すべてのおすすめ
重機工場以外の
色が消え去って
着陸に失敗した
エンジン狂いの飛行機
片翼なくし
突端越えて
海を燃やす。
右に傾いた
男の頭 ....
手前どもの命日が近づいて参りましたので
赤の寺子文様
直線紬を虫干
お出かけする際は
この着物に 白髪のボブカットかつらをつけまして
すすきと下駄で闊歩したもので御座います
家に帰ると ....
あまりの暑さにクーラーをつける
よほど暑かったのだろう
いろいろな動物たちが家に集まりはじめ
またたくまにいっぱいになった
長い部位をもっている動物はそれをたたんだ
肉食動物は捕 ....
ごうごうと響かせる飛行機と
大小不揃いの草むらの間
用途不明の建物が
誰かに忘れられてそこに居た
穴だらけの屋根はもう屋根じゃなく
その上でロケットみたいな煙突が出っ張っていて
いつか ....
光したたる場所に立ち
足元にまとわりつく魚を見ている
緑が照らす灰の息
耳のすぐそばにいる雨雲
肩に沿って
光はこぼれ
水に落ちて
声に変わる
たどりつけ
たどりつく ....
とじかけた そら
あなた は いく
どこか へ ながれ て
だれ も いなく なり
どこ も
いつ も
さかせ て いつか
あなた は
ゆく
悔恨される音楽を聴いて乱読しよう雨
一粒・一粒残酷する高低の有無を生む
カラギナンの分量違いによる悲劇の午後
ミルクが凍る白樺の貫通する曇天
大体 曖昧な理由である毎日の労働
曇り空の孕む卵 ....
初恋は 待ち合わせした 陸橋で。
緑の風が 少女と髪を梳く
甘い香りを連れて来たのだと
あなたが 言った。
いつもあった思い出の情景が鼻をくすぐる
青と緑の溶け合った 海の ....
誰もいない街を囲み
小さな白い花が咲き
低く宙に浮かんでいる
花粉と麟粉が
片目の奥に混じりあい
列を去ったものたちを見せる
薄く薄く固まった血が
蒼の ....
いったいなにを鳴いているのだろう
夜の底が蛙の声で沸き立っている
半球はいつも夜のこの星で
絶え間なく鳴き続ける声はいつか
太陽系の外側の宇宙にむけて溢れ出すのだろう
何億年のあいだ ....
結合した雪の結晶体が
春に降ることがないように
満ちることの重大さが
人生の背後に潜むのだ
荒れ狂う恋の嵐とは
また別のところでの
生殖
ことばはなく 有無はなく
未天地での選 ....
新しい長靴に浮かれて
水溜りを探し
右足をそっと入れると
次の瞬間 目が回り
どこかに迷い込んでしまった
「噴水の広場」
あやまって
噴水の真下に立ってしまった
と 思 ....
湯気が泳ぐ
午後のバスタブ
すだれのゆらぎ
グラスにひろがる波紋
階段に降りる光のプリズム
ハンガーの行列
テーブルは水平に沈黙
椅子は離れ諸島
からっぽの ....
風のなか
ひらかれる本
ひらかれつづけ
とけてゆく文字
とけてゆく頁
「死にかけた鳥を
藪の根元に置いた
雨を避けられるよう
鴉を避けられるよう
湿った土の上に置い ....
うまれおちたとたんに
呼吸のしかたを忘れてしまった
たったいま、吸い込んだものは
なんだったろう
流れてやまない日々は いつも
右手を砂へ
左手を空へと のばして
手をつなぎたが ....
からころと音のする
そんな欠片が散らばっていて
拾い上げると色とりどり
思い思いに光を反射している
広い砂浜
両手を広げても足りない
誰もいない静けさは
ただ波音を響かせる
....
飛行場だった廃墟に忍び込むと
僕は思わず
飛行機になってしまう
両手を広げ
雑草の生い茂った滑走路を
全力疾走
夜風は冷たくて気持ちがいいな
思わず顔が微笑んでしまう
いつの間にか「キ ....
高みへ 高みへ
翼をひろげる鳥の群れに
空はふちどられたままでいる
音が音をひそめながら
緑に曇る午後を見ている
離れているのに離れずに
ともに震えを待つ姿
見 ....
もう1度行きたい あの海に
もう1度見たい あの青い青い空を
もう1度逢いたい 優しかった君に
もう1度戻りたい 素直な僕に
つぶやくように
こみあげて
ながれて は
いかない
さからいなさい と
て をにぎりしめる
つけっぱなし の
けいこうとう
うすい かげり
たたまれ ....
水面をゆらしながら
初夏のかぜが吹きすぎる
こいびとの手をひいて
堤防をころげた
草についた水滴はあまくひかる
さかなが跳ねてぱちゃんと音をたてた
はねまわる ころがる
だきしめる ....
彼女と喧嘩して
いい加減にしろ
と怒鳴るつもりが
いい加減にすれ
と言ってしまった
こらえたがやっぱだめで
吹き出してしまった僕の
少し後に吹き出した君
ふたりで涙を流して ....
いじめっ子と
いじめられっ子のあいだに入り
次の日結局かれらは生涯のともだちになって
幼稚園のころ
オレは磁石であそぶのにあきてはじっこで、
下敷きに光を反射させ、
なるほどずっとわか ....
風船
つばめの急降下にも
動ずることなく
ただよう風に押されて
やがて 点
水面に映る丸い残像
滝
世の中のすべての音を盗みながら
アピールするものは
引力 ....
街外れの小さな本屋で
彼女と偶然再会した
本屋でよかった。
きりりとした空間では
おしゃべりにならずに
すむ
彼女が手にしている
水色の背表紙の本が何であるか
なんてことは
....
曲がり角に沿う壁を
鳥の影がすぎてゆく
風のない午後
一羽の午後
少ない雨が来ては去り
灰は薄く街にひろがる
置き去りの光
置き去りの火
黄緑 ....
海沿いに走る防砂林を抜けると
右手に岬が見える
あの岬へ行こう
いつか交わした約束みたいなものだった
続いてる道は防砂林の中を
くねくねと曲がって上って下りて
右手に見えない海 ....
名前は?
いちおうクサノダイゴという記号はある。
どこから来た?
あの空のむこう。
歳は?
知らない。
仕事は?
ささくれ屋本舗
具体的には?
心 ....
太陽の赤よりも
俺とお前の流した血のほうが
赤いぜ
光り輝くこともなく
ただ痛みだけを残した
体の半分の血を
俺たちは流した
それでも
愛だけは手に入れ ....
葉はどれも光っていた
雨粒は露になって残り
雲の向こうの空のずっと高い向こうの
姿の見えない太陽の光を集めていた
雨あがりの空気は澄んでいる
埃だとかスモッグだとか
....
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