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日暮れの蒼のわたしへと
空も地も金を置きに来て
今日も緑に埋められていて
流れ込む色のわたしで居る
ひとり歩いて すれちがう
醜いものも 悲しいものも
みんなみんなわた ....
ひとりの男の子
一段抜かしから
二段抜かしへ
テッテとのぼる
両脚の振り子をよそに
まんなかあたり
見上げてとまる
柿の実
棚引く空
コマ送りにしてきたのに
Y字に浮かぶ
校 ....
大通りが静かな日でした
西側に傾いた窓から空を見下ろすと
秋でした
寝転んだ姿勢のままで
耳を使って確かめてみても
国道は確かにそこにあって
とても
静かな日でした
赤とんぼが ....
消しゴムは
あの日
机のひきだしから
転げ落ちたまま
ぼくの過去だけを
見つけられずに
教室でふいに
かかりっきり
になってしまう先生
背後で
好き勝手する
魚を食べたり
それを戻したり
さらに並べたり
する
駅や図書館には
変な音を出す人が
いっぱいいて
そ ....
君は気付いていたかな
いつからか
君の髪が
僕の肩に
うまく掛らなくなったんだ
君からは今何が見える?
相変わらずその目は
少し不機嫌な色を帯びて
誰かを困らせたりしてるんだろうか ....
子供らがそらを指さして騒いでる
何事かと思いぼくもそらを見る
この角度でそらを眺めるのは
ずいぶんと久しぶりだ
見慣れたビルの屋上付近は
見慣れない広告でひしめいている
そのすき間ほどのま ....
朽ち果てた夜行列車の寝台に
寝転んで星空を見ている
至るところが錆びていて
天井屋根はぬけたまま
よじ登る君はそのまま戻らない
仲間たちもどらない
まるで夜だ
屋根裏部屋で見 ....
夏の初めの宴会は
私の手の届かないところで始まる
少し水を含んだ粘膜が柔らかく糸を引き始めて
まだ湧いたばかりの入道の行方を
飛ぶ鳥だけが追いかける事が出来る
遅咲きの妹は去年の春に熟れ ....
膝についた土の足影
太陽で溶かした黒印
混じらない遠吠えに
砕かれる夜霧の血脈
降りていく杖の焜炉
縮んだ石からり炒り
潰した靴直して履く
立てるならまだ歩く
雨を聴く背の光から
こぼれ落ちる羽のかたまり
ほどけてはほどけては飛びたつ音
窓をどこかへ連れてゆく
ひとつがほぐれ
ふたつに分かれ
五つの姿に消えてゆく
羽 ....
傘はふらりと咲く
街路樹はそれを見送り
またひとつ あかるくなった
ヨーグルトが発酵する
毛布はその音を包み
またひとつ あかるくなった
玄関のチャイムが鳴る
握手を交わし
....
首すじの羽
雨をのぼり
音に出会う
浅い歩み
どこかが浮いて
傾く歩み
居ること 居ないこと
そのくりかえしに
降りつづける色
白い槍 白 ....
ああ 雲ひとつない
騒がしい季節が終わって
空も
心を一つに決めたんだね
午後からの黄色い日差しが
薬指を切断して
といっても痛くはなかったけれど
そこからこぼれてしまったから
月はなかなか登場できない
こぼれたものを
みんなが拾って来てくれた
といっても ....
ふかえ とおく ふかの とおく
もした つのり のよみ くれて
そのわ とどき みちる ややこ
つき しろ まや かな おおて
すぎ はて ゆく まま あうせ
夕暮れの暖かい雨の後、で
軒下で忘れられている風鈴を
小石で狙い撃ちにする
ちん、ちりん
乾いた音で
ひとつ、暮れてみる
自転車のベルは
ここまでは響かない
綺麗に揃えた靴で出掛け ....
横浜の郵便局のかげ曲がる畑在っても彼は在らず
ただそんなことを思って珈琲を手には同じ銘柄の煙草
靴先を鳴らして白線を踏む仕草にさえ一筋つたう
さいごだと線香の先灯すけどこらえきれずに ....
余計なものはすべて捨てた
部屋にはダンボール箱が一つ
私は体を折りたたんでその中に入り
蓋を閉める
部屋には今、箱だけがある
かや かや かや
しなの ほの なき
かな かな かな
つれた つもり の そそらの はなお
ひせの くら ふき
さや さや さや
透明なグラス一杯に矛盾を注いで金魚を飼った
目に映るその赤は余情的
何かが終わった
今日、雪が降らなかった土地に
雨が降る
今日、晴れなかった土地が
曇り
曇らなかった土地が
晴れる
起こらなかったことも起きたことであり
起きたことも起こらなかったことのなかで
....
琥珀色の部屋
細い指先が伸びれば、
全てが開放されて
あたりに充満する
あの日から
いくつもの罪を
学問と呼ぶことで
耐え忍ぶ人たちは
かろうじて名を残した
パンドーラ
あ ....
緑の角
緑の棘
まわりつづける輪のような
雨の花
光の花
髪を 胸を 流れ落ちる
痛みを知らない白の蝶と蛾
痛みの青をすぎてゆく
傷の間を流れる花が
見えない羽に ....
きみがしあわせかなんて
ぼくはわかんない
なんかいわらっても
それはそれかも
しれないし
きみがしあわせかなんて
きみにもわかんない
ゆめのいいとこで
めがさめたり ....
ほら
こうして
鈴をつるしたフラスコの
空気をだんだん抜いていく
鈴の音はやがて
震えるだけの記号となって
あのフラスコにわたしは
どうしても
ティンカー・ベルを入れ ....
踏みしめるたび
声の断片が舞い上がる
まだ若い木々の丘
蘭が緑を喰む丘で
命は光を喰んでいる
息は涙を喰んでいる
光はゆっくりと坂を下り
上りゆく雲とすれちがう
丘 ....
旅から帰った
旅人が地図を捨てて
旅を始めた
絵を描き終えた
絵描きが筆を捨てて
絵を書き始めた
街に月が光り
詩に声が響く
そろそろ失礼と
夏は暮れ ....
走り出せばついてくる
どこか高みにいるものが
消えかけた標を撫でている
棄てられた路を撫でている
成層圏が
一匹の猫の動きを真似ている
泣き出しそうな笑顔を浮かべ
....
崩れ落ちた家のなかに
階段だけが残っていて
空にささやく
みちびきよ
みちびきよ
夜の路の先の先に
地を照らせない街灯があり
空にささやく
みちびきよ
みちび ....
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