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しんしん、と
二月の雪の中に 母は溶けた
ゆうゆう、とした その表情は
茜色のきおくと 夜の闇が混ざった
やさしい 混沌、だった

(冷たい、真っ黒な腕で その先で 飴玉みたいな瞳がゆらゆ ....
その両手に零れている
内臓の薫りは
私の生まれた日に死んでしまった
柔らかいこころだった

水滴が肌を湿らせるように
じんわりと温もりが呼吸する
世界になったんだ、私
色彩が視界を埋め ....
夕暮れが、食らっている
鬼ごっこをする、子供たちの皮膚や、瞳や、臓器を
おいしい、といいながら、食らっている

静かに、厳かに、侵食する その赤い赤い発光体は
未発達なぐちょぐちょを固めてい ....
目が覚める瞬間の耽美、すなわちそれは曖昧な伏線を凝縮した線路図のようなもの
一連の流れは稚児の指先が母親の元に辿り着く前に行われ、
そのことによって絡めとられた誰かの睫毛は
昨日へ帰るように促し ....
私の友達と云う人々は、つきのひとが多い
いくつもの、ものすごいクーデターを隠し持ちながら
淡々と歩武を進めているのだ
夏の終わりに生まれるさびしいさびしい月下美人のように
ひっそりと、しなやか ....
雨の日の電車はさながら異空間である
外からは紫色の魚がプランクトンをつつくように群れ
中には放心状態になったぼやけた人々がずぶ濡れになった四肢を
無言で時折ぶるりと震わしている

そんな静寂 ....
わたしの水の中に
あなたの耳だけ寝そべっている
小さな胎児みたいに
ゆらゆらと漂っている

わたしの声が
最後にあなたを満たしたのはいつだったかしら
瞳を瞑りながらわたしを探すあなたの指 ....
 
密やかな朝の光の中で
大きな呼吸をするランドセル
不釣り合いな体で芽吹く
今、始まりを知る
 
窓越しの大気が
優しい悲鳴を幾重にも重ねては
黒いスーツの背中を押す
今、歩くこと ....
あ。さんのゆるこさんおすすめリスト(8)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
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