光 だった
高層ビルのあちこちでは
松明が焚かれ
人はそれを
空から眺めては
都会などと
よぶ
灯台ならば
向かうべき先を
教えてく ....
あーあぁ…今日も夜更かしくん
あくびを抱えて仕事をこなして
いきます
あーあぁ…今日もお寝坊さん
起きなきゃいけない残りの5分が
戦いです
毎朝、毎晩
毎朝、毎晩
それ ....
こんなに日が昇ってるいるのだから
1時間の誤差はみんな気づかないだろう
ぼくたちも気づかない
重たい表紙を開くと
『夏の項』だった
限りなく続く
かのような 草っぱらの
ずっとずっと向こうから
薫風に押されて
あるいは 乗って
バラ色に染められる
その足跡
....
僕は
アパートメントの窓から
君の住んでいた方に
見惚れている
君が
虹をつむぐ
優しい指の
君が
終わりを告げる
優しい眼の ....
褪せた面影を
湿らせていく
霧の雨
黒い舗道に足跡の
こだまを探しながら
ひび割れた時間に
僕は立つ
どんなに近くで
それとも遠くで
どれだけ君が ....
小さなピンクのつむじ風は梅雨前線をくすぐり
日本海に柔らかな雨を降らせた
灰色のおおきな背中を撫でられて
海はじっと沖を見ている
昼前にここ数年の病歴を書き込んだ診断書を
提出すると ....
帰る場所はないくせに帰るわって私は言った
引き寄せてもらえるのを待っているのに
引き寄せられると急にイヤイヤ
ひとりでいるとふたりでいたい
ふたりでいるとひとりにもどる
ひとりでいると気 ....
もう 遠くに 届いて
行ってしまいました
誰の後を追って
なだめても
すましても
輝けない かぐわしさ
ぽつ ぽつ ぽつり
とおく とおく まもなく
いっ ....
ぞうきんは古いのを
うんと搾れば
ぽろりとイヤリングがこぼれ
枯草の下で温泉につかっている土を
にぎりしめれば
ゆでたまごが硫黄の赤ん坊を抱えてでてきた
しとしと溢れる露を
石に ....
水びたしの指で
コンセントに差しこもうとした
叱られた
しらない世界はいっぱいある
目のまえのオーブンの火照りもしらない
けれど追いかけたりしない
食パンにまかせて
いいとおもう
....
いつまでも
と誓いをたてるにはあまりに幼すぎたのだ
姉は朝食の後片付けをしながら
思い出し笑いをする
覚えてもいない妹は
今年初めて夏服に袖をとおした
どうにもやるせない自転車です。雨水の玉つぶてなサドルの革を「そうでもなく茶色だ」と言って、拭き取ればままよ、と走りました。光、スロウ、アウェイ。そして溶解するするりとした残像を肴に、ウィスキーに言い訳 ....
くっきりとあなた
顔 も良く分かり
なめらかで豊かな曲線 も
温かくやわらかな感触 も
鮮やか
昂り も
息遣い も
鮮明に
ただ 熱心に セックス
透明な セックスをすると
夢精 ....
そらいろの
きれいなびんをひろったので
ていねいにあらって
ひるのあいだ
えんがわにおいてみた
ゆうがたには
とうめいなみずがいっぱいたまって
びんのそらいろが
ゆるゆるととけだし ....
朝起きたら
田中だった
田中くんおはよう
よう田中
あ 田中君だ
田中の言うことなら間違いない
田中さんこれ受け取ってください
下駄箱で告白までされる
本当の事を云 ....
吉岡君
電車の中で思わず声をかけそうになった
よく考えてみれば
こんな時間、こんな場所に
吉岡君がいるはずもないというのに
あの日と同じ顔
学生服のままで
そんな僕はまだ
....
空くはず無いと思っていたのに空いた場所に
キミが寝る前に羽織るパサッりした服
部屋を見ればドコで何したか全部わかるのに
本体が消えちゃった今、そんなもの残されてもなぁ
一つ一つの形跡か ....
今から
向かいます。
と
彼方からの発信を受けて
待ちきれずに
窓枠から
片目をのぞかせる
目の中に飛び込んできたのは
方向音痴の雨粒だけだった
そういえば
....
かぜが
ぼくのなかを
とおりぬけてゆく
おかの
うえ
とつ とつ、と
ほんのり
ともる
あの
あかりの
したへ
だきしめる
きもちが
あまい
やわらかい ....
食卓レモンのかなしみは
食卓ってなんだ?と
となりのワサビに聞かれたり
きいろの表面に こまかい凹凸
みどりのふたが 大きすぎても
レモンになろうと
もがいているようで
かなし ....
昨日 いつも市場で会う少年と水遊びをしたとき
「お兄ちゃん、腕まくりが似合うね」って言われて
戸惑って
戸惑ってしまったまま 朝が来て起き上がる
いつもと同じように寝床に向かい
膝を曲げ 腕 ....
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