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遠いお話を
忘れないために
僕等は
指を折りながら
花の咲くのを待っている
寝返りの度に
蒸発してしまう夢を
朝のそばで
取り戻そうとしている
見つからないままでいる ....
俺は夜の空を漂流する
ただ風にのっているだけだ
怖くはないぜ
ただ悲しくなるだけだ
寂しくはないぜ
ただ色んなことを思い出すだけだ
夜の空は
俺の知っている夜 ....
a)
足りない
右の手
に
朝
本は昨日から
ゆっくりと
閉じられた
まま
b)
たくさんの階段や
もっとたくさんの
階段
のぼる足音や
もっとのぼ ....
からみあう木の根をくぐり
風のない海に出る
陸のほうへ 陸のほうへ
風は高く飛んでゆく
砂には浪が残される
浪のにおい 浪の色
浪のかたちが残される
雲は深く降りて ....
あのひとの黒髪をみたことがない
彼女は髪の長いひと
はじめて手紙をくれたひと
姪っ子にリンゴ飴を買ってきてねと頼まれて
祭りの帰りに
「ちょっと待っててください」
と闇の中へと消えたひ ....
曲がり角を曲がると
君がいた
僕は驚いて振り返り
逃げ出そうとするが手遅れ
椅子に座った君がいる
こんな道のど真ん中に
僕は舌打ちをし空を見上げると
電線にぶら下がってる君
わき道に目 ....
手のなかの金魚がたどる路
響きのための階段を
宵宮の光が駆け上がる
かわいた飲みもの 食べものの跡
においはずっとたたずんでいる
街にやって来た映画の群れ
ひとつの方を ....
かさむ 夜のしおり
長く 読み続けた 香りに
ぽとり と落ちた
蜃気楼
恵みの火
溶けない爪のくず
明日というものが
あるらしい
たたむ手を
寄り添わせないよ ....
その中に落とされたとき
から
ぼくは羽につつまれていた
するするとした感触のそれの
色を知ることもなく
カタチを知ることもなく
いつも
その中でまるくなって
ねむった
何万回 ....
あなたの
黄金の背の裏側の
やわらかな音が風をわたる
浮き沈み
絡み合い
陽のにおいに波打つ
雨ではない雨
雨のままの雨
けして閉ざされない湿り気として
地平線と ....
反芻する夕食
週末の台所にジャガイモとニンジンが転がっている
牛肉は 今日には使ってしまわなければ
幻の牛の角に突かれる勢いだ
新作の辛口カレールーは
未だ使用された形跡 ....
夕日は傾く時間を知っている
その頃になれば
世界がゆっくりと閉じていくことも知っている
背中で、背中ともたれあう
隙間の部屋
四角いスイッチで昼と夜とを切り替えて
のろのろと、立ち上がる
....
どっちを向いても砂浜だらけの砂
部屋が思い出砂漠しているのでゴースト バイ ゴースト バイ ゴースト
あなたが沼へ帰るというので
わたしは途方にくれる
あの森はあなたの兄を食べ
わたしの妹を ....
しまったな、と
まぶたがつぶやいたら乳白色から
とうめいへと移行するビルを
つきやぶって
完全な朝が歩いてきてわたしのからだに
おおいかぶさった
さああ
窓のふくらみの目がひらき
風をゆっくりと見わたしてゆく
どこからか来る黄金の音
越えてきた土の混じる音
目には青空と野が映り
どちらも南にかしいでいる
煙る碧と子らの手 ....
木の葉を一枚 硝子の器に浮かべてみました
空 をみつけました
心は 揺れておりました
ひからびている
あれは君を欲しがった
私だ
待ち伏せられた午後の中で
予感を創り
砂まみれの
希望を嗅いでいる
満ち足りている
あれは風に攫われた
私 ....
野はかがやき まるくなり
つつむかたちと
つつまれるかたち
同心円のやわらかさ
金色に金色に目をふせる
まるいかたち
ねむるかたち
金色に金色に放たれる
これは古 ....
そして廃墟のような季節がぼくを微熱を帯びたむらさきにするのです
どこまでもすすきがひろがる枯れ野のなかで
あなたが動こうとしないので
ぼくは仕方なくすべての扉に鍵をかける
すべての窓に杭を ....
やわらかな魂のいる
逆さの方向から
血まみれの魂が来て
もういいんだ と言った
わたしは着ていた服を脱いで
一枚一枚かけていった
わたしは朝で
わたしは海 ....
夜の真ん中の
縁をなぞりながら
影だけの月の
少しだけ零れる明かりを
晴れることの出来ない日
ここでも
傘だけは、ある
夜に、越えられずに
息の詰まる深みを
ゆっくりと
息を入 ....
なぜ目覚めたのか
ずっと考えていた
ふたつの色の
雨のはじまりだった
ふいに起こる物音が
ふいの朝を説いていた
音の主をたしかめる前に
それらは高く飛び去っていた
....
祖父のあとをついていく。
海を見渡す墓地で、親せきたちが鎌で草を刈る。わたしも草を刈る。
母が野の百合を、見つけ出した墓に供えた。
波は白い。
玄関の扉を開く真白いてのひら
その直前に十月の金木犀の香りに包まれて
ふと立ち止まるあなた
かなしみの胎動を青空に聴くことができる巨大なこすもすが咲いている森で
倒れゆく木々
その生前のざわ ....
学生時代に旅した外国で
たくさん手紙を書いた
両親や兄弟や友人へ
砂漠に近い
ひどく乾燥した扇状地の街
ボロっちいホテルの一室で
二度とはき出せないような
甘い寂しさの詰まった手紙を ....
くだ のばし
風 渡る
皮膚
二枚に 別れた
黒 と 黄色
とじれば
花
の 上
駅前で
ギターで歌い続ける少年の
声を誰も覚えていない
ギターの音色が日付を越える頃
繰り返している月のかたちを
誰も答えられない
すっかり冷えきった自動車の
エンジンをそっとかける
....
公園のベンチで
よだれをたらしているひとが
木星に廃屋を建てていた
一度切りの湾曲をとうに終え
錆び果てたガードレールは死んだように安堵している
その影に紛れた舗道の一部は黒々と陥没し消滅している
その上空を傷付ける有刺鉄線、私ではな ....
そのうち 夜は突然やって来るのだろう
こんな日々に
白夜が恋しい、、白夜が恋しい、、
と 唱えてみても
彼方の国の出来事で
暗闇に透明な涙も光りはしない
今 高い声で鳥が鳴いた
....
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