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静かな森に
命の眠っていく音が響いて
今日、一日の心音の数を
手のひら一杯に数えて
それを大きく
飲み込むように

明日へ繰り越すための挨拶をすると
その分だけ誰かが、ほどけていく
 ....
雨がまた積もっていく
雨音がまた積もっていく
その分だけここは、静かになれる
抱き合うだけの幅を残して

昔の夢のかたちを探り合う
窓を伝う雨粒の落ちる、速さ
遠退いた距離の分だけ、今の ....
足音が
大勢の中に還っていく時
遠くで自転車は雨音の中に忘れられている

少年が
少年のままで頭を下げながら生きていく
そんな時々、あれは私たちが作り上げた
屋根や壁や、縁の無い窓
遥 ....
強く願ったはずのことを
もう、忘れてしまっている
一年前の自分たちを窓から次々に捨てると
とても身軽になれることを知った
ポケットを裏返しても、もう
何も出てこない
ささくれがどこかに引っ ....
予鈴のずるさを聞く前に
抜け出してしまいたかった
靴に滑り込みながら
私は少しずつずれていく
それでも、毎日に所属している自分の姿に
ほっと、息が漏れてしまうのは
私のずるさ、だろうか
 ....
そこで溶ける人々の道に
石化する人を送り出す空に
いつの間にか帰ってきた人たちの
懐かしい声がただ優しい
私たちはとても弱くなってしまった

工事現場の迂回する
道の分だけ余計に
呼吸 ....
それは、いつだろう
遠くないかもしれない、毎日、かもしれない



水平線、その丸みが空に一番近いところ
大型船が突き抜けていくのを
海辺で、並んで、手を振って
ただ眺めている人たちの ....
ひらいた
真っ青な夏の花、の小さな朝のこと
誰も忘れていたそれは、僕の机にあったらしくて
迷わずに僕に返還される
空に混ざれば見えなくなりそうな
僕の目は青に染まる

誰もいない部屋のこ ....
その角を曲がると
いつだって彼女は立っている
そこに、体に付いたしずくを払って
その度に小さくなっていくようだ
しずくが地面に消える分だけ
ビルはその背丈を伸ばして
猫たちの逃げ込む隙間を ....
もう、ここも夕暮れて
短い夢のあと
ひとつ、ふたつ、みっつと
呼吸を数えていく
世界はまっすぐで、明日へ向けて良好で
目覚めの後の、定まらない視線で
遠く見えない、海を見ている


 ....
帰り道に迷うのは
せめて僕のほうだったらいい
通りすがりで、そっと交わす言葉からは
いつだって真ん中のところが零れ落ちていく


駅の階段を
夏に降りていく
君は一つの呼吸で
手を振 ....
いくら温めても孵らない夕暮れに
灯りはじめた明りが視線にぶら下がっている
帰り道を間違えた私は
街角を覆う木の下で傾くようにして
蝉は鳴かない
明日への蓄えを手のひらに溜めるようにして
燃 ....
ところで
夕暮れはもう間近に迫り
みんな精一杯に迷っているので
その足元を照らす明かりも
その足で踏みしめているものも
記憶は近さも見せないくらいに
空で燻るものだから
こうやって今日も ....
十二番目で
いつも言葉を間違えてしまう君は
その次の交差点では
左折ばかりを繰り返している
東京
狭い夕暮れで
夢から覚めたばかりの抜け落ちた体を
ついでのような角度でドアの隙間に潜り込 ....
ここにあるものを
遠いことのように
海辺にはひとりで
いつも見る夢に
ひれ伏すようにして
倒れる
砂の積もっていく音
どこかから落とされる音

仰向けに空
口を開ければ世界が
飛 ....
飛行機の降下
街外れの丘の上で
シャボン玉を生産する子供の頭上
地面すれすれの疾走
弾けていく無数の音は
つかみ損ねるよりも速く
私たちの隙間に落下していく


間に合わないというこ ....
また、ここに夏がやってくる
僕の広げた手のひらの内側
少しうつむきがちな背中にも
広げた葉っぱのトンネル
その先の坂道は空へ消えていく
青い青い夏、遠い遠い世界
少しずつこの街からは何かが ....
六月、朝は煙の中から浮上していく
昨日積み残してきたものは
もう何処にもないかもしれないと
溜まってしまった風の中に体を傾けて
もう一度目を閉じていく
泳げない朝に見る夢は
煙った街から突 ....
遠くはならない
それ以上はどこへも
窓辺に並んだ椅子は
白く塗り変えられていた
捕まえ損ねた手は誰のものか
白く塗られる前も
その前も
そこに在るだけで
忘れていくことばかりで
遠く ....
玄関のドアを引く
駆け込むようにして進入してくる朝は
少しだけ暗い白
今日も天辺まで積み上がった世界で
濡れたままの人たちが歩いていく

傘を忘れたわけでもなく
濡れることに気付かないわ ....
昨日までは夢だと言う
あなたは夏に向けて静かに融解していく
水をたっぷりと含んだ世界で
それはとても自然なことのように


梅雨の中にいる
紫陽花が咲いた


午後にゆっくりと傾斜 ....
残していったものが
背中でまだ疼いている
一日の始まり
蝶のような揺らめきで飛び立っていったのは
形にならない荷物を抱えた人
遠くへと呼びかけた
朝の挨拶をすり抜けて


ここで何か ....
何度目かの電話の奥で
口笛が聞こえた気がする
鼻歌だったのかもしれないけれど
もう遠くて追いつけない

近づいてくる海岸線からは、遠くは見えない
近くなら、というとそうでもない
指先はど ....
気が付けば、漂流している目覚め
手を伸ばすその先
十センチメートルで
落ちるばかりになっていて
とりあえずここに、漂っている


どうやら
世界の端は滝になっているらしい
落ちてしま ....
やがて、それはゆっくりと始まる

誰も気付かない視点の高さ
から、夜は上昇していく
もう僕らは沈み込んでいる歩幅
もがくよりも深く落ち着いたリズム
呼吸はあちこちで燻っていて
平面に広げ ....
帰ろう
と何時でも君は言うので
何処へ、とは聞かない
ヘッドライトが線になるまで
ただ通り過ぎるように

覗くことをしない
触れるなら静かに
斜めになった窓から
射し込んでくる光が
 ....
溶けるまで
眠れそうな遠くの日々が
溶けていくまで
深々と、動かない部屋で
指を折る
指を折る


ありきたりな言葉では
追いつけなくなりそうで
街灯がつくまでの時間を
静かに歩 ....
空の割れた日は
なんでもない午後の水面が
微風にそっとゆらいだくらいの
静かな頃で
お気に入りの帽子を
どこかに置き忘れてしまった
隙間から、パリンと
音を聞いたのは私だけかもしれない
 ....
さらり、さらり
さら
さら
さら

もう少しで越えられそうな
海辺の砂の城が
指を折る度に
遠ざかっていく

懐かしい人の声で
ここから離れることのない
耳の奥で鳴り続ける乾い ....
現れては、消える
どこか遠い宇宙で
星がはじけるように、生まれるように
現れては、消える
深い
深いとだけ言える心の水面の縁に腰掛けて
切るようにしてつま先を遠くへと投げ込めば
それは確 ....
和泉 輪さんの霜天さんおすすめリスト(83)
タイトル 投稿者 カテゴリ Point 日付
静かな森に- 霜天自由詩707-2-5
落ちる速さ- 霜天自由詩6+07-1-20
時々- 霜天自由詩1207-1-15
式典- 霜天自由詩1107-1-4
半日の休憩- 霜天自由詩506-3-1
往復書簡- 霜天自由詩706-2-28
去り行く人は、海辺の- 霜天自由詩1105-8-23
ひらいた- 霜天自由詩1005-8-17
しずく- 霜天自由詩805-8-13
なにもない、海- 霜天自由詩1005-8-10
浸透圧- 霜天自由詩1105-8-2
その日から七月は- 霜天自由詩1805-7-26
水底の、走る船の- 霜天自由詩1205-7-19
トーキョータワー- 霜天自由詩4305-7-12
ターン- 霜天自由詩1105-7-10
疾走- 霜天自由詩805-7-5
ただいま、に向けて- 霜天自由詩1105-7-1
泳げない朝に- 霜天自由詩1105-6-30
そこに佇む- 霜天自由詩505-6-23
雨が積もると- 霜天自由詩1205-6-20
そこから溶けていくあなたの- 霜天自由詩1305-6-12
着地点- 霜天自由詩1105-6-7
- 霜天自由詩905-5-31
漂流- 霜天自由詩1005-5-29
遠浅の日々- 霜天自由詩1505-5-25
帰宅- 霜天自由詩705-5-21
モノクロームの窓辺から- 霜天自由詩805-5-17
空の割れた日- 霜天自由詩1405-5-17
少しだけ寂しい音に- 霜天自由詩705-5-15
日々のゆらぎ- 霜天自由詩1105-5-10

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