すべてのおすすめ
女は家庭に入るのが幸せ
と語るハナコさんは
コブラを殺せる
名前に因んでか、草花が大好き
洗濯が終わったら
いつくしんで育てた
色とりどりの花たちに
水をやるのが日課
庭を掃いたら ....
夕暮れ電線 錆びた門扉
忍び寄る夜の気配
誰かが呼んでも 気付かない
額に角 真っ赤な舌
嘘吐きは泥棒の始まり
あたしが泣いても 気付かない
ゆっくりと ....
逃れゆくものたちから
遠くはなれ
真夏し続ける真昼
貝殻たちは閉じ続け
空は円環面だけを広げ続け退行の曇天
誰かが呼べば
誰かが応える
のそとがわで
隠れている子を見つけ出せない
鬼 ....
お前にね
居留守を使われたことはショックだったぜ
俺がお前にあげた物も
そろいでかったストラップも
一緒にとった写真も
処分したのか
お前の心の中の俺は
そう ....
窓から世界が見えすぎるので
何度も何度も触れつづけては
指とガラスをたしかめていた
消えた素顔をたしかめていた
描かれた線に雨は重なり
音だけを残して見えなくなった
....
僕の夢は
夢を見なくなる
ことだったりしたから
僕は夢を
宇宙に放り投げたり
地面深くに埋めたりした
ある日外へ出てみると
地面には夢が
もさもさ生えてきてたり
空 ....
伸ばした腕の先の
手のひらの先の
中指の先っちょが
触れるか触れないか、
のところまで
夏が。
列車を待つ顔たち
照らす陽射しの角度を
知ってか知らずか
右へ傾く
....
きいちごを
てのひらのまんなかに
そのとき
ぼくは
きいちごのまんなかに
ぼくは
ちのかたまりになって
なみだをなくす
かわきをなくす
ぼくは
きいちご ....
藪には花が咲いた
鳥の姿はなかった
銀を捜す風の目に
鳥は映らなかった
太陽は傾いだまま
午後の熱を失わず
光の刺さる音だけが
森のなかに響いていた
鳥は ....
波間に夢を見る
ふと揺られていた
気がつくと電車などに乗ってしまっていて
しかも田舎の単線の三両編制で
左手には木々が広がり
進行方向右の窓のそばで
ぼんやりと外を見てると
すぐ ....
あのね もう
いけないと おもったの
だって どろだらけで
おひざ も いたいの
こんな きたなくなったら
あそんでくれないと おもったの
でもね どうしたのって
....
雲 のチビ は
ちらり すまして
ふんわり おなか
に まるまって
かくれんぼ なの
だれにも 言わないで
抱きしめたら
ここ へ そら
鍵盤の流れ
書斎の壁
狂った額に優しく
私は受話器を落とす
「悲しみを愛せよ・・・」
無数の音符に巻かれて
加速する刃
氷を突き、宙を舞った
私は目覚める
衝撃は ....
帰る場所がないと その旅人は云う
だから旅を続けているのだと
世の果てには虹の生まれる所が在り
太陽の還る場所が在るという
そこを目指して歩き続ける限り
寂しさなど感じなくて済むという
....
あしたがこないと
カラスが言った
あしたはたべたと
夕日が言った
あしたはにげたと
闇は言った
あしたは遠い空の上
きょうは輝く月の下
あしたはじっときょうをま ....
俺の夜空には
今日も星は見えない
鈍く光る三日月が死神の鎌みだいだぜ
俺は
いつ死んでもかまわないと思ってきた
体も悪いし運もないんだから
仕方ないだろう
死 ....
夜の汀に
静かに打ち寄せる旋律が
月を濡らし
とびきり無垢なくらやみ
豊かな潮騒に包まれる
すべての静かなあなたたち
今はただ
波間に映りこんだ月のように
やさしく揺れて
なにも持た ....
ゆめの風
荒地のビルの砂けむり
起きるから寝られる
寝るとめざめる
その当たり前の営みの
出来ないこと
吹き荒れるはげしく
おそろしい
あたりまえの日々
....
どこから夢で
どこまで夢だったのか
わからない
という 朝
さざ波がたっていたので
ただ
風をさがした
前に進むための
1オンス
やがて
なにもか ....
あいまい【曖昧】(形動)
ディティールはベールに隠す、たしなみ
真実は自分でもわかっていないことが美徳
いま【今】(名)
常に最優先させる感情の所在
....
冬の配達人が
夏に来て
僕に言う
「君の手紙には切手があと十円足りません。」
早く切手を買わなくちゃ
朝の配達人が
夜に来て
僕に言う
「君が書いた宛先は薄くて ....
お前はなぜそちらにいってしまう
なぜ嬉しそうにそちらにいってしまう
私の手をなんて簡単に離してしまったんだ
あとではぐれたてもお前なぞ知らないぞ
お前はなぜそちらにいってしまう
なぜ嬉し ....
小さな手
小さな目
欠けた空を映す鏡に
歌のかけらを置いてゆく
重なりつづけ
重なりつづけ
どこにもつながることのない
造られた花のような子供たち
たじろぐ腕をとり
....
ふせじ の なかの
ながい ゆめ
とんとん どうにか
すすけてく
ならくのそら は
しらせぬ いろで
ここやら どこやら
さき ゆれる
わたらせ まい よ
と ....
軋む煌き
行き先を失くした
かりそめの駅の灯り
遠く流れ着く唄は
「人見知りのブルース」
ポツリ雨
繰り返す情熱の合間に降る
孤独より苦い必然の雨
雨は溢れ ....
あなたがするり
と躱す度に
僕の身体は
曲がっていきます
人を遠ざけそうです
喉が貼りつきそうです
薄い枯葉のようです
水を飲ませてください
あなたがひらり
と逃 ....
夜に降る夜から幻になり
分かれゆく灯の端から現になる
光の鱗に満ちる窓
ふちどりの迷路を世界は流れる
ふたつに割れたわたしそれぞれに
天から地から
糸のような鉄が差し ....
こんなにもまっすぐ前が見えて
とにかく死にそうだ
街路樹の下に落ちた影が
決められてもいないのに
光を失う
道の先で
郵便配達夫が方向転換する
それ ....
呼吸したり
成長したり
引き潮を待ったりしてたら
20億年
あっという間に過ぎた
海底では
あらゆる生物が
地球を
ぐるりとくるんでいる
海はまた
それをまるごと
く ....
使いが来たら
病院へ行くことになってた
アル中のあなたが
最後に入院した病院へ
肝硬変
だけ
じゃ
ないみたい
だね
いろんなこと教えてくれた
年上のひと
体に心に
消 ....
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