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書こうとしたことを忘れてしまって
空をノックした
誰も出てきてはくれなかった
書こうとしたことを忘れてしまって
目を擦った
視界がさらにぼやけて
手からしょっぱい匂いがした
書こ ....
恋という字と
悲という字は
少し似ている
恋しいこころは
悲しいこころ
こころの水溜まりには
散った桜の
花びらが浮かぶ
大根の葉っぱにくっついていた
かたつむりが
ひこうきぐもは
そらをきる
わたしはてらてら
ちじょうをぬう
さいほうばこを
もってこい
よいしょよいしょと
ぬってやる
ひこうきぐも ....
玄関は春です
別れと出会いが
毎日
飽きることなく
繰り返されるから
わたしは
いつでも花を飾ります
薄紅色の花が
一番似合うと思います
浴室は梅雨です
温かい雨が降る ....
結婚してから
一人で食べるご飯が
美味しくないのです
それはただ食べるだけで
一品だけのおかずみたいに
具のないみそ汁みたいに
ジャムもバターもついていない食パンみたいに
パサパ ....
この不景気で
「ありがとう」は
あまり回ってこないから
大事に大事に抱え込んでいた
街中の
誰もがそうやっていたら
いつしか
「ありがとう」は
街から消えてしまった
....
「あんなもんなのか」
と舅は言った
夫の祖母が亡くなって
納骨も終わって
夏が始まろうとしていた
できたばかりのわたしたちの庭には
ちょこちょこと
なんやかやが芽生えだし ....
わたしは空に興味がありますが
そこに住む鳥も
そこを通る飛行機も
特に興味がありません
だけど、あなたが
「あ、飛行機だ」
というと
今の時代
さして珍しくもない
飛行機など ....
雪の中に埋めたのは
秋に散った
桜の葉っぱ
雪の中に埋めたのは
頑なになった
感情の石ころ
雪の中に埋めたのは
大きな白菜
真っ白な大根
雪の中に埋めたのは
恋焦がれる ....