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街の隙間を流れる音が
曇り空の信号をつややかにする
22時すぎを唱う点滅
夜の湿り気にまわりひろがり
車輪の音を手招いている
祭の粒が匂っては消える
草 灯 ....
真夏の渓谷の薄暗い木陰で
川音を聞きながら
ひっそり息をしていた
ひとりといっぴき
濡れた岩のうえ
つんとまっすぐに伸びた胴
行儀よく揃えて閉じた翅
その黒曜石の輝き
日の当た ....
蜜柑色した西空を探るように
行ったりきたりするのは
連れ添いを求めているから。
でなければ飢えているから。
しかしその飛翔の優雅なこと!
ヘリコプターのホバリングも
グライダーの滑空も ....
おーい
と呼ぶ声に
波線を見ています
空の上
海の下
その間の曖昧な辺りで
いつだったか春の衣装だった頃
それでは暑すぎると文句を言った頃
山沿いの海沿いのラジオも響かない場所 ....
熱帯夜に 頭寒足熱を無視して眠った 腕枕
あなたとわたし 悪夢を見たので 明日はバイバイ。
じりじりと 転げ回った 空色のシーツ
摺りきれて 明日のゴミ出しで さようなら。
代用品の ....
夜半から降り出した雨は
追いつけなかった枕を飲み込み
昨日までの湿度は
情に包まれた朝に変わる
取り付いた島には
虫たちの生活は無く
子供たちが響きあいなが ....
一滴の水の中へと
沈殿してゆくひと夏の青空が
無呼吸で深遠へと降りてゆくので
圧迫された半円の夏空その低空ばかり
飛び回る鴉たち
重たく旋回しては羽を乱散させ
またしても映り込む水の中
....
べつにタバコを、
続けて何本吸っても
何かが変わるわけじゃないんだ
咳すらも今日はない、残念ながら。
めずらしく今日は友人が来ない、
それにかこつけて
だらけてはみたけれど、
なんだ ....
街外れで
唸りだす自動販売機の理由を
僕は知らない
全てに理由があると仮定して
その唸りの意味を
誰も知らない
振り向いてしまう癖は
いつかの草笛のせいで
僅かな違いを聞き分けるこ ....
羊歯が葉を裏返し
白い歯を見せて笑う
日陰の庭で
ちいさな神様が
泣いている
山じゅうの
虹を融かしこみ
熱い涙をながし
泣いている
(ちいさな神様の
まっかな
まっ ....
真夜中の海を着て
子はひとり
見えない冬を聴いている
袖を握る手をひらき
ゆるりと腕を南へひらく
いつからか子は歌えなくなっていて
窓を流れる午後のむこうを
雨と雨の ....
──ちょうど躓いた小石の先に連なった足が
氷柱を踏んで動かされていくようだった──
映像はいつもコマ割の上で音をあてていく
それは今日の病室でも変わらないまま
カーテンの外 ....
狐のかみそりが赤く咲いていた
藪のある舗装道路だった
ぼくが轢いたのは蛇だった
チュ−ブのようないきものだった
前輪でごつん 後輪でごつん
ぼ ....
結婚しよう
感情なんてどうでもいい
ハイ結婚した
子が生まれた
配偶者が死んだ
土地が手に入った
結婚させよう
子供たちを結婚させよう
本人の意思はどうでもいい
ハイ結婚した
....
境内の裏に入ると
空間を埋め尽くす
しなやかな竹林の足元を縫うように
白い石畳の道を辿る
少女は
ひしめきあう竹の頂を仰ぎ
さやぐ笹の葉の隙間の青をみつめ
木漏れ日を浴びる{ルビ女 ....
夏雲のひろがる街よ燃えあがる道路に赤き百日紅の散る
黙々と入道雲の空にたちのうぜんかずらの橙さえる
ここからは道の跡絶えて砂の海絶望までの足跡長し
....
乗り込んだ8番線ホームは
おかえりと張り紙がしてあった
朝顔の色を真似た夕暮れ
僕は余白に
ただいまと付け足す
忘れ物がいつまでも見つからない
開け忘れたカーテンのそば
自分色で横た ....
なに
書いてるのかな
風がみどりの木をゆらしているのは
巨人がおどっているから
と
彼女が申すので
書いてみた
僕が思うに、目に見えないってのは
風もそうだけど
見え ....
短い話の夢でした
ひらがなばかりの
セリフであって
半袖ばかりの
人と逢って
ところどころは
知る場所なのに
どこか遠くへ
運ばれて
目覚めたところの
この家の ....
心細さにうつぶせて
哀しく疎ましく
しょぼんと僕の影が
そこいらで
くたりと寝そべっている
今宵
僕に声は無く
ただひたすらに
ただ
ひたすらを
求めて黙り
....
雨降りの校庭には
死んだ生徒の霊が出るから
連れて行かれないように
傘は深く差して
声を出してはいけない
理科室の前の廊下は
いつにも増して薄暗く
硝子棚の奥で
骨になった ....
人生に失敗したので爆弾を作った
場所はカフェがいいな
とりあえず街に出かけた
中世の面影を残す門をくぐったとき、
刻まれた紋章が俺の勲章に見えた
足の裏に石畳がズンズン響く
目の前 ....
「水、持ってこいよ。」
シンちゃんが言ったから
公園の入り口にある水飲み場まで
バケツを片手にダッシュ
焼けた砂まみれの腕に
午後の陽射しは痛い
水飲み場につくと
犬を連れたおじ ....
どうして俺を選ばなかった
どうして俺じゃだめだった
今更聞いても遅いな
これ以上みじめになるのはよそうぜ
お前はお前の道を行き
俺は取り残される
表向き緩やかで
....
緑の海がたなびいて
少しのカーブで横切るレールを
3両編成の電車がすり抜けていく
乗り合わせた肩は語らないまま
ひとつひとつ 暮れていく
天気予報は雨
降水確率は不明
飾らない傘の行 ....
絶対に望まないのが絶望なら
絶対に望むのも絶望だってば
ループしたスカイウォーカー
ループしたスカイウォーカー
端からいらない順番に並べてったらいつの間 ....
ひび割れた
石の階段で話そう
どうせなら
星も呼ぼう
僕らも宙に浮いてる
お昼ごはんを
考えるより
大事なことがあるんなら
きっともう
眠ったりしない
....
なつのしょうめんで
あのこはワルツをおどってる
いちにさん
にいにさん
さんにさん
ほそいうでをいっぱいにひろげて
あのこはかぜをおこしてる
いちに ....
鳥と世界が
左目を語ってやまない
他のものが皆
目を閉じている夜も
砂浜では
さまざまな色をした風が
透明な凧をあげている
砂の羽が
ひらいては散る
雲が波に近づ ....
あの空の話
もう遠くなった映像の中では
坂道の向こうの太陽と
薄くなるグレーの空とが
混在していて
蝉時雨
引いては寄せて
寂しさを反芻している
知らない知らな ....
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